全然堂歳時記 春の部
【雛祭1】ひなまつり
※【雛祭2】をリリースしたので【雛祭】→【雛祭1】としました
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子季語:雛飾る、雛人形、雛壇、雛段、官女雛、五人囃子、雛道具、雛調度、内裏雛、古雛、初雛、雛の燭、雛の宴、雛の宿、雛の客
◎葉書俳句
◎テキスト
早う雛飾れといふにうちはうち ハードエッジ
紐解いて蓋開けて雛飾りけり ハードエッジ
紐解いて:
紐解いて洗ふズックや鳥雲に 広渡敬雄
紐解いて枝ひろがるや桃の花 長谷川櫂
蓋開け:
蓋あけし如く極暑の来りけり 星野立子
いろいろの蓋あいてゐるキャンプかな 齋藤朝比古
蓋あけて月の光のオルゴール ハードエッジ
鉄の蓋開ければ蛇口ななかまど 上田信治
蓋開けしままに凍える戦車かな 二村典子
火事跡に蓋開いてゐる魔法瓶 林昭太郎
蓋あけて宝づくしの雑煮椀 能村登四郎
雛壇を急勾配と思ひつつ ハードエッジ
別案:
雛飾る急階段といふべかり ハードエッジ 2023
参考句:
雛壇の裾に坐りて仰ぎけり 松藤夏山
勾配:
裏口は土手の勾配ゑのこぐさ 岡本眸
母と娘の砦の如し雛飾る ハードエッジ
砦:
山国は山を砦に冬を待つ 鷹羽狩行
新聞も三月三日ひなまつり ハードエッジ
新聞:
新聞をこのごろ読まず籐寝椅子 ハードエッジ
新聞を大きくひらき葡萄食ふ 石田波郷
ヴェランダの古新聞に雪つもる 行方克巳
冬河に新聞全紙浸り浮く 山口誓子
ねころんで新聞を見る炬燵哉 寺田寅彦
新聞を門で受け取る初日哉 正岡子規
新聞紙すつくと立ちて飛ぶ場末 三橋敏雄
ほほゑみに触れて冷たき雛かな ハードエッジ
微笑み:
苗札にへちまと書きてほほゑみぬ 鈴木鷹夫
お雛さま永久はさびしと微笑みぬ 中塚健太
微笑んで放下の時を待つ熟柿 ハードエッジ
鮟鱇のこのほほゑみの顔を見よ 今井杏太郎
雛道具時の流れの忘れもの ハードエッジ
忘れ物:
こんなにも春雨傘の忘れ物 ハードエッジ
忘れ物出てきたやうに雪解村 阿部静雄
あくる日の忘れ物めく螢籠 片山由美子
あかあかと屏風の裾の忘れもの 波多野爽波
忘れ物持たされてゐる雪だるま 金子敦
雛の灯に子の宝物ありつたけ ハードエッジ
宝物:
行く春や土に隠せば宝物 山田露結
山寺の宝物見るや花の雨 高濱虚子
昼寝せり宝物館の床下に 右城暮石
粽供ふ宝物館の鎧にも 品川鈴子
ありたけ:
牧開くとて持ち馬のありつたけ 鷹羽狩行
ゴールデンウィークありつたけのアクセサリー 西山ゆりこ
ありつたけ呉れてやるてふ夕立かな ハードエッジ
ありたけの器並べて水遊び 高澤良一
ありたけの蚊をふるひ出す芒哉 小林一茶
ありつたけ凧糸伸べて後顧なし 内藤吐天
ぜいたくのありたけつくす春著かな 久保田万太郎
着飾りて小さな人のひな祭 ハードエッジ
着飾る自作:
菜の花は黄を着飾りて日当りて ハードエッジ
七五三着飾るに良き寒さなり ハードエッジ
着飾りて詩歌の国の歌留多会 ハードエッジ
ひとり子のひとり歌ふや雛の灯 ハードエッジ
雛の灯:
雛の灯や母の名一字もらひし子 岬雪夫
日を経てはおこたる雛の灯かな 軽部烏頭子
男の子雛の家に来りけり ハードエッジ
雛の家:
草の戸も住み替る代ぞ雛の家 松尾芭蕉
一寸ゐてもう夕方や雛の家 岸本尚毅
年玉で買ひしトランプひな祭 ハードエッジ
年玉:
年玉を妻に包まうかと思ふ 後藤比奈夫
山寺や高々つみてお年玉 飯田蛇笏
年玉のまこと品よく小さなる 星野立子
年玉や上の一字を筆はじめ 正岡子規
明けましてお年玉付年賀状 ハードエッジ
初夢といふ年玉を賜りぬ ハードエッジ
背が伸びて細き手足や雛祭 ハードエッジ
手足:
天瓜粉何掴まんとする手足 西村和子
浴衣着て手足あらはのゆふべかな 鷹羽狩行
菖蒲湯に長き手足を伸ばすなり ハードエッジ
帰省子の抛りだしたる手足かな 黛執
運動会ゴールの手足はたはたと ハードエッジ
蟷螂の手足の向きのばらばらよ 岩田由美
湯ざめして手足の固くなりにけり ハードエッジ
細やかに刻んで雛に奉る ハードエッジ
奉る:
一神事五月の風を奉る 高木石子
温泉の神に燈をたてまつる裸かな 飯田蛇笏
御沙汰あり大筍を奉る 高野素十
新涼や仏にともし奉る 高濱虚子
糸瓜忌に糸瓜の水を奉る ハードエッジ
柿の木のたわわを月に奉る ハードエッジ
御仏に春待つ花を奉る ハードエッジ
仏にも寒九の水をたてまつる 森澄雄
行く年に大き焚火を奉る ハードエッジ
玉川の新玉の水奉る ハードエッジ
山の神にうたたてまつれ手毬の子 木村蕪城
雛壇は赤くプリンは黄色なり ハードエッジ
プリン:
豊年やプリンの頭焦茶色 ハードエッジ
湯あがりの子らがほかほか雛まつり ハードエッジ
別案:
湯上りのきやうだいげんか雛まつり ハードエッジ 2013
湯上りの四季:
湯上がりの我はももいろ桃咲く頃 池田澄子
湯上りの庭下駄軽し夏の月 芥川龍之介
湯上りに夕立を見る裸かな 正岡子規
湯上りの尻にべつたり菖蒲哉 小林一茶
手花火の子や湯あがりの髪ぬれて 西島麦南
湯上りのふぐり軽しや秋の風 今井杏太郎
湯上りの指やはらかし足袋のなか 桂信子
柚の香して湯上りのはや縫へりけり 森澄雄
湯上りの爪立ててむく蜜柑かな 西村和子
湯上り自作:
湯上りの子らで賑ふ橋涼み ハードエッジ
湯上りの人の匂へる橋涼み ハードエッジ
湯あがりの赤子ひやすな流れ星 ハードエッジ
湯上りの蜜柑忘るな柚子買うて ハードエッジ
高階に月の射し入る雛かな ハードエッジ
高階:
囀や市立図書館高階に ハードエッジ
高階に髪洗ひをり町に雨 岡本眸
夜濯ぎの水高階を下り行く ハードエッジ
雛の間のひと夜ひと夜の桃の花 ハードエッジ
一夜一夜:
明け易き一夜一夜の茄子漬 鈴木花蓑
鹿の聲一夜一夜に秋深し 正岡子規
温め酒一夜一夜と親しめり 高木晴子
月育つ一夜一夜の虫時雨 深見けん二
◎推敲過程
全然堂歳時記 春 【雛祭】
以上です