毛虫にも赤子がありてそも毛虫
咥へられいまはの空を行く毛虫
毛虫とは似ても似つかぬものとなる
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
毛虫にも赤子がありてそも毛虫
咥へられいまはの空を行く毛虫
毛虫とは似ても似つかぬものとなる
紫陽花は気圧の谷に咲くといふ
紫陽花も金魚の墓も雨の中
紫陽花やハムを土台の目玉焼
素麺の入りし桐箱平べつた
素麺の湯を沸かしつつ胡瓜揉み
印度人も素麺すする暑さかな
蟻の列鞭の如くに飴に伸ぶ
黒山の蟻に歓喜の声もなし
蟻の列にも殿のありぬべし
旧家こそ昔ながらに涼しけれ
黄の辛子みどりの山葵涼しけれ
忘らるることも涼しと思ひけり
柿の実の大暑に耐ふる緑色
暑し暑しと素麺すする印度人
暗闇に団扇を探る暑さかな
襷して新茶娘や駅前に
サイダーとラムネの差異を雲に聞く
アイスクリーム食べさせてゐる古写真
持つて出る昨日の傘や梅雨暗し
梅雨出水畦道消えて恐ろしや
草引けば土美しや梅雨晴間
降り方の緩急自在梅雨の日々
梅雨なれや傘の袋が落ちてをる
長梅雨の変な処に変な虫
卵焼黄色豆飯緑色
目に見えぬ塩の恩寵豆御飯
母の日の母なき月日豆ごはん