夏 【打水】 打水の余りは庭の箒にも

全然堂歳時記 夏の部
【打水】うちみず

全然堂歳時記=現在、本号を含め83記事=春夏秋冬–年末年始=29-14-17-16–3-4
/2023.7.9

人気成分:虹、石、埃

◎葉書俳句

◎テキスト

打水を幾たび今日の暑さかな ハードエッジ
炎帝に敵はぬまでも水を打つ ハードエッジ
せめてもの打水を打ち重ねたり ハードエッジ
石段の石のいきれに水を打つ ハードエッジ
打水に襷掛なる心意気 ハードエッジ
打水をけふは神輿の男らに ハードエッジ
蜻蛉も揚羽も来よと水を打つ ハードエッジ
打水に刹那の虹を賜りぬ ハードエッジ
打水の狙ひ定めし処かな ハードエッジ

改案:
打水の狙ひ定めしひとところ ハードエッジ 2023.7.12

打水を固き大地が吸ひ込みぬ ハードエッジ
打水の余りは庭の箒にも ハードエッジ
打水のたちまち乾く土の色 ハードエッジ
打水に片寄せられし泡の跡 ハードエッジ
打水に蝶美しき場末かな ハードエッジ
会釈して打水の端を通りけり ハードエッジ
水打つや西日埃を舞ひ立たせ ハードエッジ
夕焼を鎮める如く水を打つ ハードエッジ
打水の最中一天かき曇り ハードエッジ
桶柄杓なき世に水を打つホース ハードエッジ
衰へし夏に最後の水を打つ ハードエッジ

◎推敲過程/テキスト/pdf

全2枚/118句

全然堂歳時記 夏 【打水】 テキスト推敲

 

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

全3枚

全然堂歳時記 夏 【打水】 A4推敲

 

◎推敲過程/葉書俳句+手書き推敲/pdf

葉書俳句推敲 全4枚

全然堂歳時記 夏 【打水】 葉書推敲 原稿

 

◎葉書俳句表側

 

◎データベース画面/桐v10

 

◎打水秀句

水打つや何ごともなくけふのすぎ 久保田万太郎
水打つて家を出ぬ日の終りとす 鷹羽狩行
三越の前も祭の水を打つ 村上鞆彦
打水のゆき届きたる祭路地 菖蒲あや
金融の笑顔絶やさず水を打つ 北大路翼

水打つや恋なきバケツ鳴らしては 大串章
さびしさのしたたか水を打ちにけり 上村占魚
忘れたきことゝ一途に水を打つ 星野立子
水打てばふはととびつく地のほてり 中村汀女
打水の水の大きな塊よ 京極杞陽

塗りつぶすごとくに水を撒きにけり 中本真人
打水や蘇鉄の雫松の露 正岡子規
夕茜打水土に泡だてる 西山泊雲
打水や虹を投出す大柄杓 正岡子規
この庭もかつて被爆地水を打つ 朝倉和江

水を打つ故郷再び離るべく 中村汀女
石段の水を打たれて高々と 日野草城
水打つや一トうちづつの土ほこり 久保田万太郎
打水に残る埃や遠く匍ふ 高濱年尾
打水を脱れて上る埃かな 野見山朱鳥

打水や平次が謎を解く時分 小沢昭一
迎ふべき人あるごとく水を打つ 塩谷はつ枝
銀扇の如くに水を打ちにけり 上野泰
打水の桶に浮べる柄杓かな 篠原温亭
打水のころがる玉を見て通る 飯田蛇笏

百年の商売仇水を打つ 今井聖
打水をしてその後は何をする 高野素十
打水の流るる先の生きてをり 上野泰
球場に水撒く小気味よき作業 右城暮石
打水の町となりけり今年はや 吉屋信子

豆腐屋が一軒起きて水を打つ 阿部みどり女
水打つてふたたび閉ざす門扉かな 中村汀女
水打つて稲妻待つや門畠 小林一茶
雀よぶ蝶よぶ水を打ちにけり 久保田万太郎
打水や萩より落ちし子かまきり 高野素十

水打ってよび出せ藪の蟇 正岡子規
水打つて百合の花粉の漂へる 山西雅子

◎未練句/補遺/在庫処理

青空へ水を打つなる撒水機 ハードエッジ
打水の後も大地の固さかな ハードエッジ
打水に地の濡色の濃かりけり ハードエッジ

打水のしばらく光る土の上 ハードエッジ
打水の端を埃の昇天す ハードエッジ
舗装路に土の香のなき水を打つ ハードエッジ

以上です