全然堂歳時記 春の部
【花筏】はないかだ
全然堂歳時記=現在、本号を含め119記事=春夏秋冬–年末年始=33-27-24-22–5-8
/2026.4.14
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
花はまだ筏を組まず隅田川 ハードエッジ
花はまだ:
花はまだ硬き蕾や雛納め ハードエッジ
花はまだ二分どころなり桜餅 富安風生
虹の根に紫陽花はまだ蕾なり ハードエッジ
花筏昔都に花電車 ハードエッジ
花電車:
行く春や夜に美しき花電車 ハードエッジ
積む雪の乗り捨ての花電車かな 三橋敏雄
花筏川が明るくなりにけり ハードエッジ
明るくなり:
春風が吹いて明るくなりにけり ハードエッジ
春の灯の更けて明るくなりにけり 日野草城
午後五時も明るくなりぬ花辛夷 ハードエッジ
夏の雨明るくなりて降り続く 星野立子
新緑に雨も明るくなりにけり ハードエッジ
灯せば明るくなりぬ秋の暮 ハードエッジ
足もとの明るくなりし月仰ぐ 高濱年尾
石垣の反り美しや花筏 ハードエッジ
反り:
笹鰈焙れば反りぬ春の雪 南うみを
苗札の少し後ろに反り返る 箱森裕美
雛かなし鼓うたんと指の反り 大橋櫻坡子
甘藍の外葉大いに反り返る ハードエッジ
白百合の深く裂けては反り返る ハードエッジ
地蔵盆木の葉の皿の反り返り 南うみを
城乗せて石垣の反り春を待つ ハードエッジ
垂れし枝反り上り咲く寒椿 鈴木花蓑
火の用心さつしやりませう餅の反り 石塚友二
除夜の鐘僧の反り身を月光に 山田弘子
満開の花に送られ花筏 ハードエッジ
満開の花:
満開の花の中なる虚子忌かな 秋元不死男
満開の花より白き塩むすび ハードエッジ
死が見ゆるとや満開の花仰ぐ 中村苑子
幹老いて満開の花支へをり 伊東宏晃
満開の花より派手に紅葉山 ハードエッジ
石鹸玉吹いて見送る花筏 ハードエッジ
見送る:
一片の落花見送る静かな 高濱虚子
見送るや君たちまちに梅雨の景 大住日呂姿
夕焼や降りて見送るバスの尻 ハードエッジ
老牛の見送る畔の祭り馬 小畑柚流
孑孑の藪蚊見送る別れ哉 正岡子規
行く秋を見送る他はなかりけり ハードエッジ
満天の星が見送る流れ星 ハードエッジ
遠花火見送る如く見てをりぬ ハードエッジ
豆ほどに人を見送る枯野かな 横井也有
花筏雄蕊雌蕊のなかりけり ハードエッジ
雄蕊と雌蕊:
百千鳥雌蕊雄蕊を囃すなり 飯田龍太
先々に雲あたらしき花筏 ハードエッジ
先々:
山焼の火の先々に合図の灯 神長裕子
巡業の行く先々の盆踊 寿々木米若
蔦枯るる先々の葉へ追ひつめて 正木ゆう子
晴着着て行く先々の玻璃を鏡 津田清子
花筏賑やかに瀬を下りゆく ハードエッジ
瀬を早み岩にせかるる花筏 ハードエッジ
本歌取り:
瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院
船頭は土手に昼寝や花筏 ハードエッジ
船頭:
船頭のはだかに笠や雲の峰 宝井其角
船頭も饂飩打つなり五月雨 泉鏡花
螢見や船頭酔うておぼつかな 松尾芭蕉
船頭の毛脛まぢかに涼み舟 桂信子
船頭の娘が美しや祭船 西村和子
雪見舟船頭ひとり吹きさらし 阿波野青畝
船頭の唄のよろしき雪見かな 斎藤梅子
一村は皆船頭や磯千鳥 正岡子規
神社から寺へ流るる花筏 ハードエッジ
流るる:
春雨の中を流るる大河かな 与謝蕪村
山川を氷流るる桃の花 長谷川櫂
夕影は流るる藻にも濃かりけり 高濱虚子
捨て苗の流るる型に根づきたる 今瀬剛一
花びらを流るる雨や花菖蒲 高野素十
身の上や風に流るる揚花火 池田澄子
仕掛花火のけぶり流るゝ街の空 富田木歩
クリスマスソング流るる手術室 白石渕路
雨水の顔を流るる実朝忌 長谷川櫂
海底を流るる砂に寒鮃 長谷川櫂
流れゆく櫂も櫓もなき花筏 ハードエッジ
舟の櫓:
櫂が欲し櫓が欲し加太の雛流し 下村梅子
泳ぎつつうしろに迫る櫓音あり 及川貞
櫓の音は紅葉の奥を進みけり 小池康生
洗はれて櫓櫂細身や注連飾 大野林火
潮くれて櫓臍なだむる漁始 小早川恒
花びらを重ねて重し花筏 ハードエッジ
重ねて:
春寒し産衣かさねていつくしめ 会津八一
くらやみの箱を重ねて雛納め ハードエッジ
壱岐対馬泊りかさねて桜鯛 小原菁々子
よき家に泊り重ねて朝桜 高濱年尾
盃を重ねていよゝ花夕べ 高野素十
白に白を重ねて白し雲の峰 大島雄作
丼を重ねて重し濃紫陽花 ハードエッジ
鍋洗ふ日を重ねてや雪の空 川崎展宏
幾度も焚火の跡を重ねては ハードエッジ
傷にまた傷を重ねて独楽の胴 戸恒東人
一二片密かに沈む花筏 ハードエッジ
密かに:
あたゝかにひそかにさしてくる日かな 久保田万太郎
色町や真昼ひそかに猫の恋 永井荷風
夕桜ひそかに鵯をゆるしけり 久保田万太郎
ひそかにも夜の落花のつゞきをり 稲畑汀子
流れ藻のひそかに先を争へり 能村登四郎
星合やひそかに結ぶ芝のつゆ 高橋淡路女
新盆やひそかに草のやどす露 久保田万太郎
綿玉のひそかにはぜる時雨哉 小林一茶
一つ家のひそかに雪に埋れけり 夏目漱石
去年今年ひそかに一寸飛んでみる ハードエッジ
花筏ポテトチップを投げてやる ハードエッジ
発泡スチロール混入花筏 ハードエッジ
花筏灰汁の如くに澱みをる ハードエッジ
灰汁:
灰汁桶や花の波よる春の風 正岡子規
灰汁桶の澄みて溢るる五月雨 西山泊雲
灰汁の水が澄きるわか葉哉 小林一茶
全長を雨に打たるる花筏 ハードエッジ
全長:
全長を嘴のごとくに鵜飼舟 八染藍子
全長のさだまりて蛇すすむなり 山口誓子
全長に回りたる火の秋刀魚かな 鷹羽狩行
野にありし全長を活け穂の芒 鷹羽狩行
全長を見せて紅葉の中の瀧 今瀬剛一
全長を伝つて氷柱雫かな ハードエッジ
土星の輪すなはち永久の花筏 ハードエッジ
土星:
涼しさに住んでもみたき土星の輪 ハードエッジ
香水や土星にうすき氷の輪 津川絵理子
牡蠣鍋に土手の輪天に土星の輪 ハードエッジ
◎初案20句
制作順:
たらたらと落花土星の輪となりぬ ハードエッジ
花篝城の石垣大いなる ハードエッジ
旅立を花に送られ花筏 ハードエッジ
見送りし雲の行方や花筏 ハードエッジ
ここにまた浅瀬ありけり花筏 ハードエッジ
花筏川が明るくなりにけり ハードエッジ
桜まだ筏を組まず隅田川 ハードエッジ
発泡スチロールの欠片花筏 ハードエッジ
花筏都電市電の昔かな ハードエッジ
花筏澱みて灰汁のごときもの ハードエッジ
流るるに櫂も櫓もなき花筏 ハードエッジ
花筏ポテトチップを乗せてみる ハードエッジ
船頭になつてみたきは花筏 ハードエッジ
しやぼん玉吹いて見送る花筏 ハードエッジ
寺に流れ神社に流れ花筏 ハードエッジ
ここにまた浅瀬奏づる花筏 ハードエッジ
ふる雨を全面に受け花筏 ハードエッジ
花びらを一重二重と花筏 ハードエッジ
一片の密かに沈む花筏 ハードエッジ
花筏雄蕊雌蕊のなかりけり ハードエッジ
◎推敲句一覧/pdf
全131句/2枚
全然堂歳時記 春 【花筏】推敲 テキスト
◎A4推敲 原稿/pdf 無し
◎A4推敲 加筆/pdf 無し
◎葉書推敲 原稿/pdf 無し
◎葉書推敲 加筆/pdf
全3枚
全然堂歳時記 春 【花筏】 葉書推敲 加筆◎葉書俳句秀句&注釈面
◎データベース画面/桐v10
◎花筏秀句
花筏小学校を出てゆきぬ 佐々木六戈
風が押し流れが戻し花筏 吉原一暁
川底もコンクリートや花筏 相子智恵
花筏寄りつ離れつ澱みつつ 中村苑子
一片の又加はりし花筏 上野章子
いづこより乗り来し蟻や花いかだ 南うみを
◎未練句/補遺/在庫処理
変化して暫しこの世に花筏 ハードエッジ
成行の美しきかな花筏 ハードエッジ
仰向けの死装束や花筏 ハードエッジ
まさをなる空の下ゆく花筏 ハードエッジ
花びらに水の冷たき花筏 ハードエッジ
花筏浮かべる水となりにけり ハードエッジ
花筏冷たき水に浮びをる ハードエッジ
吹き降りに乱るるままに花筏 ハードエッジ
長旅の雨に始まる花筏 ハードエッジ
その中に菜花も混じり花筏 ハードエッジ
花びらの追ひ駆けて行く花筏 ハードエッジ
旅立や落花の中の花筏 ハードエッジ
鯉の乱鳥の狼藉花筏 ハードエッジ
花の上に花散りかかる花筏 ハードエッジ
流れゆくものは気ままよ花筏 ハードエッジ
以上です


