夏 【毛虫】 ねつとりと踏み潰されし毛虫かな

角川俳句賞2023 追い込みのため参考句などは時間に余裕が出来た時のみ/2023.5.6

全然堂歳時記 夏の部
【毛虫】けむし

全然堂歳時記=現在、本号を含め79記事=春夏秋冬–年末年始=29-10-17-16–3-4
/2023.5.6

子季語:毛虫焼く

◎葉書俳句

◎テキスト

神の天然色てんねんしょくの毛虫かな ハードエッジ

天然色/お若い方のための注釈:
ここではモノクロでないカラフルな派手な、の意味で使用
毛虫の色は白黒から極彩色まで様々だが、
全ては天然の色に違いない

「天然色」は映画が白黒からカラーになった頃の謳い文句
日本では『カルメン故郷に帰る』/1951年/Wikipedia
ポスターの「總天然色」/pinterest

ついでに、カラフル絡み/邦題だけど/で、
Cream『カラフル・クリーム』 (Disraeli Gears) 1967年/Wikipedia から、
Cream-Sunshine Of Your Love/youtube

このカラフルなジャケットの次のアルバムは、
Cream『クリームの素晴らしき世界(Wheels of Fire)1968年/Wikipedia
金銀の2枚組でした
その中から、
Cream-White Room/youtube

花よりも葉つぱ好みの毛虫なり ハードエッジ

重たしよ葉にむらがりし毛虫ども ハードエッジ

群がり:
半仙戯むらがり遊ぶ鳩の中 鈴木花蓑
数に物言はせて蟻の群がりぬ ハードエッジ
金銀の卑しき蠅の群がりぬ ハードエッジ
秋の蜂群がり土蔵亀裂せり 西東三鬼

毛虫にも赤子がありてそも毛虫 ハードエッジ
見開きの毛虫図鑑と見比べて ハードエッジ
毛虫にも黒毛・栗毛くりげ血筋ちすじあり ハードエッジ

栗毛:
鹿毛かげ・栗毛・芦毛よ芝の枯るる中 正木ゆう子

地をへる煙のごとき毛虫かな ハードエッジ
芋虫に毛嫌けぎらひされし毛虫なり ハードエッジ
派手はで派手はでの毛虫どこまでおぞましき ハードエッジ
あのころはたかが毛虫とあなどりし ハードエッジ
庭木たたけば時雨しぐれごとく毛虫落つ ハードエッジ
割箸わりばしで毛虫の背《せ》ナをでてやる ハードエッジ
割箸わりばしの先に毛虫がくねくねと ハードエッジ
くわへられいまはの空を行く毛虫 ハードエッジ
ねつとりとみ潰《つぶ》されし毛虫かな ハードエッジ

ねつとり:
耕して鍬ねつとりと重たけれ ハードエッジ
寒鯉のねつとりと向き変へにけり 藤井あかり

める木にやいとのごとく毛虫の火 ハードエッジ
人類にプロメテウスや毛虫焼く ハードエッジ

プロメテウス:
カンナの緋プロメテウスが盗んだ火 月野ぽぽな
火を盗むプロメテウスや焼藷屋 ハードエッジ

沸騰ふっとうの毛虫やついえあがる ハードエッジ
亡者もうじゃにはいいもおさいも毛虫なり ハードエッジ

本歌取り:
ままごとのいいもおさいも土筆つくしかな 星野立子

毛虫とは似ても似つかぬものとなる ハードエッジ

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全2枚/146句

全然堂歳時記 夏 【毛虫】テキスト推敲

 

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

全6+1枚

全然堂歳時記 夏 【毛虫】A4推敲

◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf

葉書全6枚

全然堂歳時記 夏 【毛虫】葉書推敲

 

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

全然堂歳時記 夏 【毛虫】 桐v10

◎毛虫秀句

生きかへるなかれと毛虫ふみつけぬ 正岡子規
よく眠りよく食ふ毛虫よく太り 筑紫磐井
毛虫逃がす恩返しには来ないでね 中根すみか
としよりが毛虫いぢめる棒の尖 辻田克巳
そぼぬれて毛虫這出す日向哉 寺田寅彦

毛虫焼くゆふべの空も焼けて来し 上村占魚
空襲のあしたの毛虫焼きにけり 萩原麦草
燃ゆる火にのけぞり立ちし毛虫かな 安部伏荷
毛虫焼く火のたらたらとほぐれつつ 行方克巳
毛虫焼く火のめらめらと美しき 木下夕爾

ちと云うて炎となれる毛虫かな 高田正子
毛虫焼く炎の色のかはりけり 高田正子
毛虫焼く焔が触るるものを焼く 橋本多佳子
燃えにくきものとは知らず毛虫焼く 後藤夜半
毛虫地に降りて皆這ふ嵐かな 鈴木花蓑

老毛虫の銀毛高くそよぎけり 原石鼎
火を焚いて毛虫地獄図声もなし 河野南畦
毛虫の季節エレベーターに同性ばかり 岡本眸
ネロの兄お七の妹毛虫焼く 加藤三七子
子をもたぬをとことをんな毛蟲焼く 黒田杏子

糸に垂る幼な毛虫も焼かむとす 林翔
もくもくと忙しくゆく毛虫の毛 矢島渚男
正面は丸き顔なる毛虫かな 大西朋
毛虫退治酸つぱき顔になりながら 飛鳥田[れい]無公
鬼の顔してをるならむ毛虫焼く 井上浩一郎

真黒な毛虫の糞や散松葉 正岡子規
土に刺す毛虫焼きたる割箸を 阿部季見子
まるまるとゆさゆさとゐて毛虫かな ふけとしこ
毛虫焼く火をもち出づる厨かな 吉武月二郎
薄々と繭を営む毛虫かな 高濱虚子

◎未練句/補遺/在庫処理

地獄とは毛虫の多き国ならむ ハードエッジ
毛虫など痒しと高を括りし木 ハードエッジ
痒かりし毛虫に何時か蝕まれ ハードエッジ
火をつけし毛虫燃え立ち燃え落る ハードエッジ
食ひ飽きてぽたりと毛虫地に落る ハードエッジ

毛虫にも色々あれどみな嫌ひ ハードエッジ
閲兵の如く毛虫の王様は ハードエッジ
芋虫に偏見を持つ毛虫やも ハードエッジ
鬣に憧れてゐる大毛虫 ハードエッジ
輪になつて毛虫なにかになるつもり ハードエッジ

小さくて数を頼みの毛虫かな ハードエッジ
毛虫なら飛び掛からるる恐れなし ハードエッジ
一枚の葉に並びたる毛虫かな ハードエッジ
叩かれて毛虫吐き出す庭木かな ハードエッジ
ぽつたりと大樹の陰に毛虫落つ ハードエッジ

以上です