春 【蝌蚪】 幼くてお玉と呼ばれ蛙の子

全然堂歳時記 春の部
【蝌蚪】かと

全然堂歳時記=現在、本号を含め78記事=春夏秋冬–年末年始=29-9-17-16–3-4
/2023.4.17

子季語:お玉杓子、蛙の子
フレーズ:蝌蚪の紐

◎葉書俳句

◎テキスト

げつそりとみ終りたる蝌蚪かとひも ハードエッジ
ぬるみたる水にぬるりと蝌蚪の紐 ハードエッジ
つぶらなるものをつらねて蝌蚪の紐 ハードエッジ
蝌蚪の紐やがてはかえかえるの子 ハードエッジ
おさなくてお玉と呼ばれ蛙の子 ハードエッジ
大いなる頭のお玉杓子たまじゃくしなり ハードエッジ
目口鼻まるくおさめて蝌蚪の顔 ハードエッジ
蝌蚪はまだ黒装束くろしょうぞく修行しゅぎょうの身 ハードエッジ
尾骶骨びていこつあれば仲間ぞ蝌蚪と人 ハードエッジ
水遁すいとんの術でどろんと蝌蚪にけ ハードエッジ
にぎわひの静かなるかな蝌蚪の池 ハードエッジ
月夜の晩ばかりじやないぞ蝌蚪に足 ハードエッジ
生えてくる手足恐ろし蝌蚪の池 ハードエッジ
手も足も生えてつのなき蝌蚪のはて ハードエッジ
大方は食はるる蝌蚪と思へども ハードエッジ
いつの間にへびの来てゐる蝌蚪の池 ハードエッジ
おさなきが幼きを食ふ蝌蚪のらん ハードエッジ
蝌蚪を食ひ蝌蚪にあらざるもの太る ハードエッジ

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全1枚/72句

全然堂歳時記 春 【蝌蚪】テキスト推敲

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf

葉書全8枚

全然堂歳時記 春 【蝌蚪】葉書推敲

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

全然堂歳時記 春 【蝌蚪】 桐v10

◎蝌蚪秀句

かたまれる蝌蚪に行末ひとつづつ まついひろこ
この池の生々流転蝌蚪の紐 高濱虚子
生と死の生の暗しや蝌蚪の水 鷹羽狩行
お玉杓子玉の命の一つづつ 長谷川櫂
それぞれの好みの深さ蝌蚪ねむる あかぎ倦鳥

むしろ亜流栄える世なり蝌蚪の水 鷹羽狩行
蝌蚪遊ぶまばたき程の水輪生み 山上カヨ子
かんたんによろこぶおたまじゃくしかな 折勝家鴨
蝌蚪生れて驚き易き水となる 木村淳一郎
ひつそりと蝌蚪の爆発三鬼の死 中尾寿美子

手足出る蝌蚪が痒がる壜の中 鈴木鷹夫
蝌蚪飼ふやはてなき貧と思へども 小林康治
蝌蚪の国戦争もせず失せにけり 藤田湘子
天日のうつりて暗し蝌蚪の水 高濱虚子
日当りて明るく澄めり蝌蚪の水 高橋淡路女

蝌蚪に日がのぼりしことの一大事 今瀬剛一
日光は太陽の塵蝌蚪生る 鷹羽狩行
太陽の育てし地球蝌蚪生まる 生駒大祐
太陽の黒点の子の蝌蚪泳ぐ 野見山朱鳥
月の出に蝌蚪のさはぎのしづまらず 能村登四郎

蝌蚪に足少しいでたる月夜かな 長谷川双魚
月の夜のつづきて蝌蚪に手足生え 鷹羽狩行
蝌蚪生まれ水ぬるぬるとしてゐたる 中田剛
蝌蚪静か水の流れは見えながら 今井つる女
泡一つ置きに来て蝌蚪沈みけり 江川虹村

蝌蚪小さし浮かびて消ゆる水泡よりも 中村草田男
風吹いてうちかたまりぬ蛙の子 村上鬼城
風吹けばお玉杓子もあわたゞし 池内たけし
水面に群る蝌蚪風に漂へり 右城暮石
雲白き日のつづくなり蝌蚪の水 久保田万太郎

木の実に根生えそめ蝌蚪は泳ぎそむ 香西照雄
放たれてぶるぶるおよぐ蛙の子 日野草城
一石を投じて蝌蚪をかへりみず 西東三鬼
蝌蚪に打つ小石天変地異となる 野見山朱鳥
手を溢るる泥より固し蝌蚪の紐 綱長井ハツオ

蝌蚪群れて泳ぐ時声ある如し 今瀬剛一
大挙して文字化けになる蝌蚪の国 佐怒賀正美
蛙の子飼つて孤独の性、子にも 安住敦
蝌蚪覗くアリスのやうな女の子 金子敦
蝌蚪の玉血を流さずに食ひ合へる 矢島渚男

蝌蚪の頭の熱あるごとく振りにけり 石嶌岳
蛙子や浅き水の面に拡ごれる 高濱年尾
いきいきとおたまじやくしに蛙の目 古川朋子
蝌蚪一つ鼻杭にあて休みをり 星野立子
蝌蚪のごと首ふれば知恵湧くらむか 能村登四郎

蝌蚪の紐両手に掬ひ余らせし 茨木和生
くらやみに蝌蚪の手足が生えつつあり 西東三鬼
蝌蚪に足生えて何やら慌し 高野素十
懐かしの実存主義や蝌蚪に足 加藤静夫
お玉杓子尾がうれしくてうれしくて 西嶋あさ子

尾をふる蝌蚪幾万を埋め売地です 加藤楸邨
手足なき蝌蚪の一途に尾をふれる 鈴木貞雄
友を食むおたまじやくしの腮かな 島村元
蝌蚪の国豆腐のパックが沈みをり 倉田有希
棒切れをずるりと滑り蝌蚪の紐 高澤良一

蝌蚪の紐継ぎ目無きこの長きもの 右城暮石
蝌蚪の紐置きて蛙のかげもなし 右城暮石
内亂に續く旱魃蝌蚪の國 中原道夫
川底に蝌蚪の大国ありにけり 村上鬼城
蝌蚪の国天上界にあめんぼう 富樫均

蝌蚪の国そつくり消えてをりにけり 山本素竹
空瓶を首都と定めし蝌蚪の国 仲寒蟬
流れ行く蝌蚪や再び横ころげ 星野立子
流れ来て次の屯へ蝌蚪一つ 高野素十
尾を振つて流され行くや蝌蚪一つ 星野立子

菖蒲田へ蝌蚪裏返りては流れ 岸本尚毅
にはとりも蝌蚪もおどろきをすぐ忘る 中村草田男
鯰になる蝌蚪もあるべし山の月 大串章
蟇の子のつらなり孵る牡丹かな 下村槐太
藻を被り木の葉を被り蝌蚪の紐 岩田由美

◎未練句/補遺/在庫処理

賑ひのままに暮れゆく蝌蚪の池 ハードエッジ
眠し眠しと暴るる蝌蚪もありぬべし ハードエッジ
蝌蚪の池とは音のなき遊園地 ハードエッジ

蝌蚪の紐雲の如きが霧消せり ハードエッジ
蝌蚪のよく踊ることよの声もなし ハードエッジ
目の玉は二つのままに蝌蚪蛙 ハードエッジ

蝌蚪に手と足と指には吸盤も ハードエッジ
蟻の列近くの池に蝌蚪の紐 ハードエッジ

◎全然堂俳句ショップ

1枚1000円で販売中
 →こちらです

以上です