夏 【昼寝】 吾輩と苦沙弥先生昼寝の図

全然堂歳時記 夏の部
【昼寝】ひるね

全然堂歳時記=現在、本号を含め86記事=春夏秋冬–年末年始=29-17-17-16–3-4
/2023.7.30

子季語:昼寝覚、昼寝人、昼寝子

◎葉書俳句

◎テキスト

ふるさとに昼寝をせよと言はれけり ハードエッジ
きこしめて旅の昼寝の楽しさよ ハードエッジ
人生の午後を楽しむ昼寝かな ハードエッジ
白桃はくとうを水に浮べて昼寝せり ハードエッジ
昼寝してわが再起動リブートを試みる ハードエッジ

 

吾輩わがはい苦沙弥くしゃみ先生昼寝の図 ハードエッジ
座布団ざぶとんを腹に乗せたる昼寝かな ハードエッジ
たましいを滝に打たせて大昼寝 ハードエッジ
汗かかぬよわいさびしや昼寝して ハードエッジ
母あらばそのかたわらに昼寝せん ハードエッジ

うすぐらき蚊帳かやの昼寝を好みけり ハードエッジ
昼寝子の指ひらくともにぎるとも ハードエッジ
二人してごろごろ昼寝してをりぬ ハードエッジ
板の間に張り付いてゐる昼寝の子 ハードエッジ
ひるねしてみんなぐうぐうねましたと ハードエッジ

庭先に水着吹かるる昼寝かな ハードエッジ
鳴き通すせみに昼寝はなかるべし ハードエッジ
そびえ立つ入道雲にゅうどうぐも昼寝覚ひるねざめ ハードエッジ
昼寝覚ひるねざめこの世が雨にけむりをる ハードエッジ
ウイーンに少年合唱団昼寝 ハードエッジ

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全1枚/68句

全然堂歳時記 夏 【昼寝】 テキスト推敲

 

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

なし

 

◎推敲過程/葉書俳句原稿&書き込み/pdf

葉書俳句書き込み無し 全5枚

全然堂歳時記 夏 【昼寝】 葉書推敲 原稿

 

葉書俳句書き込み有り 全5枚

全然堂歳時記 夏 【昼寝】 葉書推敲 加筆

 

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

◎昼寝秀句

悉く昼寝のまへと変りなし 藤田湘子
昼寝より覚めてきのふの家に居り 今井杏太郎
三十分のちの世恃む昼寝かな 加藤静夫
昼寝してなほ余りあるけふの昼 高澤良一
日曜のまだ日曜の昼寝覚 山田露結

仏壇の奥の暗がり昼寝覚 金子敦
我生の今日の昼寝も一大事 高濱虚子
昼寝して覚めて乾坤新たなり 高濱虚子
昼寝子や生れし日のごと髪濡れて 石川桂郎
あの世へも顔出しにゆく大昼寝 瀧春一

天寿とは昼寝の覚めぬ御姿 阿波野青畝
魂の抜けはててゐる昼寝かな 星野立子
祭の子昼寝に連れて帰りけり 飯島晴子
内閣を辞して薩摩に昼寐かな 正岡子規
まだいくらでも眠れそう昼寝覚 鶴岡加苗

ちらと笑む赤子の昼寝通り雨 秋元不死男
昼寝とるかにしづかなる死をたまふ 上村占魚
雛僧がころりと昼寝むさぼれる 清崎敏郎
午睡して待て僧戻らんと杣が云ふ 野村泊月
本堂や昼寝無用と貼札す 尾崎紅葉

留守番は楽し暫らく昼寝せん 星野立子
老いて心たのしき時の昼寝かな 京極杞陽
子やあはれ泣くにも間ある昼寝覚め 中村汀女
泣き寝入りしてそのまゝに昼寝の子 粟津美知子
昼寝より覚めしあはれにしばしゐる 鷹羽狩行

大いなる家の暗さに昼寝覚め 行方克巳
水差しの影にも水位昼寝覚 吉田秀
山水に米を搗かせて昼寝哉 小林一茶
干してあるものの佗しき昼寐かな 上野泰
湖に篠つく雨や昼寝覚 長谷川櫂

雷をさそふ昼寝の鼾かな 正岡子規
浜のもの錆び付いてゐる昼寝かな 安里琉太
大昼寝湖の底抜けんとす 眞鍋呉夫
ふるさとはさみしきところ昼寝覚 青柳志解樹
丘越ゆる人を見てをり昼寝覚 藤田湘子

里人はみな昼寝どき田には風 小島麦人
むらさきの褪せしがごとく昼寝覚め 加倉井秋を
昼寝覚めつむりて聴く子等の声 加藤楸邨
何呼びて声のかすれし昼寝覚 山崎冨美子
昼寝覚このさきこゑの出ぬごとく 中戸川朝人

わが声がわれを欺く昼寝覚 高澤良一
昼寝よりさめて寝ている者を見る 鈴木六林男
昼寝してさつぱりとして人に会ふ 星野立子
返事なき人を昼寝と思ひなす 薮内小鈴
恥づかし乍ら「門」主宰にして昼寝王 鈴木鷹夫

客人に昼寝すゝめてゐてねむし 星野立子
昼寝より覚め父もゐず母もゐず 鷹羽狩行
母を見て又子の昼寝つゞきけり 稲畑汀子
蝉を近づけ昼寝の母を子がのぞく 加藤楸邨
昼寝せる妻も叱らず小商ひ 高濱虚子

浮浪児昼寝す「なんでもいいやい知らねえやい」 中村草田男
遊ぶ児に踏まれもせずに昼寝人 小杉余子
胎内のみどりに染まるまで昼寝 鎌倉佐弓
さめにけり汗にまみれしひるねより 久保田万太郎
さみしさの昼寝の腕の置きどころ 上村占魚

昼寝より覚めて腹減るめでたさよ 小島健
ふやけたる海女のあうらのみな晝寝 細谷源二
桃缶のシロップとろり昼寝覚 金子敦
剥いてある果物見ゆる昼寝覚 岩田由美
昼寝なほつづく眼鏡を岩の上 鷹羽狩行

句帖めがね昼寝のまくらあればよし 西本一都
昼寝ざめすぐにたすきをかけにけり 阿部みどり女
襷かけしまゝのひるねをあはれめり 久保田万太郎
たまたまの昼寝も襷かけながら 篠原鳳作
昼寝さめてさびしき裾のあたりかな 西島麦南

褌を滝にひたして昼寝哉 正岡子規
縦に寝て横に手を伸べ昼寝人 岸本尚毅
昼寝の子起きしにあらず裏返る 三村純也
ロビーにもある昼寝刻めきし刻 後藤比奈夫
大広間好きなところで昼寝かな 長谷川櫂

まつしろなカーテン引きて主婦昼寝 星野立子
昼寝より覚めしところが現住所 八田木枯
昼寝せり宝物館の床下に 右城暮石
昼寝とは無雑作なもの相撲部屋 松村多美
呉服屋の帳場の裏の昼寝かな 吉川千早

ひやひやと壁をふまへて昼寝かな 松尾芭蕉
うつぶせにねるくせつきし昼寝かな 久保田万太郎
はるかまで旅してゐたり昼寝覚 森澄雄
昼寝猫袋の如く落ちてをり 上野泰
犬も猫も田植の留守の昼寝哉 正岡子規

干網に鱗光れり昼寝村 松野苑子
蔓のびる村の昼寝のふかさだけ 中嶋秀子
寝返りを打ちてそろそろ昼寝覚め 稲畑汀子
お昼寝と聞いて逢はずに帰りけり 下田實花
昼寝して何やら機嫌良くなりし 佐藤うた子

 

◎未練句/補遺/在庫処理

書に遊び昼寝の夢に駆け廻り ハードエッジ
冷房に除湿も効かせ昼寝かな ハードエッジ
ごくごくと麦茶の旨き昼寝覚 ハードエッジ
昼寝して伸びる背丈もなかりけり ハードエッジ
昼寝子に髭なく猫に笑窪なく ハードエッジ
走り根の如き手足の昼寝人 ハードエッジ

以上です