秋 【柿】日本に神の名多し柿の名も

全然堂歳時記 秋
【柿】かき

◎葉書俳句

 

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◎テキスト

日本に神の名多し柿の名も ハードエッジ

  「神の名」の秀句:
  清水にもあるや神の名仏の名 正岡子規  しき

  紅葉もみじして山に神の名仏の名 成田千空    せんくう

  「柿の名」の秀句:
  忘れ得ぬ柿の名なれや猿泣さるなかせ 相生垣瓜人あいおいがき かじん

  ※熟しても余りの渋さに、猿も泣き出すという小粒の柿

 

駅よりも農家が立派柿たわわ ハードエッジ

  農家の秀句:
  ほんものの農家にまる夏休 櫂未知子かい      

  庭広くいて農家の葉鶏頭はげいとう 深見けん二

  初富士はつふじへ農家はラヂオかけ放す 田川飛旅子   ひりょし

 

寺の柿も役場の柿も鈴生すずなりに ハードエッジ

  鈴生りの秀句:
  提灯ちょうちんの火の鈴生りや秋出水あきでみず 久保田万太郎

  桃の木や童子童女が鈴生りに 中村苑子

  自作の鈴生り:
  鈴生りの子猫と眠る猫の母 ハードエッジ

  鈴生りとなるべくかお花蜜柑はなみかん ハードエッジ

  役場の秀句:
  苗代なわしろの風が役場のなか通る 原田喬     たかし

  ふるさとの喜雨きう山王さんのう村役場 高野素十    すじゅう

  村會そんかいに月のさしこむ役場かな 正岡子規  しき

 

 

こんの荷でありし柿の木祖母そぼの庭 ハードエッジ

  「婚の荷」の秀句:
  婚の荷をひろげるやうにひな飾る 猪俣千代子いのまた      

  新道を婚の荷のゆく揚雲雀あげひばり 飯田弘子

  トラックに婚の荷高きとよの秋 池田秀水

  橋上を婚の荷過ぎるさけの川 石川文子

 

 

仏壇ぶつだんに柿をそなへて菊を生け ハードエッジ

  日本の秋の代表というか、定番というか、典型というか、、、桃も美味しいけど

  柿+菊の句:
  野菊のぎく濃し柿赤しとて旅つづけ 上野泰    やすし

  黄菊白菊柿赤くしてしぶし 正岡子規  しき

 

 

柿のへたはなびらよりも欠けやすき ハードエッジ

  「はなびら」は空振りか?/2020.9.9
  柿の花は小さく地味で、蔕は大ぶりです →柿の花画像/DuckDuckGo

  「欠けやすき」も花びらの一片が外れるようなイメージ

  改案:
  柿のへた大きく硬く割れやすき ハードエッジ

  ちなみに、
  「柿の蔕」で検索すると、
  陶芸や漢方の画像が沢山出てきます →柿の蔕画像/DuckDuckGo

 

 

入りし刃にシクと切られし柿の種 ハードエッジ

  無論、名句の応用です
  厚餡あつあん割ればシクと音して雲のみね 中村草田男   くさたお

  桃の場合は、
  白桃に入れし刃先の種を割る 橋本多佳子

  柿+刃の秀句:
  きし刃のぬるぬるとしてゐたり 中田剛    ごう

 

桃はすす林檎りんごかじり柿はさて ハードエッジ

 

 

食べ飽きて柿にくつろ稲雀いなすずめ ハードエッジ

  自作類句:
  柿の数ほどに雀の来りけり ハードエッジ

  参考句:
  稲雀しばしば柿をおそひけり 岸本尚毅   なおき

 

 

柿食つてからすの羽根のまつ黒な ハードエッジ

  柿+鴉/烏の秀句:
  柿秋や追へどすぐ来る寺烏 村上鬼城    きじょう

  柿たわわからす見おろし人見あげ 山口青邨    せいそん

  渋柿の烏もつかずあはれなり 正岡子規  しき

  柿渋しあはうと鳴て鴉去る 寺田寅彦    とらひこ

 

 

日は空を焼いて真つ赤や柿の秋 ハードエッジ

  赤い柿の秀句:
  黄菊白菊柿赤くしてしぶし 正岡子規

  柿赤く旅情ようやく濃ゆきかな 高濱虚子たかはま きょし

  野菊濃し柿赤しとて旅つづけ 上野泰    やすし

  自作:
  干柿は朱く唐辛子とうがらしは真赤 ハードエッジ

  ゆふぐれは赤から黒へ熟柿じゅくし落つ ハードエッジ

 

 

柿の木のたわわを月にそなへけり ハードエッジ

  柿+月の秀句:
  渋柿の青き光や夏の月 会津八一   やいち

  青柿の蔕より青き月夜かな 眞鍋呉夫まなべ くれお

  豆柿に霜や月光ふりそそぐ 山口青邨    せいそん

 

 

切りたての切株に積む柿の山 ハードエッジ

  秋も深まれば、
  切株におきてまつたき熟柿じゅくしかな 飯田蛇笏   だこつ

  切株の四季:
  幾十の切株の上の春の月 大野林火   りんか

  かなで切株匂ふ雪解ゆきげ谷 福田蓼汀    りょうてい

  切株のぐるりよりふく木の芽かな 正岡子規

  初夏の雨切株にしぶきけり 村上鞆彦    ともひこ

  切株の年輪よぎる蜥蜴とかげかな 野村喜舟

  行く秋の切株にある余熱かな 佐藤郁良   いくら

  切株がひとつ秋風聞けとこそ 山田弘子

  色鳥や切株はもう年とらぬ 中村明子

  切株のはなればなれにしもを待つ 福永耕二

  切株に冬日二段ののこあと 大串章

  切株の木の名な問いそ片時雨かたしぐれ 池田澄子

  自作の切株の四季:
  薄氷うすらいや切株の上をすべり落つ ハードエッジ

  切株の落花らっか再び吹かれ行く ハードエッジ

  苔寺こけでらの苔の切株梅雨つゆ深し ハードエッジ

  切株の息の根あはれ虫の声 ハードエッジ

  切株に雪の帽子をかぶせやる ハードエッジ

  

 

柿たわわ日本の村のほろびつつ ハードエッジ

 

 

◎推敲過程

全然堂歳時記 秋 【柿】

 

◎入力画面

桐v9

 

◎葉書俳句 表側

 

 

◎未練句

柿剥くや奈良に乏しき大事件 ハードエッジ

柿の数ほどに雀の来りけり ハードエッジ

柿の秋バスに補助席ありしころ ハードエッジ
  季語が動くとは思うけど、
  遠足では芸がない

大いなる夕日渋柿村暮るる ハードエッジ

柿の字は姉といふ字に似て赤し ハードエッジ
  文字遊び

 

以上です