秋 【終戦日】 絵日記もその子も燃えて終戦日

全然堂歳時記 秋の部
【終戦日】しゅうせんび 改

※2019年発行の【終戦日】12句 を元に再選&増量した20句です

全然堂歳時記:現在、本号を含め57記事=春夏秋冬–年末年始=21-9-14-10–2-1
/2022.8.15

子季語:敗戦日、八月十五日
※夏痩・米国戦勝日(9月2日)を併録

 

◎葉書俳句

◎テキスト

玉砂利(たまじゃり)の上に八月十五日 ハードエッジ

玉砂利:
玉砂利は雪解(ゆきど)け水の澄(す)み流れ 岸本尚毅(   なおき)
玉砂利を踏み秋風と思ひけり 日原傳(ひはら つたえ)
ひぐらしや玉砂利明りなほ奥へ 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)
お降(さが)りに玉砂利の色改(あらた)まる 西宮舞(にしみや まい)

玉砂利/自作:
玉砂利に魂(たま)の隊列(たいれつ)陽炎(かげろ)へる ハードエッジ
玉砂利を巫女(みこ)さん帰る花の雨 ハードエッジ
玉砂利の上に花見の忘れ物 ハードエッジ
玉砂利を神へ踏みゆく天の川 ハードエッジ
玉砂利は色に沈みぬ夕時雨(ゆうしぐれ) ハードエッジ
玉砂利を巫女(みこ)の響かす落葉掻(おちばかき) ハードエッジ
玉砂利の音に我らが初詣(はつもうで) ハードエッジ
玉砂利に続く石段初詣 ハードエッジ

玉音(ぎょくおん)にみな夏痩(なつや)せてゐたりけり ハードエッジ

玉音:
玉音を聴きたるといふ夏座敷(なつざしき) 春日石疼(かすが せきとう)
玉音の聞(きこ)ゆるおもひカンナ燃え 後藤比奈夫(  ひなお)
玉音を理解せし者前に出よ 渡邊白泉(わたなべ はくせん)

万骨(ばんこつ)のそして我らの終戦日 ハードエッジ

女の子たくさん燃えて終戦日 ハードエッジ

女の子:

暖(あたた)かや前歯の欠けし女の子 ハードエッジ
あたたかにつむりを寄せて女の子 高田正子
子のこゑのことに女の子の春の暮 森澄雄
女の子坐(すわ)つて泣けり雛(ひな)の前 加藤三七子
灌仏(かんぶつ)や女人(にょにん)の中の女の子 篠原温亭(しのはら おんてい)
女の子をりをり通る椿かな 大峯(おおみね)あきら

両脇(りょうわき)に男の子女の子やはたゝ神 阿部みどり女
腹当(はらあて)や男のやうな女の子 景山筍吉(かげやま じゅんきち)
父の日の画用紙を買ふ女の子 金子敦(かねこ あつし)
ありありと裸子(はだかご)なりし女の子 綾部仁喜(あやべ じんき)
祭の中しゃくりつゝ泣く女の子 高澤良一(たかざわ よしかず)

初秋の口笛吹いて女の子 石田郷子(いしだ きょうこ)
女の子七夕竹(たなばただけ)をうち担(かつ)ぎ 高野素十(たかの すじゅう)
やはらかし花火の夜の女の子 きくちつねこ
柚子(ゆず)の香(か)やつるりと脱(ぬ)いで女の子 清水基吉(しみず もとよし)

女の子枯木に顔をあてて泣く 高野素十(たかの すじゅう)

羽子板に一人はほしき女の子 吉屋信子

絵日記もその子も燃えて終戦日 ハードエッジ

絵日記:
描きかけの絵日記置かれ夏座敷(なつざしき) 金子敦(かねこ あつし)
絵日記の白を広げて日焼(ひやけ)の子 ハードエッジ
捕(とら)はれて絵日記になる兜虫(かぶとむし) 津田清子

苦しまず死せりと遺髪(いはつ)終戦日 ハードエッジ

遺髪:
なまなまと白紙の遺髪秋の風 飯田蛇笏(いいだ だこつ)
遺髪となる髪(かみ)をのばさむ草の花 大木あまり

都市燃えて遠くの見ゆる終戦日 ハードエッジ

都市:
泳ぐなり水沒都市の靑空を 堀田季何(ほった きか)
短日や模型の都市の清らなる 髙柳克弘(たかやなぎ かつひろ)
家庭の灯だけでは都市の夜暗し 林田紀音夫(はやしだ きねお)

蟬(せみ)のごと死せる機関車(きかんしゃ)終戦日 ハードエッジ

ひねり過ぎの失敗作

別案:
機関車撃(う)たれ真つ赤に錆(さ)びて終戦日 ハードエッジ

機関車:
大いなる機関車濡(ぬ)るる花の雨 中村汀女(    ていじょ)
機関車の寒暮(かんぼ)炎(も)えつつ湖(うみ)わたる 山口誓子(   せいし)
霜(しも)の機関車の重圧にたえている車輪(しゃりん) 栗林一石路(くりばやし いっせきろ)
機関車の蒸気ゆたかに霜の駅 飴山實(あめやま みのる)
木枯(こがら)し一号てふ機関車に乗りたけれ 広渡敬雄(ひろわたり たかお)
ウインドに走る機関車クリスマス 津田伊紀子
機関車は裾(すそ)も湯げむり初詣(はつもうで) 山口誓子(   せいし)
おかしな所から機関車水出して弁当箱洗わせてくれる 市川一男

機関車/自作:
花満(はなみ)ちて蒸気(じょうき)機関車蒸気吐く ハードエッジ
東京を知らぬ機関車秋の空 ハードエッジ
機関車に日の丸立てゝお正月 ハードエッジ

校庭(こうてい)に終戦の日の土埃(つちぼこり) ハードエッジ

校庭:
校庭に降つて湧(わ)きしや苗木市(なえきいち) 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)
校庭を駐車場とし村祭 中本真人(なかもと まさと)
校庭の隅(すみ)までくれば昼の虫 安部元気(あべ げんき)

畳(たたみ)ごと団扇(うちわ)の燃えて終戦日 ハードエッジ

先行句:
戦争と畳の上の団扇かな 三橋敏雄(みつはし としお)

 

壇上(だんじょう)に菊花(きっか)山なす終戦日 ハードエッジ

山なす:
四万六千日(しまんろくせんにち)の山なすカルメ焼 斎藤夏風
飛び廻る蠅(はえ)や山なす蠅の上 ハードエッジ

白黒の間(あい)の黄色(おうしょく)終戦日 ハードエッジ

黄色:
大きくて丸くて黄色春の月 ハードエッジ
雛壇(ひなだん)は赤くプリンは黄色なり ハードエッジ
道草は黄色がよけれ蝶(ちょう)の昼 ハードエッジ
黄色なる花菜(はなな)たんぽぽチューリップ ハードエッジ
菜の花がしあはせさうに黄色して 細見綾子
卵焼黄色豆飯(まめめし)緑色 ハードエッジ

人種みな平等の夢敗戦日 ハードエッジ

植民地解放成らず敗戦日 ハードエッジ

植民地:
植民地の人にも届(とど)け愛のチョコ ハードエッジ

あやまちは勝たざりしこと終戦日 ハードエッジ

過ち:
過(あやま)ちは過ちとして爽(さわ)やかに 高濱虚子(たかはま きょし)

空青く山みどりなる終戦日 ハードエッジ

緑なる:
花の雨苔(こけ)はいよいよ緑なる 瀧澤伊代次
アスパラガスとめる輪ゴムの緑なる 清水良郎
花満(み)ちていよよ川原(かわら)の緑なる ハードエッジ
プラタナス夜もみどりなる夏は来(き)ぬ 石田波郷
豆飯(まめめし)の潰(つぶ)れし豆の緑なる ハードエッジ
鳴く虫の緑なること訝(いぶか)しむ ハードエッジ
寒菊(かんぎく)の玉の蕾(つぼみ)の緑なる ハードエッジ

終戦日大きなシーツはためかせ ハードエッジ

カルピスの水玉模様(みずたまもよう)終戦日 ハードエッジ

水玉:
食べられる水玉模様豆御飯(まめごはん) ハードエッジ
鴨(かも)の背に置く水玉のレンズかな 本井英

終戦のゆふやけ赤くうつくしく ハードエッジ

悪魔(あくま)の手借りし米国戦勝日 ハードエッジ

 

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

以上です