開発素句報 2022-02 寒卵プリンになつて喜びぬ

開発素句報 2022-02 「寒玉（かんだま）」

◎葉書俳句

◎テキスト

はるかなる北をも照（て）らす冬日かな　ハードエッジ

をも：
花烏賊（はないか）といへば墨（すみ）をも許（ゆる）しけり　今泉貞鳳（いまいずみ  ていほう）
老躯（ろうく）をも痩躯（そうく）をも蚊（か）は選ばざる　相生垣瓜人（あいおいがき かじん）
虚構（きょこう）をも喰（く）ひものにする紙魚（しみ）なりし　中原道夫
落穂（おちほ）をも踏（ふ）みかためつゝ道となる　高濱虚子（たかはま きょし）
冬の雨火箸（ひばし）をもして遊びけり　小林一茶（　　　いっさ）

雪崩（なだ）れても雪崩（なだ）れても山眠るなり　ハードエッジ

「ても」のリフレイン：
囀（さえず）りても囀（さえず）りても憂（う）し籠（かご）の鳥　阿部みどり女（じょ）
踏（ふ）まれても踏まれても犬ふぐりかな　稲畑汀子（いなはた ていこ）
開いても開いてもちるけしの花　正岡子規（　　しき）
岐（わか）れてもまた岐（わか）れても花野みち　富安風生（とみやす ふうせい）

「ても」のリフレイン/自作：
こらへてもこらへてもこの落椿（おちつばき）　ハードエッジ
秋雨（あきさめ）や灯を点（とも）しても点しても　ハードエッジ
母眠し毛糸編（あ）みても編みてもや　ハードエッジ
切られても切られてもクリスマスケーキ　ハードエッジ

石投げてみても枯野（かれの）は枯野（かれの）なり　ハードエッジ

みても：
惜（お）しみても惜しみても散る桜かな　武原はん女（じょ）
水を切る仕ぐさや日傘（ひがさ）たたみても　岡本眸（　　　　ひとみ）
紙魚（しみ）ならば棲（す）みてもみたき一書（いっしょ）あり　能村登四郎（のむら としろう）
交（つる）みても秋は寂（さび）しや蝶（ちょう）も蛾（が）も　ハードエッジ
惜（おし）みても余りある年惜みけり　ハードエッジ
行く年やいくたび鍋（なべ）を囲みても　ハードエッジ

使ひ捨てマスク業火（ごうか）に投ずべし　ハードエッジ

業火：
山火事の立ち木業火となりて燃（も）ゆ　右城暮石（うしろ ぼせき）
秋の暮業火となりて秬（きび）は燃ゆ　石田波郷（　　　　はきょう）
業火にて焼くべき鶏頭（けいとう）の肉　ハードエッジ
吹雪（ふぶ）く夜（よ）に業火で走る鉄の馬　ハードエッジ

雪を出て寒玉（かんだま）と言ふキャベツかな　ハードエッジ

雪を出：
雪を出でそれから直に青葉かな　正岡子規（　　しき）
雪を出し額の枝々影をひき　高野素十（　　　　すじゅう）
塗椀（ぬりわん）が都（みやこ）へのぼる雪を出て　川崎展宏（　　　　てんこう）
二三寸雪を出（い）でたる何かの枝（え）　ハードエッジ

寒卵（かんたまご）プリンになつて喜（よろこ）びぬ　ハードエッジ

喜びぬ：
梅雨晴（つゆばれ）をテレビの人も喜びぬ　ハードエッジ
追ひ抜けば人喜びぬ撒水車（さんすいしゃ）　ハードエッジ
窓あけば家よろこびぬ秋の雲　小澤實（おざわ みのる）
三つにて腹よろこびぬ丹波栗（たんばぐり）　森澄雄
枯原に手を振れば影よろこびぬ　細川加賀（　　かが）
寒牡丹（かんぼたん）つめたき風をよろこびぬ　黒田杏子（　　　ももこ）

冬苺（ふゆいちご）赤しケーキの断面（だんめん）に　ハードエッジ

断面：
パンケーキの断面ましろ涅槃西風（ねはんにし）　青木ともじ
耕（たがや）して土の断面だらけなり　ハードエッジ
蜥蜴（とかげ）かなし尾の断面も縞（しま）をもつ　中島斌雄（なかじま たけお）
ドーナツに断面四つ秋の暮　西生（さいしょう）ゆかり
焚口（たきぐち）に薪（まき）の断面秋収（あきおさめ）　寺澤一雄（てらさわ かずお）
断面のやうな貌（かお）から梟（ふくろう）鳴く　津川絵理子

 

◎推敲過程/テキスト

開発素句報 2022-02 推敲 テキスト

 

◎推敲過程/手書き

 

◎葉書俳句表側

 

以上です