全然堂歳時記 春の部
【ぶらんこ】
全然堂歳時記=現在、本号を含め56記事=春夏秋冬=20-9-14-10—2-1/年末年始
/2022.4.22
子季語:ふらここ、鞦韆、半仙戯
◎葉書俳句
◎テキスト
すかすかやジャングルジムもぶらんこも ハードエッジ
ぶらんこの斜に構へし支柱なり ハードエッジ
斜に構へ:
祭笛斜に構へてゐたりけり ハードエッジ
斜に構へたるは金魚をすくふため ハードエッジ
梯子してぶらんこに差す潤滑油 ハードエッジ
ぶらんこの搭乗員の列に付く ハードエッジ
列に付く:
振り切つて新入生の列に付く ハードエッジ
黙々と列につきゆく炎天下 星野立子
炎天の葬列につく手を垂れて 石原透
白靴や長距離バスの列につく 黄土眠兎
しんがりの雁けんめいに列につく 福川悠子
どの子乗せても一幅の鞦韆図 ハードエッジ
綱電車ぶらんこ前を出発す ハードエッジ
全員で漕げばぶらんこ空を飛ぶ ハードエッジ
全員:
全員が喪服で日傘さしてをり 辻桃子
全員が十七歳や夏講座 齋藤朝比古
全員サングラス全員初対面 西生ゆかり
全員が虫売の顔忘れけり 千野千佳
ぶらんこの引力圏を脱すべく ハードエッジ
引力:
引力といふものありて亀鳴ける 奥坂まや
引力の匂ひなるべし蓬原 正木ゆう子
引力のありて落ちけり赤い羽根 山本紫黄
うすうすと月の引力鮭帰る 藤村真理
柿熟れて引力の効きはじめたる 大串章
数へ日も引力圏を逃れ得ず ハードエッジ
ぶらんこのもう十回をも一回 ハードエッジ
ぶらんこに乗つて転校して行きぬ ハードエッジ
転校:
一本は転校生の桜かな 柏柳明子
転校の子に友出来て柏餅 長崎小夜子
朝顔の鉢そのままに転校す 長石彰
転校は履歴書に無し蓼の花 利普苑るな
ぶらんこが名残を惜しむかに揺れて ハードエッジ
ぶらんこで待つ約束を忘れしや ハードエッジ
約束:
果たされて約束消ゆる春の山 矢島渚男
約束の如くにそこに落椿 上野泰
豆にして返す約束豆の花 岩田由美
火の色の水着を見せる約束も 櫂未知子
約束の目高もさげて野菜売 塩谷はつ枝
約束の橋のたもとに苧殻焚く 中嶋秀子
この辺で待つ約束や草の花 今井つる女
約束のごと一本の曼珠沙華 細見綾子
約束の寒の土筆を煮て下さい 川端茅舎
ぶらんこも代替りせし母校かな ハードエッジ
母校:
田のわれにとどく母校の卒業歌 中川博秋
レガッタの母校を囃し相識らず 今戸光子
浴衣着て母校に集ふ花火の夜 ハードエッジ
通り過ぐ雨の母校のプールの香 鈴木鷹夫
明日は遠足ぶらんこを漕ぎに漕ぐ ハードエッジ
三保の松原ぶらんこ吊つてみたきかな ハードエッジ
ぶらんこにゆるる一反木綿なり ハードエッジ
熟田津の鞦韆に乗り漕ぎ出でな ハードエッジ
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな 額田王
真夜中のぶらんこ漕ぐはかぐや姫 ハードエッジ
推敲句:
月明にぶらんこ漕ぐはかぐや姫 ハードエッジ 2022.4.22
かぐや姫:
春寒や竹の中なるかぐや姫 日野草城
月今宵故国へ帰るかぐや姫 ハードエッジ
名月や金でつらはるかぐや姫 高井几董
初夢のかがやくところかぐや姫 鷹羽狩行
ぶらんこで呼べば流星号来る ハードエッジ
→『スーパージェッター』主題歌フルバージョン 1965~1966 ←提供:丸美屋食品工業
ぶらんこは蒙古チューインガムはマヤ ハードエッジ
◎推敲過程/テキスト/pdf
全然堂歳時記 春 【ぶらんこ】テキスト推敲
◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf
全然堂歳時記 春 【ぶらんこ】A4推敲◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf
全然堂歳時記 春 【ぶらんこ】葉書推敲
◎鞦韆秀句
鞦韆に腰かけて読む手紙かな 星野立子
ふらここを揺りものいはずいつてくれず 中村汀女
鞦韆や燈台守の垣のうち 高野素十
半仙戯むらがり遊ぶ鳩の中 鈴木花蓑
園児来ぬ日よふらここの淋しき日 後藤比奈夫
ぶらんこを今度のる子が押してゐる 江本英一
ぶらんこの子の悲鳴めく笑ひ声 中本真人
ふらここやひとり遊びの子がふたり 西宮舞
一人占めせしふらここに独りぼち 河野美奇
合羽着て雨のふらここ独り占め 石川美佐子
ふらここの影がふらここより迅し 齋藤朝比古
ぶらんこの三つあれば母真ん中に 森田峠
ぶらんこを降りて掌を嗅ぎ少女なる 榮猿丸
浮雲やブランコに置くランドセル 山下つばさ
ふらここのよぢれて戻らない鎖 箱森裕美
入口のやうにふらここ吊られけり 齋藤朝比古
ブランコが揺れているのは暗号か 大西泰世
◎参考サイト
以上です