春 【遠足】 遠足のなんと小さな頭数

全然堂歳時記 春の部
【遠足】えんそく

全然堂歳時記=現在、本号を含め55記事=春夏秋冬=19-9-14-10—2-1/年末年始
/2022.4.14

◎葉書俳句

※お詫びと訂正:
葉書俳句の右下の書式に、
長らく「14ポ」と表記していましたが、実際は「12ポ」でした。ごめんなさい

◎テキスト

遠足のなんと小さな頭数あたまかず ハードエッジ

頭数:
遠足の頭たたいて頭数 加藤静夫
黒板の屠殺とさつ頭数とうすう雲のみね 奥坂まや

遠足の小学校のがらんどう ハードエッジ

がらんどう:
生きてゐてがらんどうなり炎天下えんてんか 中村苑子   そのこ
ありあふれをり落柿のがらんどう 佐々木六戈ささき ろっか
木枯こがらしや郵便受けのがらんどう 金子敦かねこ あつし
荒海あらうみやなわとびの中がらんどう 冬野虹ふゆの にじ
たか去つて双眼鏡そうがんきょうのがらんどう 小野あらた
天辺てっぺんわしゐておりのがらんどう 石井とし夫

遠足の列に入つてみたきかな ハードエッジ

みたきかな:
猫の子に小判こばんほうつてみたきかな ハードエッジ
夕立に番号振つてみたきかな ハードエッジ
取りへず氷は割つてみたきかな ハードエッジ
地球儀ちきゅうぎ焚火たきびべてみたきかな ハードエッジ
大いなる焚火になつてみたきかな ハードエッジ

遠足や我らが町の天守閣てんしゅかく ハードエッジ

天守閣:
四方よもけいたがへて天守閣涼し 片山由美子
色変へぬ松したがへて天守閣 鷹羽狩行たかは しゅぎょう
天守閣北窓きたまどふさぐことはなし 後藤比奈夫  ひなお
天守閣いづくにつも初景色 舘岡沙緻たておか さち

遠足や我家わがやの見ゆる丘の上 ハードエッジ

我家:
畑打や我家も見えて暮れかぬる 与謝蕪村よさ ぶそん
丸善まるぜん檸檬れもんわが家に桜餅さくらもち ハードエッジ
恋をしてわが家の猫と思はれず 小圷健水こあくつ けんすい
はえが出てあり出てわが家活気かっきづく 右城暮石うしろ ぼせき
雪兎ゆきうさぎわが家に娘なかりけり 岩城久治いわき ひさじ
降誕祭こうたんさい町にふる雪わが家にも 安住敦あずみ あつし
ねぎをよく買ふ妻のゐて我家なり 宮津昭彦みやつ あきひこ
旗日はたびとやわが家に旗も父も無し 池田澄子   すみこ

遠足の子らを満載まんさい春の山 ハードエッジ

 

遠足の新型バスがぴつかぴか ハードエッジ

 

遠足のバスをつらねて海を見に ハードエッジ

 

遠足のバスがかの山かの川へ ハードエッジ

 

遠足に原寸大げんすんだいの富士の山 ハードエッジ

遠足のおしやべりめば歌ふなり ハードエッジ

ころころとが遠足のおむすびぞ ハードエッジ

誰が:
ひしもちのひし形は誰が思ひなる 細見綾子ほそみ あやこ
涅槃会ねはんえや誰が乗り捨ての茜雲あかねぐも 上田五千石   ごせんごく
行く末は誰がはだふれむべにの花 松尾芭蕉    ばしょう
誰がためにやみに花咲く月見草 稲畑汀子いなはた ていこ
誰がために生くる月日ぞ鉦叩かねたたき 桂信子
誰が妻とならむとすらむ春着の子 日野草城    そうじょう

遠足にけて悲しやチョコレート ハードエッジ

遠足やキリンの首とぞうの鼻 ハードエッジ

年々歳々ねんねんさいさい奈良遠足の教師たり ハードエッジ

年々歳々/歳々年々:

年々歳々ねんねんさいさい相似あいにたり初芝居はつしばい 久保田万太郎
歳々年々さいさいねんねん人同じからず初芝居 久保田万太郎

遠足で奈良を出てゆく奈良の子ら ハードエッジ

遠足で別の小学校に会ふ ハードエッジ

すねきずもらつて帰る遠足子 ハードエッジ

まだ見ゆる遠足の子ら山下る ハードエッジ

遠足後「バックオーライ」流行はやりけり ハードエッジ

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全然堂歳時記 春 【遠足】テキスト推敲

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

全然堂歳時記 春 【遠足】A4推敲

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全然堂歳時記 春 【遠足】葉書推敲

◎遠足秀句

診断書しんだんしょ書く遠足に行けますと 平野仲一ひらの ちゅういち
海見えてより遠足の海の歌 川原つう
遠足やひとり唄へばみな唄ふ 今津貴尉
遠足の女教師の手にれたがる 山口誓子   せいし
遠足の先生だけが標準語 馬場公江
遠足のおくれ走りてつながりし 高濱虚子たかはま きょし
遠足の子らがのぞける車掌室しゃしょうしつ 中本真人なかもと まさと
遠足にとり囲まれてぞう孤独こどく 野中亮介のなか りょうすけ
遠足の三百人の予約席 中本真人なかもと まさと
遠足の水筒すいとう空となる頃か 鷹羽狩行たかは しゅぎょう

◎参考サイト

「遠足」/増殖する俳句歳時記

以上です