ペア77 其中に金鈴をふる虫一つ 高濱虚子

追記:種子袋/2020.9.24

ペア77

◎足を伸ばす

投げ出して足遠くある暮春ぼしゅんかな 村上鞆彦    ともひこ

花の宿湯舟に足の長きかな ハードエッジ

 

 

◎紫変化

も春の野に下り立てば紫に 星野立子

芳草ほうそうや黒きからす濃紫こむらさき 高濱虚子たかはま きょし

 

 

◎いろんな形

苗代なわしろ短冊たんざく形と色紙しきし形 正岡子規  しき

種子袋しゅしぶくろ四角目覚時計丸 ハードエッジ

線と丸電信棒でんしんぼう田植傘たうえがさ 高濱虚子

 

 

◎玄関の客

玄関によその猫をる朝曇あさぐもり 日原傳ひはら つたえ

七夕の玄関にかに来てゐたり 正木ゆう子

玄関にひきのきてゐる星祭 大木あまり
  ※蟇=がま、かも

玄関にまた蟷螂とうろうの入りて来し 右城暮石うしろ ぼせき

 

 

◎獣めき

シャワー浴ぶ体もれてけものめき 能村登四郎のむら としろう

寒泳かんえいの髪乾くまで獣めき 齋藤朝比古さいとう あさひこ

 

 

◎飽食

たべきてとんとん歩くからすの子 高野素十    すじゅう

食べ飽きて柿にくつろ稲雀いなすずめ ハードエッジ

 

 

◎洗桶

の花やはしの浮きたる洗桶あらいおけ 小川軽舟    けいしゅう

二三粒葡萄ぶどう沈みし洗桶 ハードエッジ

 

 

◎金の鈴

其中そのなか金鈴きんれいをふる虫一つ 高濱虚子

河骨こうほねの金鈴ふるふ流れかな 川端茅舎    ぼうしゃ

 

 

◎決心

葡萄ぶどうの種吐き出して事を決しけり 高濱虚子

手袋に五指ごしわかちて意を決す 桂信子

 

 

◎母出現

外套がいとうげば一家のお母さん 八木忠栄や ぎ ちゅうえい

手袋を出て母の手となりにけり 仲寒蝉なか かんせん

 

 

以上です