ペアリング65 流すべき流燈われの胸照らす 寺山修司

追記:人参/2020.3.16

ペアリング65

◎雪の軋み

残雪(ざんせつ)を軋(きし)ませつ摘(つ)む蕗(ふき)の薹(とう) 篠田悌二郎(しのだ ていじろう)

ふるさとや雪きしませて羽子手毬(はご てまり) 臼田亞浪(うすだ あろう)

 

 

◎おとぎ話

しやぼん玉わつて天使の楽しけれ ハードエッジ

物の怪(け)の椿を落す遊びかな 山根真矢

 

 

◎土と色

入学や色濃き土のやはらかく 今泉礼奈

鍬(くわ)入れて土を濃くせり百千鳥(ももちどり) 大岳水一路(おおたけ すいいちろ)

黒土にまぎるるばかり菫(すみれ)濃し 山口誓子(   せいし)

雪解(ゆきどけ)の土の色濃し蕗の薹 ハードエッジ

 

 

◎胸の明り

螢籠(ほたるかご)ゆかたすがたの胸ほのと 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

流すべき流燈(りゅうとう)われの胸照らす 寺山修司

 

 

◎荒海の植物

風の蓮(はす)広し荒海さながらに 阿波野青畝(あわの せいほ)

荒海のやうなる芋(いも)の嵐(あらし)かな 辻桃子

荒海につづく激(はげ)しき水仙花 ハードエッジ

 

 

◎あかい場所

火を焚(た)いてそこのみ紅(あか)し秋の浜 山口誓子

山寺のあたりが赤し除夜(じょや)の鐘(かね) ハードエッジ

 

 

◎モナリザ

モナリザの瞳(ひとみ)に映る天の川 ハードエッジ

モナリザの背にある道も晩秋(ばんしゅう)に 対馬康子(つしま やすこ)

 

 

◎冬の日あたり

なまじよき日當(ひあた)りえたる寒さかな 久保田万太郎

冬ぬくし日当りよくて手狭(てぜま)くて 高濱虚子(たかはま きょし)

 

 

◎落葉と過去未来

この道にかの日かへらぬ落葉かな 稲垣きくの

この道を行くほかはなき落葉かな 金箱戈止夫(かねばこ かしお)

 

 

◎切り刻む

松過ぎの葱大根(ねぎだいこん)を切り刻み ハードエッジ

蕗の薹寒のむらさき切りきざむ 橋本多佳子

人参(にんじん)を微塵(みじん)に切つて春を待つ ハードエッジ

 

以上です