ペアリング63 春昼の積木崩しの悲鳴らし ハードエッジ

追記:長台詞・希臘悲劇/2021.1.31

ペアリング 63

◎悲鳴

春昼(しゅんちゅう)の積木崩(つみきくず)しの悲鳴(ひめい)らし ハードエッジ

ぶらんこの子の悲鳴めく笑ひ声 中本真人(   まさと)

悲鳴にも似たり夜食の食べこぼし 波多野爽波(はたの そうは)

釘抜けば悲鳴をあげぬ鵙日和(もずびより) 高澤良一(たかざわ よしかず)

 

 

◎時刻表

行く春やしばし見あげて時刻表(じこくひょう) ハードエッジ

厳寒(げんかん)の駅かんたんな時刻表 仲寒蝉(なか かんせん)

大寒(だいかん)や投げてばたばた時刻表 ハードエッジ

白く立つ枯野の中の時刻表 ハードエッジ

 

 

◎閉め忘れ

梅雨(つゆ)の月閉(し)めわすれたる窓にかな 久保田万太郎

月の木戸しめ忘れたる夜風かな 飯田蛇笏(   だこつ)

 

 

◎見せ場

夏芝居(なつしばい)腹切つてより長台詞(ながぜりふ) 安里道子(やすざと    )

ながながと切腹の場や夏芝居 大木あまり

鷹渡(たかわた)る希臘悲劇(ギリシャひげき)の長台詞 竹岡一郎

見得(みえ)を切るまでをながなが初芝居 戸恒東人(とつね はるひと)

初曽我(はつそが)や敵(かたき)を前に長科白(ながせりふ) 大堀柊花(おおほり しゅうか)

 

 

◎めだま

つぶらなる汝(な)が眼吻(す)はなん露(つゆ)の秋 飯田蛇笏

愛かなしつめたき目玉舐(な)めたれば 榮猿丸(さかえ さるまる)

 

 

◎追悼

いつもあなたに褒(ほ)められたかつた初涼(しょりょう) 阿部知代

先生ありがとうございました冬日ひとつ 池田澄子

 

 

◎雪の枝

二三寸雪を出(い)でたる何かの枝(え) ハードエッジ

雪を出し額(がく)の枝々影をひき 高野素十(    すじゅう)

 

 

◎燃える鏡

姿見の火事を映(うつ)して火事の中 山田露結(   ろけつ)

母を消す火事の中なる鏡台に 寺山修司

大鏡火事をうつして崩(くず)れけり 柿本多映(  たえ)

 

 

◎暦の終り

古暦(ふるごよみ)余白なきまで遊びたる 橋本榮治

平穏(へいおん)は余白にありて暦果(こよみは)つ 伊藤伊那男(  いなお)

 

 

◎希望の丘

希望が丘緑ヶ丘より賀状くる 宇多喜代子

夢ヶ丘希望ヶ丘や冴返(さえかえ)る 相子智恵(あいこ ちえ)

 

 

以上です