和語俳句 【く】 秋は餉のあともくつろぐ木の実あり 森澄雄

分割/2017.12.20
◎和語俳句、か行の「く」です
  →「か」
  →「き」
  →「け」
  →「こ」

◎梳る=くしけずる

  →梳く=すく

親馬は梳らるる仔馬跳び  高野素十(すじゅう)

あぎとあげ洗ひし髪を梳り  上野泰
  ※あぎと=顎=あご

蘆刈の天を仰いで梳る  高野素十
  ※蘆刈=あしかり
  →蘆刈/GGL

 

 

◎擽る=くすぐる

るりるりと天をくすぐる雲雀かな  ハードエッジ
  ※雲雀=ひばり

やはらかき泥にくすぐりあうて蝌蚪  高田正子
  ※蝌蚪=かと=オタマジャクシ

くすぐつたいぞ円空仏に子猫の手  加藤楸邨(しゅうそん)
  ※円空仏=えんくうぶつ
  →円空仏/GGL

さくらんぼくすぐるやうに洗ひけり  金子敦(あつし)

少しだけ擽ってやるとんがらし  前田弘

梵鐘をくすぐるごとし煤払  長谷川櫂(かい)
  ※梵鐘=ぼんしょう、煤払=すすはらい

 

 

◎覆る=くつがえる

  →翻る=ひるがえる

桜貝小さき波にくつがへり  西村和子

出漁の波流燈をくつがへす  岡本眸(ひとみ)
  ※流燈=りゅうとう

 

 

◎寛ぐ=くつろぐ

指ゆるめ紫雲英の束を寛がす  橋本美代子
  ※紫雲英=れんげ

秋は餉のあともくつろぐ木の実あり  森澄雄
  ※餉=げ

新涼の胸くつろげてありにけり  川崎展宏(てんこう)
  ※新涼=しんりょう

 

 

◎くねる

春泥を体くねらせ女来る  上村占魚(せんぎょ)
  ※春泥=しゅんでい

洗ひ馬背をくねらせて上りけり  飯田蛇笏(だこつ)

鉄道のうねりくねりや夏木立  正岡子規(しき)

明月を邪魔せぬ松のくねり哉  正岡子規
  ※邪魔=じゃま、哉=かな

蚯蚓鳴く寂しさに身をくねらせて  ハードエッジ
  ※蚯蚓=みみず

太幹をくねらせて色変へぬ松  片山由美子

凩のまがりくねつて響きけり  夏目漱石(そうせき)
  ※凩=こがらし

カーテンに障子の桟の影くねり  高濱虚子(たかはま・きょし)
  ※障子=しょうじ、桟=さん

 

その他のか行:

  →「か」
  →「き」
  →「け」
  →「こ」

以上です