和語俳句 【か】 かしこげに首を傾げて子猫かな 長谷川櫂

追記:数へ日/2018.9.23、(象の鼻/2018.3.9)、黴ぶ/2018.2.17、担ぐ/2018.1.4
分割/2017.12.11
庇ふ・抱ふ/2017.12.11、擽る/2017.11.26、寛ぐ/2017.9.21、絡む/2017.9.14、数ふ/2017.9.12、梳る/2017.9.1、穢る/2017.8.31
◎和語俳句、か行の「か」です
→「き」
→「く」
→「け」
→「こ」

◎顧みる=かえりみる

見廻して顧みもして親雀  高濱虚子(たかはま・きょし)

  次作は、雀から雲雀へ、横のものを縦にしてみました
顧みることなく上る雲雀かな  ハードエッジ
  ※雲雀=ひばり

顧みて馬車まだ見ゆる枯野かな  五十嵐播水(ばんすい)

 

 

◎抱ふ=かかう

→抱く=いだく
→抱く=だく

抱へたる水菜が首につめたくて  岸本尚毅(なおき)

夏の闇鶴を抱へてゆくごとく  長谷川櫂(かい)

しんかんと蜥蜴が雌を抱へをり  横山白虹(はっこう)
  ※蜥蜴=とかげ

抱へゆく顔にせまりて大牡丹ぼたん  松藤夏山
  ※牡丹=ぼたん

秋晴や太鼓抱へにすすぎもの  上野泰(やすし)
  ※太鼓=たいこ

つまみたる芋虫に指抱へられ  大塚次郎

 

 

◎匿ふ=かくまう

桜貝握り拳に匿へり  ハードエッジ
  ※握り拳=にぎりこぶし

 

 

◎傾ぐ=かしぐ

捨雛傾ぎて笛を手離さず  大串章
  ※捨雛=すてひいな

畦塗るや首をかしげて懇に  高濱虚子
  ※畦塗る=あぜぬる、懇=ねんごろ

かしこげに首を傾げて子猫かな  長谷川櫂

 

 

◎傅く=かしずく

七十の母がかしづく雛かな  山田みづえ
  ※雛=ひいな

春燈にかしづくごとく花舗の花  五十嵐播水(ばんすい)
  ※花舗=かほ=花屋の圧縮バージョン

月明やものみな影にかしづかれ  西宮舞(にしみや・まい)
  ※月明=げつめい

 

 

◎数ふ=かぞう

数へ日=季語

揚雲雀都の家を数へ居る  正岡子規
  ※揚雲雀=あげひばり

山頂に生徒を数ふ雲の峰  大塚次郎

数へ日の数へるまでもなくなりぬ  鷹羽狩行たかは しゅぎょう

数へるにしても短日ばかりなり  ハードエッジ

手毬つく十まで数ふことできて  成瀬櫻桃子(おうとうし)
  ※手毬=てまり

 

 

 

◎渉る=かちわたる、わたる

蛭のゐる処ときけど渉る  星野立子
  ※蛭=ひる、処=ところ

流れはやし猟銃肩に渉る  山口誓子(せいし)
  ※猟銃=りょうじゅう

 

 

◎担ぐ=かつぐ

雪みちを雛箱かつぎ母の来る  室生犀星(むろう・さいせい)
  ※雛箱=ひなばこ

木蓮を折りかつぎ来る山がへり  高濱虚子
  ※木蓮=もくれん

担がれて神輿暴れてゐたりけり  ハードエッジ
  ※神輿=みこし、暴れて=あばれて

女の子七夕竹をうち担ぎ  高野素十(すじゅう)

大熊手かつぎ直すに小判鳴る  菖蒲あや(しょうぶ・)
  ※熊手=くまで

落葉籠熊手も入れて担ぎけり  篠原温亭(しのはら・おんてい)
  ※籠=かご

 

 

◎奏づ=かなづ

石ごとに水は奏でて桃の花  鈴木鷹夫

慈雨到る絶えて久しき戸樋奏で  高濱虚子
  ※慈雨=じう、戸樋=とひ

雪解の屋根朗らかに奏でをる  ハードエッジ
  ※雪解=ゆきどけ、朗らか=ほがらか

一対の塔木枯を奏で合ふ  藤田湘子(しょうし)
  木枯=こがらし

 

 

◎庇ふ=かばう

病む夫をかばふ日傘を高くしぬ  岡本眸      ひとみ

親鴨の水尾のかばへる子鴨かな  西村和子
  ※鴨=かも、水尾=みお

一家して苧殻焚く火をかばひ合ふ  鈴鹿野風呂すずかのぶろ
  ※苧殻=うがら、焚く=たく

肘張りて新酒をかばふかに飲むよ  中村草田男   くさたお
  ※肘=ひじ

病雁を庇ふ襖を引きにけり  八田木枯    こがらし
  ※病雁=びょうがん、襖=ふすま

獅子舞のかしら庇ひて濡れゆけり  塩谷はつ枝
  ※獅子舞=ししまい、濡れ=ぬれ

独楽の子をたしなめ羽子の子をかばふ  富安風生とみやす ふうせい
  ※独楽=こま

 

 

◎黴ぶ=かぶ

黴びし物びたる物としずかなり  相生垣瓜人あいおいがき かじん

もの黴びる星に生まれし涼しさよ  大谷弘至おおたに ひろし
  黴をポジティブに捉えた句は貴重です
  黴にはもっと感謝してしかるべきでしょう

  なにしろ、
  こうした微生物があったからこそ、
  我々は火星人の侵略から地球を守ることが出来たのです
  →「宇宙戦争」/wiki
  →「宇宙戦争」2005 予告編/ut

  動詞ではありませんが、
  ポジティブな黴の句をもう1句、
  青黴の春色ふかし鏡餅  佐々木有風ゆうふう
  目出度い鏡餅が黴びてしまいました
  しかし、
  それを、もう一度、春色で目出度く脚色してみました

  言いも言ったり! \(^o^)/
  鏡餅自身も呆れてものが言えないか

  いや、
  莞爾かんじとして微笑ほほえんでいるのかも

 

楽園に恥ゆき渡るごとく黴ぶ  岡田一実
  聖俗の反転は俳句の常套ですが、
  これは力技です

  楽園は空想です
  恥は心情です
  黴は実態です
  実態ではありますが、触れない方が無難です

  分厚い構成です、、、黴ほどに?

  なお、
  当方の「55DB」に「黴ぶ」の例句は、
  これ1句のみでした/2018.2.18

  楽園には、
  桃源郷とうげんきょう蓬莱山ほうらいさん補陀落ふだらく
  などが、ありますが、
  楽園自体はキリスト教由来の新しい言葉のようです
  →楽園/Weblio

  ならば、
  恥ではなくて罪(原罪)か、とも思いますが、
  一面の黴(日本化?)で、
  既に、区別が出来なくなっているのかも

  書名しか知りませんが、
  →ベネディクト『菊と刀』

 

伏せ置きし鏡が黴びて鏡餅  ハードエッジ
  鏡餅のどこが鏡なのか?
  凸面鏡なのか、と思ってましたが、
  あれは鏡を伏せてあるんですね

  昔、教科書で、
  神鏡とか、銅鏡とか出てきましたが、
  なぜか、表面は装飾で凸凹
  ピカピカに磨いても実用には程遠い感じです

  博物館でも凸凹面をこちら向きに展示してますが、
  鏡の役目からすれば、あれは裏面なんですね
  (早目に言って欲しかった)

  また、博物館なら、
  当時の技術力を理解するためにも、
  レプリカで磨かれた状態の銅鏡も展示し、
  さらに、1ヶ月後、半年後、1年後などの
  曇ってきた銅鏡の鏡面とも比較できれば、
  古人の苦労も忍ばれるというものです
  博物館員、ガンバ!

  さてさて、
  神を映す鏡なら、
  通常は伏せておくのがいいのかも知れませんが、
  何故、2段重ねなんでしょう?
  (3段もあるようですが)
  鏡面が傷つくではありませんか

  また、逆に、
  1段はあるのかしら?
  重ねは必須なのか?

  調べて、
  読者にご報告すべきなんでしょうが、
  時間ないので、自習してください。ゴメン
  →鏡餅/wiki
  →銅鏡/ggl画像

 

 

◎乾ぶ=からぶ

恋をしてからびし蚯蚓かもしれず  しなだしん
  ※蚯蚓=みみず

鮭といふ一本の朱乾びけり  長谷川櫂

赤裸々に乾びてゐたる唐辛子  ハードエッジ
  ※赤裸々=せきらら、唐辛子=とうがらし

 

 

 

◎絡む=からむ

夏草に延びてからまる牛の舌  高濱虚子

  舌では役に立たない時は、
  丸ごとの西瓜すいか巻き取るぞうの鼻  ハードエッジ

 

 

◎まとめの3句

石ごとに水は奏でて桃の花  鈴木鷹夫

かしこげに首を傾げて子猫かな  長谷川櫂

桜貝握り拳に匿へり  ハードエッジ
  ※握り拳=にぎりこぶし

以上です
お読み頂きありがとうございました