悼む追加/2018.2.4、分割/2017.12.14
◎和語俳句、あ行の「い」です
→「あ」
→「う」
→「え」
→「お」
◎憤る=いきどおる
秋の夜の憤ろしき何々ぞ 石田波郷(はきょう)
冬薔薇やなにへともなき憤り 稲垣きくの
※薔薇=ばら
◎誘ふ=いざなう
西行を誘ひたるも蝶なるや 樋口和子
巻き髪がふわりと東風を誘へる 青島玄武(はるたつ)
※東風=こち
明々と死への誘ひ誘蛾燈 ハードエッジ
※誘蛾燈=ゆうがとう
◎急ぐ=いそぐ
暖かき春へと急ぐ二月かな ハードエッジ
あてどなく急げる蝶に似たらずや 藤田湘子(しょうし)
鳥羽殿へ五六騎急ぐ野分かな 与謝蕪村(よさ・ぶそん)
※鳥羽殿=とばどの、野分=のわき=台風
→鳥羽殿画像/GGL
橋に架け木にかけ晩稲刈りいそぐ 篠田悌二郎
※晩稲=おくて
銀杏散る善は急げと言ふ如く ハードエッジ
※銀杏=いちょう
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々 水原秋櫻子(しゅうおうし)
※啄木鳥=きつつき
木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ 加藤楸邨(しゅうそん)
◎悼む=いたむ
寒椿師を悼む句を褒められぬ 草間時彦
◎労る=いたわる
cf.労ふ=ねぎらう
いたはられさみしくなりぬ春の風邪 菖蒲あや(しょうぶ・)
夏痩と勞はられゐてさからはず 星野立子
※夏痩=なつやせ
父の喪の母をいたはる極暑かな 森田峠
※喪=も、極暑=ごくしょ
受験子を励まし風邪をいたはらる 林翔(はやし・しょう)
◎抱く=いだく
みつしりと闇を抱ける椿かな 西村和子
抱かれて葭簀の影を顔の上 辻桃子
※葭簀=よしず
子に破魔矢持たせて抱きあげにけり 星野立子
※破魔矢=はまや
いい匂ひ春著の母に抱かれて ハードエッジ
◎慈しむ=いつくしむ
空蝉を風の中にていつくしむ 山口誓子(せいし)
※空蝉=うつせみ
ガラスあることを忘れて慈しむ 和田悟朗
※無季俳句
◎偽る=いつわる
偽りの色などあらず七変化 若井新一
一点の偽りもなく青田あり 山口誓子
偽りも嘘もまことや西鶴忌 石山佇牛
※西鶴忌=さいかくき
◎警む=いましむ=戒む
泳ぎ子を警め通る草刈女 清崎敏郎(としお)
※泳ぎ子=およぎご、草刈女=くさかりめ
恋猫やラジオは風邪を警しめつ 岸風三楼(ふうさんろう)
その他のあ行:
以上です