3句追加/2017.12.10
全然堂歳時記 冬の部
【氷柱】つらら
へし折つて鬼の引きずる大氷柱
怖い夢見しや氷柱の曲りしは
※怖い=こわい
姫氷柱一夜氷柱と申すべく
細みとは朝日に透ける氷柱かな
青空の青美しき氷柱かな
棒のごとく柱のごとく氷柱かな
氷柱さへ節くれ立ちしこの辺り
梅が枝の肘の辺の氷柱かな
※梅が枝=うめがえ、肘=ひじ、辺=あたり
寄り添つて二本冷たき氷柱かな
※寄り添つて=よりそって
折り取りて氷柱無用に美しき
折られたる処に小さき氷柱かな
盾になり折れば矢になり軒氷柱
※盾=たて、軒氷柱=のきつらら
五六本氷柱刺したるバケツかな
※刺したる=さしたる
月遠く星なほ遠く氷柱かな
三日月に垂るる氷柱もなかりけり
軒氷柱一寸伸びるほど長湯
少しづつ書いてつらつら氷柱の夜
一夜明け氷柱長者となりにけり
日当りて氷柱長者の家に楽
※楽=がく
家々も胴ぶるひせよ軒氷柱
※胴=どう
酒蔵のふつりふつりと氷柱かな
ドア開けた拍子に氷柱薙ぎ落す
※薙ぎ=なぎ
氷柱抜け落ちて壊れて解け流れ
雫せり長き氷柱を伝ひ来て
※雫=しずく
解けて行く氷柱よ何もかも忘れ
※解けて=とけて
日を浴びてうつらうつらと軒氷柱
祝福の日に昇天の氷柱かな
※昇天=しょうてん
以上です