再分割/2018.2.5、分割/2017.12.14
◎和語俳句、あ行の「う」です
→「あ」
→「い」
→「え」
→「お」
◎蠢く=うごめく
→犇めく=ひしめく
春めく、夏めく、という言葉から逆算すると、
うごめく=動く+めく、でありますが、
さて、どうでしょうか?
爺婆の蠢き出づる彼岸かな 内藤鳴雪(めいせつ)
※爺婆=じじばば、彼岸=ひがん
蠢く=春+虫+虫、ですから、
爺婆を虫けら扱いの、非情な句とも読めますが、
冬眠を終えて、春の虫が出て来る=
啓蟄=けいちつ=3月6日頃、も過ぎた、
彼岸=3月21日前後の1週間、なら、
いよいよ満を持して、爺婆の出番だ、とも読めます
暑さ寒さも彼岸までですから、
よく晴れた日にお墓参りに行って、
同世代の誰彼と会って、ご機嫌なのかも知れません
余談ですが、
二葉亭四迷=ふたばてい・しめい、は、
「くたばって仕舞(め)え」のモジリですが、
鳴雪さんは、
「何事も成行きに任す」の当字だそうです
鳴雪さんの句には、
元日や一系の天子不二の山 内藤鳴雪
という、堂々たる句もありますが、
貰ひ来る茶碗の中の金魚かな 内藤鳴雪
※貰ひ=もらい、茶碗=ちゃわん
という、呑気な句もあります
さらに、余談ですが、
1-2、の目出度さ以外に、
7-8-9、の目出度さもあります
いにしへの奈良の都の八重桜
けふ九重に匂ひぬるかな 伊勢大輔(いせのたいふ)
奈良七重七堂伽藍八重桜 松尾芭蕉(ばしょう)
※伽藍=がらん
春潮のひじきの岩の蠢ける 矢島渚男(なぎさお)
※春潮=しゅんちょう
ちょっと不気味です
ヒジキ=鹿尾菜は、
ワカメや昆布と違って、海中ではなく、
波当たりのやや強い岩上に生えるので、
まさに、岩が蠢く様であります
鵙が食みこぼしゝものぞうごめける 八木絵馬(えま)
※鵙=もず、食み=はみ
◎疑ふ=うたがう
すぐ晴れん空疑はぬ辛夷かな 阿波野青畝(せいほ)
※辛夷=こぶし
通り雨薄暑疑ひなかりけり ハードエッジ
こもり居て雨うたがふや蝸牛 与謝蕪村(よさ・ぶそん)
※蝸牛=かたつむり
初夢の吉に疑無かりけり 松瀬青々
◎促す=うながす
散ることをうながすごとく花篝 片山由美子
※花篝=はなかがり
夕焼に促されつつさやうなら ハードエッジ
八朔や太鼓うながす巫女の鈴 小川軽舟(けいしゅう)
※八朔=はっさく、太鼓=たいこ、巫女=みこ
全山のもみぢ促す滝の音 山内遊糸(ゆうし)
◎頷く=うなずく
白玉やうなづくばかり子の返事 目迫秩父(めさく・ちちぶ)
※白玉=しらたま
水桶にうなづきあふや瓜茄子 与謝蕪村
※水桶=みずおけ、瓜茄子=うりなすび
うり西瓜うなづきあひて冷えにけり 高濱虚子(たかはま・きょし)
※西瓜=すいか
◎肯ふ=諾ふ=うべなう
故友なきこと除夜時かけて肯ふも 石田波郷(はきょう)
※故友=こゆう=旧友、除夜=じょや
身を以て五十の冷えを肯へる 石田あき子
※以て=もって
作者は波郷さんの奥さんです
その他のあ行:
以上です