2020.3.24:カテゴリー名修正 俳句類題を分割して名称変更 →お手本歳時記、お手本切口 2020.1.7:pdf 表示不具合解消 3週間ほど、ご迷惑をおかけしました 先月、”PDF Embedder” をバージョン
投稿者: ハードエッジ
開発素句報 2019-10 秋深く赤い夕日を滲ませて
柿の木がこの柿食へと枝垂れけり
湯煙の夜空に消ゆる紅葉かな
少しづつ天気良き日の冬支度
夏 【梅雨2】 梅雨の川みるみる土手を削りをる
持つて出る昨日の傘や梅雨暗し
梅雨出水畦道消えて恐ろしや
草引けば土美しや梅雨晴間
【水底】 水底に映れる影もぬるむなり 杉田久女
水底の目高の影の方が濃し 西村和子
水底に映れるごとし遠花火 長谷川櫂
水の底突けば固しや水澄める 岸本尚毅
夏 【梅雨1】 降りますなあ降るもんですなあ梅雨長し
降り方の緩急自在梅雨の日々
梅雨なれや傘の袋が落ちてをる
長梅雨の変な処に変な虫
ペアリング40 白梅の硬き蕾の香なりけり ハードエッジ
拾はれてよりの仕合せ桜貝 後藤比奈夫
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る 中村汀女
元日は大吹雪とや潔し 高野素十
夏 【豆飯】 豆飯を食ふや新茶もごくごくと
卵焼黄色豆飯緑色
目に見えぬ塩の恩寵豆御飯
母の日の母なき月日豆ごはん
ペアリング41 朝顔や板戸にしみて釘のさび 長谷川櫂
紅梅の紅の通へる幹ならん 高濱虚子
ソーダ水深きところを吸はれをる ハードエッジ
しぐるるや駅に西口東口 安住敦
ペアリング42 天高しこれが社長のキャデラック 西村麒麟
七十の母がかしづく雛かな 山田みづえ
あかつきや歩く音して籠の虫 岸本尚毅
風邪の面たはしの如くなりにけり 迷水
ペアリング43 行く春や撰者を恨む歌のぬし 与謝蕪村
青き踏む左右の手左右の子にあたへ 加藤楸邨
山蟻や定家の捨てし歌の数 南うみを
川船のぎいとまがるやよし雀 高濱虚子
俳句管理:データベースソフト「桐」/管理工学研究所。基本機能は鉄板。但し、使い勝手にやや難。改善点を20ほど書いてみました
国産データベースソフト「桐」
使い勝手
改善希望あれこれ
開発素句報 2019-11 短日を詫びるが如くビル灯る
木枯に売るや箒を逆立てて
赤や黄の面影のある落葉かな
水鳥は冷たき水に素足なり
春 【猫の子1】 猫の子の寝ても覚めても可愛らし
青い目は魔法使の子猫とも
猫の子に何かいいことありさうな
猫の子と雨音を聞く日曜日
ペアリング44 ちぎり捨てあり山吹の花と葉と 波多野爽波
如月や貝の中なる貝の肉 ハードエッジ
かせぎ居り春の歌舞伎座たのしみに 伊藤たか子
線路まで伸びて夜なべの灯なりけり 菖蒲あや
開発素句報 2019-12 葱よりも長きレシート年の暮
言葉さへ躓くやうに日短
食へといふ根・人・柑や冬至の夜
毛並よきものを誂へクリスマス
ペアリング45 水に浮く柄杓の上の春の雪 高濱虚子
満開の花より白し塩むすび ハードエッジ
雨だれの向うは雨や蟻地獄 岸本尚毅
孤独死のきちんと畳んである毛布 北大路翼
春 【花吹雪】 クロスワードパズルの中のはな ぶき
花ふぶき給水塔をたてまつる
後に続けと遠近の花吹雪
夢の世のホワイトノイズ花吹雪
春 【卒業】 川原いま若草色に卒業歌
リボンして伴奏の子や卒業歌
去るものは追はず卒業式終る
忘れ得ぬことぞ悲しき卒業歌
ペアリング46 嘘のやうに晴れて花見の水たまり ハードエッジ
海に入ることを急がず春の川 富安風生
かしこげに首を傾げて子猫かな 長谷川櫂
椿落ちて昨日の雨をこぼしけり 与謝蕪村
春 【苗札】 希望とは苗札に書く花の名か
苗札に大きくなれと書いてある
苗札の予告通りに芽吹きたる
苗札の影くつきりと良い天気
春 【花篝】 花篝がさりと夜はふけにけり
燃えて立つ鋼の足の花篝
また一つ消えて最後の花篝
花篝消えて夜明の石畳
ペアリング47 雌狐の尾が雄狐の首を抱く 橋本鶏二
春浅し空また月をそだてそめ 久保田万太郎
百千鳥雌蕊雄蕊を囃すなり 飯田龍太
すててこや百鬼夜行のしんがりの 佐々木六戈
ペアリング48 生きかはり死にかはりして打つ田かな 村上鬼城
神主のはたはたしたる雛流し ハードエッジ
月天心貧しき町を通りけり 与謝蕪村
天井の鼠いつしか神隠し 穴井太
【金の目】 黒猫の金の瞳やパリー祭 吉田ひろし
春塵や木馬の金の目の卑し 中村和弘
金色の目玉動きぬ蟇 近藤英子
木偶の目の夜は金色に木枯吹く 桂信子
ペアリング49 胡瓜もみ世話女房といふ言葉 高濱虚子
夢の世の砂のお城と海の家 ハードエッジ
秋簾とろりたらりと懸りたり 星野立子
その重さとてつもなくて山眠る 鈴木鷹夫
【腸】 この星のはらわたは鉄冬あたたか 正木ゆう子
腸に春滴るや粥の味 夏目漱石
大仏にはらわたのなき涼しさよ 正岡子規
はらわたの熱きを恃み鳥渡る 宮坂静生
【響きけり】 盆の波ゆるやかにして響きけり 岸本尚毅
空港に大夕立や響きけり ハードエッジ
素読とは大緑蔭にひびきけり 田中裕明
除夜の鐘先づはわが世にひびきけり 百合山羽公
俳壇賞2018 落選作 飛花の山落花の谷と続きをる
花びらは箱根の山を越すつもり
行く年やいくたび鍋を囲みても
火の鳥の大いなるかな吉書揚
【哀れや】 生きものに眠るあはれや龍の玉 岡本眸
めし粒に馴るゝあはれや雀の子 野村喜舟
長き尾を垂るる哀れや鵙の贄 ハードエッジ
家々の灯るあはれや雪達磨 渡辺水巴
ペアリング30 蜻蛉の夢や幾度杭の先 夏目漱石
紐解いて枝ひろがるや桃の花 長谷川櫂
あかあかと日は難面くも秋の風 松尾芭蕉
草の根の蛇の眠りにとどきけり 桂信子