ペアリング41 朝顔や板戸にしみて釘のさび 長谷川櫂

ペアリング41

 

◎洗顔と洗髪

見えぬ顔洗いながらに春寒し  池田澄子   すみこ

目をつむる顔横向けて髪洗ふ  高野素十    すじゅう

 

 

◎しぐれ時

一ト足のちがひでへず春しぐれ  久保田万太郎

しぐるるや駅に西口東口  安住敦あずみ あつし

 

 

◎遺品

春しぐれ遺品いひんの中のわが手紙  内田美紗

我よりの賀状も君が遺品なる  池田瑠那いけだ るな

 

 

◎くるぶし、かかと

ひな飾るくるぶしわれのおもひびと  高柳克弘

螢籠ほたるかご吊す踵を見られけり  西村和子

 

 

◎深き処

渦潮うずしおの深きところや桜鯛さくらだい  ハードエッジ

ソーダ水深きところを吸はれをる  ハードエッジ

踏めばある深きところや竹落葉  岩田由美

落葉やゝ深きところが道らしき  高野素十

 

 

◎移動路

紅梅こうばいの紅の通へる幹ならん  高濱虚子たかはま きょし

たきの裏しづかに伝ふ水のあり  南うみを

 

 

◎空の準備

木蓮もくれんのため無傷なる空となる  細見綾子

つるの来るために大空あけて待つ  後藤比奈夫  ひなお

 

 

◎釘の戸

つゆの戸を突き出てさびし釘の先  眞鍋呉夫まなべ くれお

朝顔や板戸にしみて釘のさび  長谷川櫂はせがわ かい

 

 

◎ほろり身にしむ

さりげなく聞いて身にしむ話かな  富安風生とみやす ふうせい

手にとりてほろりとしたる一賀状  岸本尚毅   なおき

 

 

◎背高

寒晴かんばれやあはれ舞妓まいこの背の高き  飯島晴子

木の実独楽ひとつおろかに背が高き  橋本多佳子

 

以上です