セーターを嬰がひつぱる涎ふく
何話そセーターを編む母のそば
セーターを開きにすればカーディガン
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
セーターを嬰がひつぱる涎ふく
何話そセーターを編む母のそば
セーターを開きにすればカーディガン
旅ゆけば秋田青森りんご晴れ
見て見てと小学四年林檎むく
しりとりのりんごが誘ふごはんかな
各忌日には、その方の秀句の他、
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ドガとその踊子たちの夜食の絵
急患に夜食なかばで呼び出され
眠たさの夜食つまみつ乳飲ます
地下水をタンクに貯めし大西瓜
切られるか叩き割られるかの西瓜
素麺に添へて西瓜の箸休め
蟻の列みる子に日傘さしかけて
飛び込めばプールの底の炎ゆるごと
曝す書の古き埃を払ふなり
白黒の間の黄色終戦日
植民地解放成らず敗戦日
悪魔の手借りし米国戦勝日
滝壺に晒して瀑布純白に
夕立の流れ激しき外野席
生ぬるき水道水や原爆忌
鉄道の涼しく曲る青嶺かな
板塀も板戸も失せて蝉の殻
朝すでに汗の滴り原爆忌
学僧の夏痩たるも頼もしき
どこへ行くにも立ち漕ぎの夏休
空蝉や木の香失せたる木のベンチ
龍のこと語るは蛇の古老なり
気化熱を奪へと団扇猛らせて
夕日より高き乾杯ビヤホール
うつとりと雲雀を聞きつ椿落つ
当り籤出るまで椿落ち続く
この庭のここ十年の落椿
ぶらんこの搭乗員の列に付く
ぶらんこも代替りせし母校かな
明日は遠足ぶらんこを漕ぎに漕ぐ
遠足の子らを満載春の山
遠足に原寸大の富士の山
ころころと誰が遠足のおむすびぞ
花の雨ぬれて鴉の重たけれ
花の雨花の都に早くも灯
クリームかチョコかと迷ふ花の雨
来ることの嬉しき燕来たりけり 石田郷子
香水の香ぞ鉄壁をなせりける 中村草田男
草刈の籠の目を洩る桔梗かな 夏目漱石
ダム底に花を忘れし桜かな
遠山の白雪みゆる桜かな
今はもう住めば都の桜かな
ひらかなのふところ丸く春の風
春風のやうな幼子春の風
春風に冷たくされてゐたりけり
沐浴も叶はぬ雛を納めけり
神主が風にはたはた雛流し
雛流し鯛や鮃の海へかな
桃活けて雛はあらねどある如し
雛は赤に仏は金に座し給ふ
雛壇の前でくるりとランドセル
打ち返すテニスボールに春の壁
花も葉も蕾も茎も花菜和へ
恋猫のミアーオと鳴くイタリア語
針供養お針子さんにパリの夢
朝寝して聞くや大根を刻む音
ことことと小豆を茹でて春甘し
はるかなる北をも照らす冬日かな
使ひ捨てマスク業火に投ずべし
冬苺赤しケーキの断面に
打水をけふは神輿の男らに
子規の忌の糸瓜・鶏頭・柿の鐘
一堂に姫や坊主や歌留多会
縦横に水羊羹の詰め合せ
地下鉄が闇を押し行く赤い羽根
落葉道長き小枝を拾ひけり
花冷の包丁獣脂もて曇る 木下夕爾
お涅槃や黒板拭に文字の屑 ハードエッジ
販売機ごとりと落葉はじまりぬ 岡本眸
神々は陸海空に初日の出
あけまして光るは金の福寿草
長男の負けてゆゆしや絵双六
初夏のガードレールの緑色
夜明けなり決死の蝉が穴を出づ
ほんまやなものの五分で蟻たかる
冬たのし新幹線型スニーカー
大皿に青き山脈雪催
「翌年のパリ」の字幕に雪と兵
あたたかや布巾にふの字ふつくらと 片山由美子
日のくれと子供が言ひて秋の暮 高濱虚子
神もまた素数を愛す七五三 ハードエッジ