春 【梅】白梅の硬き蕾の香なりけり

まだ、建設途中です

全然堂歳時記 春の部
【梅】うめ

全然堂歳時記=現在、本号を含め73記事=春夏秋冬–年末年始=24-9-17-16–3-4
/2023.2.26

子季語:白梅、梅林、梅園
人気成分:香、匂ひ、夜

◎葉書俳句

全然堂歳時記 春 【梅】

◎テキスト

白梅はくばいの硬きつぼみなりけり ハードエッジ

香なりけり:
朝日まだ届かぬ梅の香なりけり 山田弘子
正直な菊人形の香なりけり ハードエッジ
見えさうな金木犀の香なりけり 津川絵理子
沈黙は金のレモンの香なりけり 細川加賀
枯菊の面目ほどの香なりけり 藤田湘子

かたくなにつぼみかぬ梅もやや ハードエッジ

かたくなに:
頑なに棘ある花の種を蒔く ハードエッジ
夏菊の黄はかたくなに美しき 富安風生
かたくなに古風でありし風邪薬 山田弘子
岩牡蠣や守るといふは頑なに ハードエッジ
冬さうびかたくなに濃き黄色かな 長谷川かな女

白梅はくばいつぼみに薄きみどりいろ ハードエッジ

緑色:
豆の筋たまりてそれもみどり色 岩淵喜代子

緑色/自作:
初夏のガードレールの緑色 ハードエッジ
柿の実の大暑に耐ふる緑色 ハードエッジ
卵焼黄色豆飯緑色 ハードエッジ
豆飯の豆の芯まで緑色 ハードエッジ
紫陽花の花なきころの緑色 ハードエッジ
蟷螂の怒りに燃ゆる緑色 ハードエッジ
祈りとは聖樹の深き緑色 ハードエッジ
古寺の冬菜畑の緑色 ハードエッジ
水仙の切り残されし緑色 ハードエッジ

太宰府だざいふみやこの梅に遠くとも ハードエッジ

遠くとも:
水澄むや母なる海の遠くとも ハードエッジ

白梅はくばいの白をさいなむ雪がまた ハードエッジ

苛む:
初蝶を苛む風となりにけり 西宮舞

白梅はくばいあおげば我の息白し ハードエッジ

仰げば:
町中や仰げば鳶の霞む空 正岡子規
葉桜を仰げば硬きシャツの襟 林昭太郎
天を仰げば身の錆おつる秋なりけり 高柳重信
欅落葉仰げば本社ビル聳ゆ 小川軽舟

白梅はくばいや若き外科医げかい徹夜てつやけ ハードエッジ

外科:
着膨れて外科外来の一患者 安住敦

朝食のホテルより見る梅の寺 ハードエッジ

朝食:
キッチンで済ます朝食初ざくら 鶴岡加苗
トーストで済ます朝食夏つばめ 羽吹利夫
民宿の朝食を待つ炬燵かな ハードエッジ

古きに新しきに梅真白ましろ ハードエッジ

梅真白:
勇気こそ地の塩なれや梅真白 中村草田男
梅真白労咳の子に憧れて 齋藤愼爾
代診の先生若し梅真白 ハードエッジ

勝ちほこる白に紅梅こうばいむる ハードエッジ

咲き初:
野に山に花咲き初めて蝶が来て ハードエッジ
梅は了り杏咲きそめ桃半ば 高澤良一
夏祭すでに白粉花咲き初めて ハードエッジ
牡丹の咲き初め蕊のぎつしりと 田中裕明
朝顔も夜明けの色に咲き初むる ハードエッジ

巫女みこ赤く神主かんぬし白く梅みごろ ハードエッジ

神主:
僧赤く神主白し國の春 正岡子規
神主が風にはたはた雛流し ハードエッジ
神主のこつこつ渡る茅の輪かな ハードエッジ
神主の蔵書に秋の日ざしかな 若杉朋哉
神主の玄関廣き寒さ哉 寺田寅彦
宮一つ神主一人大吹雪 村松紅花

紅白こうはく城址じょうし公園梅咲けり ハードエッジ

何となく、下五がゆるい感じはあったものの、
それ以上の代案浮ばず、時間切れ

改案:
紅白に城址公園梅祭 ハードエッジ 2023.2.27

時々、
刊行直後のほっとした時間に快心の推敲作が出来たりします
では、
刊行前の推敲にもっと時間を掛ければ良いかというと、
それで上手くいくとは必ずしも言えず、
葉書俳句に印刷し、twitterなどで発表することで、
思考がリセットされ、
より冷静に、柔軟に自作を見直してこそ、
新たな発見につながるのかも
ともかく、
紙媒体とちがい、ネット環境なら、
こうして改良案を隣りにアップすることが出来るので、
いい時代!ではあります

紅白こうはくの香りたがへて梅の園 ハードエッジ

違へて:
姉いもと歩幅たがへて暖かし ハードエッジ
雪解野や迅さ違へて川ふたつ 鈴木まゆ
電線の段を違へて囀るよ ハードエッジ
四方の景たがへて天守閣涼し 片山由美子
槍穂高色を違へて炎天下 粟津松彩子
夏帽のリボンたがへて姉妹 千原叡子
葉ざくらや白さ違へて塩・砂糖 片山由美子
秋立つや音を違へて稲と草 岸本尚毅
名を変へて刻を違へて月上る ハードエッジ
蘆を刈る音を違へて夫婦なり 森田公司
白粉花や色を違へて咲き乱れ ハードエッジ
初凪の青を違へて空と海 今橋眞理子

ひともとのそれは見事な梅屋敷やしき ハードエッジ

梅の屋敷:
空屋敷ことしの梅を咲かせけり 久保田万太郎
数へ来ぬ屋敷屋敷の梅柳 松尾芭蕉
物売を梅からよぶや下屋敷 小林一茶
鎌倉は屋敷のあとの野梅哉 正岡子規
梅屋敷汁粉たうべて出でにけり 大場白水郎
白梅やかをりゆかしき上屋敷 小林含香
早梅や御室の里の売屋敷 与謝蕪村
屋敷から梅もらふたり年忘 加藤暁台

今年はや娘十八むめの花 ハードエッジ

下記、一人娘への対抗作:
紅梅や一人娘にして凜と 上野泰

娘十八年:
海女わらふ潜れば娘十八よ 川崎展宏

思ふまま曲りし梅や松もある ハードエッジ

梅園ばいえんの土柔かにらす ハードエッジ

梅園ばいえんの入口に売る苗木なえぎかな ハードエッジ

梅がやコンクリートの打ち放し ハードエッジ

白梅はくばいの末は梅酒うめしゅ梅干うめぼしか ハードエッジ

◎推敲過程/テキスト/pdf

全2枚/句

全然堂歳時記 春 【梅】テキスト推敲

◎推敲過程/A4印刷+手書き/pdf

◎推敲過程/葉書印刷+手書き/pdf

葉書全12枚/A4-3枚

全然堂歳時記 春 【梅】葉書推敲

◎葉書俳句表側

◎データベース画面/桐v10

◎梅秀句

仏壇に散る仏壇で咲いた梅 斉田仁
折人は鬼の子にせん梅花 松窓乙二
こゝに二人梅に紅白あるごとく 久保田万太郎
梅も一枝死者の仰臥の正しさよ 石田波郷
大きな大きな葬式饅頭梅が咲き 斉田仁
小僧皆士の子や梅の寺 高濱虚子
夜の梅テレビのついてゐるらしく 上田信治
夕焼や梅も桜も固けれど 中村汀女
内よりも外が暖か梅の花 星野立子
むめ一輪一りんほどのあたゝかさ 服部嵐雪
梅が香や朝々氷る花の陰 加賀千代女
墨の香や奈良の都の古梅園 夏目漱石
梅園を歩けば女中欲しきかな 野口る理
白梅や父に未完の日暮あり 櫂未知子
梅咲くや酒屋へ一里黄泉へ二里 穴井太
また梅が咲いてざらめは綿菓子に 小久保佳世子
二もとの梅に遅速を愛すかな 与謝蕪村
白梅の花と莟と莟がち 長谷川素逝
来て見れば来てよかりしよ梅椿 星野立子

◎未練句/補遺

ここの白もかしこの紅も梅はまだ ハードエッジ
白梅は神の依代匂ひ立つ ハードエッジ
白刃の匂ふが如き夜の梅 ハードエッジ
白梅の万蕾に差す朝日かな ハードエッジ
梅が香や寒し寒しと言ひつつも ハードエッジ
湯島かな梅の三分を見て通る ハードエッジ
ゆたんぽをぽこぽここぼす梅の朝 ハードエッジ
直々と枝を接ぎ足して梅ま白 ハードエッジ
梅林も苔むす岩も霧の中 ハードエッジ

以上です