ペアリング23 かたつむりつるめば肉の食ひ入るや 永田耕衣

転記:螢・修二会/2019.4.23、お菓子2句/2019.2.20、追記:牡丹雪・葱/2018.9.27、桜貝(入替)/2018.9.22、鵙の贄/2018.9.12、1ペア移転/2018.9.4

ペアリング23

◎人と世

世を恋うて人をおそるる余寒よかんかな  村上鬼城きじょう

世をへだて人を隔てゝ梅雨つゆる  高野素十すじゅう

夢の世の人に恋せし螢かな  ハードエッジ

ねぎ焼いて世にも人にもきずをり  岡本ひとみ

 

 

◎身元

西もひがしもわからぬ猫の子なりけり  久保田万太郎

梅雨の犬で氏も素性すじょうもなかりけり  安住あつし

枯れ枯れて素性のせしもずにえ  稲畑汀子いなはた ていこ

 

 

◎肉と肉

接木つぎきしてつながる肉のうとましき  長谷川かい

かたつむりつるめば肉の食ひ入るや  永田耕衣こうい

 

 

◎昼から夜へ

肩落とすやうに日暮れて牡丹雪ぼたんゆき  岡本眸

修二会の奈良に夜来る水のごと  角川源義    げんよし

  ※修二会=しゅにえ、ですが、
  そうすると、しゅにえの=4音で納まりが悪い
  このままで良いのか、5音にする読み方があるのか不明

ふるへつつ夕暮は来る桜貝  松野苑子

水にじむごとく夜が来てヒヤシンス  岡本眸

火を埋めるやうに日暮れて囲ひねぎ  岡本眸

 

 

◎がら空き

がら空きの若狭わかさ二号に植田の香  鈴木鷹夫

田を植ゑてがら空きの空北国は  茨木和生

 

 

◎佐渡の距離

涼しさは沖に寝てゐる佐渡島さどがしま  鈴木鷹夫

佐渡ヶ島ほどに布団を離しけり  櫂未知子

 

 

◎ゆっくりと

涼しさや松ひ上る雨のかに  正岡子規

つゆみき静かにせみの歩き居り  高濱虚子たかはま きょし

秋風に歩行あるいて逃ぐるほたるかな  小林一茶いっさ

 

 

◎雪の頭

山の湯に雪積む頭並べたる  矢島渚男なぎさお

狛犬こまいぬのあたまに雪の高く積む  上田信治

重荷おう牛や頭につもる雪  小林一茶

北狐頭の雪は払はざる  後藤比奈夫ひなお

 

以上です