開発素句報 2018-09 あの時の赤子なりしや桃の花

追加:蝶の昼/2018.3.25

開発素句報 2018-09 本の眠れる

 

◎葉書画像

 

 

◎自句自解

今回は、
字面つながりで、
懐かしのポピュラー音楽をリンクしました

 

春はまだあけぼのの色かたきまま
  触れることの出来ない空、その色を物化して、
  質感で捉えました

  旧作に、硬き(蕾の)香、があります

  白梅しらうめの硬きつぼみなりけり

  曙=夜明け=ドーン(Dawn)であります
  桃色から、やがて、黄色に明るくなっていくのです
  →『幸せの黄色いリボン』ドーン/UT

 

あの時の赤子なりしや桃の花
  知人が久しぶりに、
  雛祭のケーキなど持参しての一声、的な、、、

  先行句、

  冬菫ふゆすみれむ君いつかの赤ん坊  大高しょう

  →『こんにちは赤ちゃん』梓みちよ/UT

 

 

暖かや前歯の欠けし女の子
  こやまこいこさんのマンガからヒントを頂きました 感謝
  →「歯抜けのこどもがへらへら笑ってるのは何回見てもいいな。」/tw

  「欠ける」では事故の場合もあるかなと、
  「抜ける」で推敲していましたが、
  最終的には、
  音感で「ぬ」ではなく、「か」にしました

  すきっ歯のアイドルはこちら、
  (すきっぱ(歯)と、はすっぱ(葉)、が、あやふやだった私です)
  →シルヴィーバルタン『アイドルを探せ』/UT

 

 

海の見えるデパートで買ふ桜餅さくらもち
  ほんのり塩味、海の味 ←葉っぱが

  イメージ先行で手応え、あったものの、
  さて、
  ホントに海の見えるデパートとか、あるのか?

  一般には、
  陳列棚で隠されて窓は見えない
  屋上、という手もあれど、
  まだ少し肌寒いかも、、、

  かくなる上は、
  俳句は夢である!
  作者と読者の想像力の共作である!
  とかで、円満結着したい所存

  →シャープ・ホークス『海へ帰ろう』

 

 

うつぶせに本の眠れるちょうの昼
  初案:
  五六冊卓に並べて春の昼
  春昼のけだるい感じを、
  まだ手付かずの本に託しました

  「冊」で「本」を省略しています

  未読なので表紙が並んでいます
  表紙→カラフル→蝶々、の連想で、蝶の昼

  そこで、
  蝶の羽のように開いてみましたが、
  そうなると、本文ページが出てモノクロです

  紋白蝶では少し地味
  美術書にでもすれば、カラフルですが、
  言訳的だし、定型に収めにくい

  ふと、
  読みかけを裏返すことを発見
  これなら、
  表紙が見えます
  裏表紙も見えます
  本を伏せることで春昼のけだるさにも合ってます

  調子に乗って、
  本を眠らせましたが、
  この辺は少し甘すぎるかも、、、

  初案の複数形が、いつの間にか単数になってます

  また、
  本を開いて伏せた状態は、
  蝶ではなく、蛾ではないか、と突っ込まれそうですが
  蝶だって、眠る時は
  翅を横に広げて熟睡したい
  ああ、来世は蛾に生れたいものだと、
  春昼の夢を見ているのかも知れないのです

  ふと、読み返して、
  美術集を復活させました
  画集とすれば、一音節約
  伏せることもなく省力化
  見開きのままの画集や蝶の昼/2018.3.25

  本はなさそうですが、
  俯せの人と蝶々っぽいリボンがこちら
  →岡本太郎『痛ましき腕』/GGL

  ヘビーな蝶はこちら
  →IRON BUTTERFLY『IN A GADDA DA VIDA』/UT

 

品川に飛行機見ゆる春のよい
  春昼の句を考えていて、春昼の駅が浮びました
  ローカルな駅は愛好家が多そうなので、都会の駅
  春の、長閑な、大きな駅

  昔の品川駅はだだっ広くて、やや暗いイメージがありました
  当時は、
  新幹線にも見放され、春の愁い的な駅

  そういえば羽田も近いから(8キロ)と、飛行機飛ばしました

  春昼は、ややボケ気味なので、
  春雨にして深みが出たかと思ったものの、
  演出過剰かと反省
  春宵一刻値千金のころ、星々に混じる飛行機で最終案

  実際に飛行機が見えるのか
  どのくらいの大きさで見えるのかは未確認

  まあ、句では品川の駅とは限定してないので、
  もっと、羽田寄りでもいいし、
  高層ホテルからの長めでもOKです

  江戸の頃の海と港が、
  埋立の末に空港になった
  そんな歴史も隠し味です

  →Fifth Dimension『Up Up & Away , My Beautiful Balloon』/UT

 

位置について用意のドンを待つ桜
  4月並みの陽気が続いて、
  蕾も十分大きくなってやる気満々だったのが、
  一気に冬型に戻り、雨も降っての、
  目まぐるしいお天気です

  それでも、遠目には、
  すでに、ほんのり紅をふくんだように見えます
  天気予報も、
  後4、5日後の週末の満開を予測してます

  →スコット・マッケンジー『花のサンフランシスコ』/UT

 

◎推敲過程 葉書

pdf_20180320

◎推敲過程 DB

開発素句報2018-09

 

 

以上です