開発素句報 2024-01 お降りに早も真白き城下町

開発素句報 2024-01 「謹賀新年

通常は7句構成ですが、年の始めの増量特大号20句構成です

◎葉書俳句

 

 

◎テキスト

ゴゴゴゴと地軸ちじくまわ去年今年こぞことし ハードエッジ

「地球が廻るや地軸が傾いた」系はあるある俳句ですが、
漫画っぽい「ゴゴゴゴ」は新機軸ではないかと、、、

ところが先行句がありました:
だだだごごごご飛ばされゆきし去年 北川美美

地軸:
地軸にも冬至の油差されしや 橋閒石

ぶらんこのごとくゆやんと去年今年こぞことし ハードエッジ

無論、中原中也ですが、、、おっと、、、

こんばんは、先日、見逃していただいたバグです

正確にはぶらんこの揺れは、
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」でした
中原中也『山羊の歌』青空文庫

知ってるつもりで類句チェックなし
こういうのが危険度高め

改案:
ぶらんこのゆあんゆよんと去年今年 ハードエッジ

日出づる国は弓なり初茜はつあかね ハードエッジ

弓なり/弓形:
弓なりに傘を開けば花の雨 ハードエッジ
弓なりに浸る熊笹雪解川 広渡敬雄
畦を塗る磐石にそひ弓なりに 福田蓼汀

一湾の弓なりに夏惜しみけり 片山由美子
道路鏡には弓なりの青あらし 土生重次
糸蜻蛉弓なりといふ愛しかた 中原道夫
弓なりにミサイルの飛ぶ螢の夜 ハードエッジ

弓なりに釣竿の張る秋気かな 佐藤郁良
高跳びの棒弓なりに秋高し 大河原識
弓形に西瓜の皮の残りけり ハードエッジ

弓形に海受けて土佐冬ぬくし 右城暮石

列島の弓形強め年迎ふ 鷹羽狩行

狛犬こまいぬの石のはだえ初茜はつあかね ハードエッジ

狛犬:
狛犬の口の中なる蝉の殻 國守セツ
狛犬の台座もろとも苔の花 小野寺順子

狛犬のまんなか通る秋うらら 矢島渚男
狛犬の狭間抜けたる秋の風 中嶋憲武

狛犬の吽と噛みゐる寒さかな 岩岡中正
狛犬の相寄らぬまゝ冬の暮 川崎展宏
狛犬の阿吽の間に雪降り積む 南うみを
狛犬のあたまに雪の高く積む 上田信治

狛犬の首に真青な注連飾 藤本安騎生

初日の出待つこともなく配達へ ハードエッジ

配達:
配達の別れ行く辻明易き 正岡子規
素通りの郵便配達日のさかり 堀カンナ
暁闇を配達の子にお年玉 ハードエッジ

空腹の軽き体や初日の出 ハードエッジ

空腹:
空腹も尿意も宥め朝寝坊 ハードエッジ
空腹(すきばら)に雷ひゞく夏野哉 小林一茶
新茶よりはじまるけふの空腹か 加藤楸邨
空腹のここちよきまで秋澄みぬ 森澄雄
空腹の家路しみじみ秋の暮 ハードエッジ
空腹や冬空に舞ふ葉一枚 小野あらた
空腹のはじめ火の色冬景色 飯田龍太

初日の出走り出したき思ひあり ハードエッジ

思ひあり:
苗札に立待月の思ひあり ハードエッジ
ひとりゐて梅雨をたのしむ思ひあり 高橋淡路女
長き夜の(を)白髪の生える思ひあり 正岡子規
秋の空清水流るゝ思ひあり 正岡子規
秋簾かけてかくるる思ひあり 高濱虚子
林檎箱にも今昔の思ひあり ハードエッジ
太箸の鶴にあやかる思ひあり 尾崎紅葉

新玉あらたまのひかり神さま仏さま ハードエッジ

神様:
二ン月や天神様の梅の花 小林一茶
八百万神様のごと囀れり 阿波野青畝
石蹴りの好きな神様流れ星 どいこい
神さまの名のむつかしき秋祭 米澤吾亦紅
菊の香のつんと神さま仏さま ハードエッジ
朗らかな神さま草の絮飛ばす 正木ゆう子
寒いネのネは神さまの左がは ハードエッジ
神さまのやうにまつ白冬の猫 平井照敏
地下道で眠る神様神無月 北大路翼
修奈羅峠のお金の神様肩まで雪 小澤實
水洟や山神さまに何願ひ 上田五千石
神様も鳥も素足や枯木立 栗林千津
神さまもとぼけて坐る仏の座 佐山哲郎

仏様:
てふてふも浮んでほとけさまの山 今井杏太郎
大きこと涼し大仏さまの耳 鷹羽狩行
ほとけさまなれど母の日ちらし寿司 西嶋あさ子
菊の香のつんと神さま仏さま ハードエッジ

新玉あらたまのひかりめおけ古畳ふるだたみ ハードエッジ

古畳:
北窓を開けて明るし古畳 ハードエッジ
棚に余る雛やならぶ古畳 正岡子規
置かれある団扇の白や古畳 ハードエッジ
古畳団扇に虫をおさへけり 正岡子規
古畳素足も年を取りにけり ハードエッジ
横たへし七夕竹に古畳 高橋淡路女
朝夕に座右の冬光古畳 飯田蛇笏
闇汁の何を零せし古畳 ハードエッジ

初春はつはるのわが身を思ふわがよわい ハードエッジ

わが身:
春眠のわが身をくぐる浪の音 山口誓子
草焼いて所詮は死ぬるわが身かな 星野立子
玉椿わが身痩せつつ咲きこぞる 富安風生
水着干し我が身見られてゐるごとし 吉田林檎
食パンがわが身を焦がす秋の朝 ハードエッジ
出不精になりし我身の秋深く 渋沢渋亭
秋風のわが身ひとつの句なりけり 安住敦
浴して我が身となりぬ盆の月 小林一茶
秋刀魚祭わが身も扇ぐ団扇かな ハードエッジ
冬の日のしばらく照らす我身かな 高野素十
襟巻をきつく我身をはげましぬ 田中裕明
部屋寒く我身の熱し狸汁 ハードエッジ
よき櫛の我が身と古りぬ木の葉髪 松本たかし
柚子の湯に我身一つを浮ばせて ハードエッジ
鮟鱇もわが身の業も煮ゆるかな 久保田万太郎
鶴啼くやわが身のこゑと思ふまで 鍵和田[ゆう]子

晴れて良し雪もまた良しお元日 ハードエッジ

お元日:
ぼた~とぼた~と雪お元日 高野素十
すこし早く起きてさむかりお元日 臼田亞浪
旅にある心安さよお元日 高橋淡路女
縁側の日にゑひにけりお元日 村上鬼城
鷺白く鴉の黒くお元日 岩淵喜代子
去年のやうな今年のやうなお元日 島田牙城
日めくりの厚きがうれしお元日 安部元気
年々の手を抜くばかりお元日 中山純子
常の火に常の母ありお元日 西嶋あさ子

さがりに早も真白ましろき城下町 ハードエッジ

城下町:
城下町とは町中に春の水 ハードエッジ
雪残りつつ水ぬるむ城下町 京極杞陽
水打てば御城下町の匂かな 芥川龍之介
秋の雲お城があつて城下町 ハードエッジ
鴨食べる聖夜のくらき城下町 岩淵喜代子

ぎつしりとおかず積み上げお正月 ハードエッジ

積み上:
積み上げし積木涼しく崩れたり ハードエッジ
浴衣積み上げて湯町の洗濯屋 後藤比奈夫
コンビニ弁当積み上げ祭本部なる 野崎海芋
天の川古き車を積み上げで ハードエッジ
オブジェかな焚くべき物を積み上げて ハードエッジ
神棚を高く積み上げ年の市 佐藤博重

良きことは重ねて来たれ鏡餅かがみもち ハードエッジ

良き事:
撒水車の後ゆくよきことある如し 立木青葉郎
松葉牡丹ぞくぞく咲けばよきことも 山崎ひさを
なにか良きことへ小春の蟻の列 ハードエッジ
よきことの一つ日脚の伸びしこと 京極杞陽
雪白の手袋の手よ善き事為せ 中村草田男
枯草に日あたるといふよき事あり 細見綾子
わがよきこと人のよきこと初暦 富安風生

日の出町に富士見ヶ丘に年賀状 ハードエッジ

町と丘:
町裏は鶏頭畠丘に墓 山口誓子
雪道の丘より町に続くなり 高木晴子
銃後といふ不思議な町を丘で見た 渡邊白泉

人情の厚みにふくれ年賀状 ハードエッジ

改案:
人情の人の情の年賀状 ハードエッジ 2023-12.31

人情:
人情のほろびしおでん煮えにけり 久保田万太郎

初日記卓に開きてまだ書かず ハードエッジ

書かず:
手紙書かむ書かむと書かずソーダ水 辻桃子

初夢の中をふはふはしやぼん玉 ハードエッジ

ふはふは:
蜂の尻ふは~と針をさめけり 川端茅舎
ふはふはの帯をしめたる浴衣の子 ハードエッジ
白といふふはふはの色毛糸編む ハードエッジ
ふはふはの粉雪のごとき毛布かな ハードエッジ
ふはふはのふくろふの子のふかれをり 小澤實
初夢に雪ふはふはと暖かし ハードエッジ

三が日昼寝欠かさず健康に ハードエッジ

健康:
健康は上々夕立潔し 星野立子
軽く汗かくを忘れず健康に ハードエッジ
健康を過信の夏痩かと思ふ 山田弘子
健康の証のほどに日焼して 稲畑汀子
健康を復するごとく日脚伸ぶ 中本真人
我が庭や冬日健康冬木健康 高濱虚子
忘るるが故に健康老の春 高濱虚子

恵贈けいぞう感謝の会の初句会はつくかい ハードエッジ

感謝:
初蝶に訪ね来られて感謝せり 相生垣瓜人

 

◎推敲過程/テキスト/pdf

全99句

開発素句報 2024-01 テキスト推敲

 

 

◎A4推敲 原稿/pdf

全3枚

開発素句報 2024-01 A4推敲 原稿

 

 

◎A4推敲 加筆/pdf

全3枚

開発素句報 2024-01 A4推敲 加筆

 

 

◎葉書推敲 原稿/pdf

全7枚

開発素句報 2024-01 葉書推敲 原稿

 

 

◎葉書推敲 加筆/pdf

全7枚

開発素句報 2024-01 葉書推敲 加筆

 

 

◎葉書俳句表側

 

以上です