ペアリング31 暮れ際の紫紺の五月来りけり 森澄雄

追記:囀/2019.4.20

ペアリング31

 

◎途中と完了

永き日の日に日に伸びて行くところ  ハードエッジ

かく伸びてしまへば日脚(ひあし)問はずなる  上田五千石(   ごせんごく)

 

 

◎久々

土を出て笑ふ埴輪(はにわ)や春の風  加藤静夫

発掘(はっくつ)をされたる物の炎天下(えんてんか)  ハードエッジ

 

 

◎ブルースカイ

三月や暮るる間際(まぎわ)の空青し  西村和子

白妙(しろたえ)の春の月ある空紫紺(しこん)  高濱虚子(たかはま きょし)

暮れ際の紫紺の五月来(きた)りけり  森澄雄

雪渓(せっけい)のほかは紫紺に暮れにけり  若井新一

 

 

◎濡れ色

砂の色雨に変るや桜貝  ハードエッジ

お降(さが)りに玉砂利(たまじゃり)の色改(あらた)まる  西宮舞(にしみや まい)

 

 

◎お知らせ

吹かれをり落花さかんの貼紙(はりがみ)も  西村和子

「盆踊(ぼんおどり)雨天中止」が雨に濡(ぬ)れ  ハードエッジ

 

 

◎静止後

卒業歌ぴたりと止みて後は風  岩田由美

さへづりのすとんとやめば波の音  夏井いつき

起立礼着席青葉風過ぎた  神野紗希(こうの さき)

 

 

◎訃と喪

子を捨てしわれに母の日喪(も)のごとく  瀬戸内寂聴(せとうち じゃくちょう)

きみ嫁(ゆ)けり遠き一つの訃(ふ)に似たり  高柳重信

 

 

◎畦変化

恍惚(こうこつ)と畦(あぜ)まじはれり田植すみ  飴山實(あめやま みのる)

豊年の畦といふ畦隠れけり  若井新一

稲刈つて畦は緑に十文字(じゅうもんじ)  高野素十(    すじゅう)

 

 

◎刃と種

白桃(はくとう)に入れし刃先の種を割る  橋本多佳子

入りし刃にシクと切られし柿の種  ハードエッジ

  刃物でも種でもないけれど、
  厚餡(あつあん)割ればシクと音して雲の峰(みね) 中村草田男(   くさたお)

 

 

◎良からぬ夢

怖(こわ)い夢見しや氷柱(つらら)の曲りしは  ハードエッジ

干蒲団(ほしぶとん)子が見し悪夢(あくむ)叩(たた)き出す  西宮舞

 

以上です