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開発素句報
全然堂歳時記
俳句類題
和語俳句
月: 2018年2月
開発素句報 2018-07 春色を並べ口紅売場なり
ラグビーのボール方向音痴なる
はるかぜを東の風と書くことも
春色を引く唇のまだ冷た
冬 【水仙】 白と黄の和して同ぜず水仙花
すらり立つ給水塔も水仙も
荒れ狂ふ水仙のある岬かな
水仙の切られし跡も雪に消ゆ
ペアリング15 向日葵の百人力の黄なりけり 加藤静夫
徂く春に何も持たせてやれぬこと 中原道夫
芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな 松尾芭蕉
数へ日の三時は日向四時の影 永井龍男
ペアリング16 我らみな青き地球の春の塵 ハードエッジ
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな 高濱虚子
夏休みも半ばの雨となりにけり 安住敦
各地より我名あつまる年賀状 ハードエッジ
和語俳句 【え】 涼しさは花えらびゐる尼二人 長谷川双魚
いたづらをせむと笑む子やさくらんぼ 鶴岡加苗
水着選ぶいつしか彼の眼となつて 黛まどか
大寒を選びしごとく逝きたまふ 鷹羽狩行
和語俳句 【お】 長雨に火力衰ふ曼珠沙華 高澤良一
自転車の妻に驚く鰯雲 斎藤夏風
初雪の驚き消ゆる水面かな ハードエッジ
斧入れて香に驚くや冬木立 与謝蕪村
和語俳句 【と】 草の根の蛇の眠りにとどきけり 桂信子
水尾の端遅日の岸に届きけり 村上鞆彦
毎日の朝寝とがむる人もなし 松本たかし
蝉のこゑ届かぬところまで泳ぐ ハードエッジ
和語俳句 【ぬ】 自転車にちりんと抜かれ日短 齋藤朝比古
遊船を連絡船が抜いてゆく 中本真人
猫じやらしすくすく抜けて楽しいぞ ハードエッジ
薬塗るやうに冬日を背に当つる 岡本眸
和語俳句 【ね】 下萌にねぢ伏せられてゐる子かな 星野立子
待たれゐる楽しさ白玉練ることも 西村和子
太陽も捻り鉢巻ラムネ売る ハードエッジ
猪ねらふ肱にすがる小てふ哉 小林一茶
和語俳句 【の】 焼夷弾逃れし土手や花火見る 川村みよき
空つぽの檻も覗きて日の氷き 高澤良一
雛の間をかくれんばうの鬼覗く 行方克巳
にぎやかな妻子の初湯覗きけり 小島健
和語俳句 【ふ】 かたつむり踏まれしのちは天の如し 阿部青鞋
天瓜粉まだ土知らぬ土踏まず 古賀まり子
鉄板を踏めばごぼんと秋の暮 岸風三楼
焚火跡踏み荒されてゐたりけり ハードエッジ
和語俳句 【へ】 香水の一滴づつにかくも減る 山口波津女
城若葉ホテルは濠を隔てたる ハードエッジ
郭公や母と谺をへだて住む 今瀬剛一
人減りし村に氷柱の数減らず 高木嘉久
和語俳句 【ほ】 ほころびをつくろふこともなく花よ ハードエッジ
童女かがみ尿ほとばしる麦の秋 西東三鬼
手花火の火は水にして迸る 山口誓子
寒椿師を悼む句を褒められぬ 草間時彦
和語俳句 【み】 咲き満ちてこぼるる花もなかりけり 高濱虚子
厄介や紅梅の咲き満ちたるは 永田耕衣
花満ちて玉の如くにふるへをり 岸本尚毅
膝に来て模様に満ちて春着の子 中村草田男
和語俳句 【む】 春眠をむさぼりて悔なかりけり 久保田万太郎
雲水の蛇口むさぼる炎暑かな 生田力丈
蝉の腹八分目ほど蝕まれ ハードエッジ
熱湯をむさぼりこぼす湯婆かな 西島麦南
和語俳句 【め】 気に入りのおもちや召し寄せ風邪の床 西村和子
白滝に召さるるごとく近づきぬ 西宮舞
手に取つて素足を愛づる赤子かな ハードエッジ
和語俳句 【も】 もつれつゝとけつゝ春の雨の糸 鈴木花蓑
もてあそぶ火のうつくしき時雨かな 日野草城
戀の字の糸のもつるる試筆かな 鷹羽狩行
獅子舞や蝶もつれあふごとくにも 長谷川櫂
和語俳句 【ゆ】 ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな 村上鬼城
庖丁も厨もゆだね桜鯛 中村汀女
揺らぎ見ゆ百の椿が三百に 高濱虚子
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに 森澄雄
和語俳句 【よ】 恋猫の汚れきつたる寧けさよ 行方克巳
画用紙の汚れやすさよ地虫出づ ハードエッジ
薄暑来ぬ人美しく装へば 星野立子
千年の命よぢれて藤枯るる 高橋悦男
和語俳句 【わ】 庭掃きて雪を忘るる帚かな 松尾芭蕉
蝶が蝶に出遇ふしばらく花忘れ 鈴木鷹夫
雪の降る町といふ唄ありし忘れたり 安住敦
湯上りの蜜柑忘るな柚子買うて ハードエッジ