角川俳句賞2017 落選作 鬼さんもこちらへござれ花の宴

角川俳句賞2017 応募作

「豚カツ」50句

落選

◎葉書俳句

 

 

 

◎テキスト

大いなるシーツが飛んで花吹雪はなふぶき

花ふぶき張子はりことらゆるかな

鬼さんもこちらへござれ花のえん

一族は亀鳴かめなく村に住むと云ふ

かりそめのみつにふくるるはちの腹

ぴちやぴちやと水の音して恋の猫

み抱くは子猫の時のタオルなり

砂浜のこれより岩場松のしん

薄紅のきちびる硬し桜鯛さくらだい

子鯨こくじらも乳呑むころか朧月おぼろづき

行く春を乗せたるぞうの歩みかな

 

 

花だけで終ることなく花は葉に

瀬戸内の駘蕩たいとうたるも花蜜柑はなみかん

半玉はんぎょくのキャベツ売らるる仰向あおむけ

買ふべしや黴除かびよけ護符ごふなるものを

客布団きゃくぶとん黴を寄せじと絢爛けんらん

十薬じゅうやく白鷺城しらさぎじょうの見ゆるかな

強きもの力あるもの雲のみね

待ちかねし快音バット缶ビール

  なんて駄句!

日焼子の鼻の頭の仔細しさいかな

金魚玉割れんばかりに赤子泣く

美しき黒の剥落はくらく揚羽蝶あげはちょう

ビニールもはかなかりしがへびきぬ

水音のしま浴衣ゆかたでありにけり

打ち捨てて次なる町へ夕立ゆだち

 

 

せみ燃えて黒くなりたる原爆忌

寂しさに音ありとせば遠花火とおはなび

白狐しろぎつねもとより踊上手おどりじょうずなり

青虫のはらわた青き機嫌きげんかな

さらはれて菊人形の傍らに

遠浅とおあさ刈田かりたありけり日が沈む

ひとつ買ひその他の虫は聞き捨てに

南瓜かぼちゃ煮て一晩寝かす手紙かな

流星や古墳こふんに神のつるぎあり

 

 

朝々に木の葉が舞へば雀らも

包まれてコロッケ熱し初時雨はつしぐれ

木枯こがらし金鈴きんれいを買ふ銀座かな

干布団ほしぶとん枯野の見ゆる丘の上

ぼろ市のこれは波斯ぺるしゃの市場より

なつかしき善男善女ぜんなんぜんにょ日記買ふ

きよしこの夜のくりや煮凝にこごり

 

水族館に海の一族注連飾しめかざり

女の神も乗せて目出度めでた宝船たからぶね

 

この山に氷のたき幾柱いくはしら

ゆるやかに階段状の雪として

硝子戸がらすどの外に置かれて雪兎ゆきうさぎ

水仙すいせんを切つてぽたぽたしてゐたる

水仙を生けて古りゆくものばかり

 

老先生大学を去る桃の花

豚カツを母が作るよ春休

 

 

◎その後

◎久々に、読み返してみて、
あれ、応募当時の輝きは何処へ行ってしまったの、状態 (+_+)
/2017.11.5

以上です