数へ日にドプラー効果あるやうな
数へ日に宅急便を待たす罪
数へ日の街が暮れ行くカフェオーレ
俳人、葉書俳句「開発素句報」「全然堂歳時記」発行人。
数へ日にドプラー効果あるやうな
数へ日に宅急便を待たす罪
数へ日の街が暮れ行くカフェオーレ
言葉さへ躓くやうに日、みじか
葱細く大根太く日短
短日の終点にゐる電車かな
枯木にも電飾の綺羅クリスマス
待つ人に後光の如く聖樹立つ
紅白に着膨れてゐるサンタこそ
ゴジラいま地球の味方花吹雪
爽やかに引きし補助線仮説成る
ティアラして雪のディズニーランドかな
御無念の殿に代りて雪女
雪女郎ながす涙のガラス玉
寛いて一風呂あびよ雪女
虹の根を煎じて飲めと言はれけり
東京で見かけし電車夏の山
ことことと弱火のちから冬籠
やすらかや蜜柑に淡き花の跡
裏打のもやもやもまた蜜柑なり
幼子が母に剥きやる蜜柑かな
根つからの大根畑でありにけり
大根があれば何とか成りさうな
ライオンは食はぬ大根我は食ふ
セーターを嬰がひつぱる涎ふく
何話そセーターを編む母のそば
セーターを開きにすればカーディガン
旅ゆけば秋田青森りんご晴れ
見て見てと小学四年林檎むく
しりとりのりんごが誘ふごはんかな
各忌日には、その方の秀句の他、
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ドガとその踊子たちの夜食の絵
急患に夜食なかばで呼び出され
眠たさの夜食つまみつ乳飲ます
地下水をタンクに貯めし大西瓜
切られるか叩き割られるかの西瓜
素麺に添へて西瓜の箸休め
神々は陸海空に初日の出
あけまして光るは金の福寿草
長男の負けてゆゆしや絵双六
白黒の間の黄色終戦日
植民地解放成らず敗戦日
悪魔の手借りし米国戦勝日
はるかなる北をも照らす冬日かな
使ひ捨てマスク業火に投ずべし
冬苺赤しケーキの断面に
針供養お針子さんにパリの夢
朝寝して聞くや大根を刻む音
ことことと小豆を茹でて春甘し
打ち返すテニスボールに春の壁
花も葉も蕾も茎も花菜和へ
恋猫のミアーオと鳴くイタリア語
龍のこと語るは蛇の古老なり
気化熱を奪へと団扇猛らせて
夕日より高き乾杯ビヤホール
うつとりと雲雀を聞きつ椿落つ
当り籤出るまで椿落ち続く
この庭のここ十年の落椿
ぶらんこの搭乗員の列に付く
ぶらんこも代替りせし母校かな
明日は遠足ぶらんこを漕ぎに漕ぐ
遠足の子らを満載春の山
遠足に原寸大の富士の山
ころころと誰が遠足のおむすびぞ
花の雨ぬれて鴉の重たけれ
花の雨花の都に早くも灯
クリームかチョコかと迷ふ花の雨
来ることの嬉しき燕来たりけり 石田郷子
香水の香ぞ鉄壁をなせりける 中村草田男
草刈の籠の目を洩る桔梗かな 夏目漱石
ダム底に花を忘れし桜かな
遠山の白雪みゆる桜かな
今はもう住めば都の桜かな
ひらかなのふところ丸く春の風
春風のやうな幼子春の風
春風に冷たくされてゐたりけり
沐浴も叶はぬ雛を納めけり
神主が風にはたはた雛流し
雛流し鯛や鮃の海へかな
桃活けて雛はあらねどある如し
雛は赤に仏は金に座し給ふ
雛壇の前でくるりとランドセル
学僧の夏痩たるも頼もしき
どこへ行くにも立ち漕ぎの夏休
空蝉や木の香失せたる木のベンチ
鉄道の涼しく曲る青嶺かな
板塀も板戸も失せて蝉の殻
朝すでに汗の滴り原爆忌