追記:春を待つ/2021.1.31、5月来ぬ/2020.7.10、椿かな/2020.2.21、春めく/2018.10.12、汗の季節/2018.10.3
移転:腸/2019.2.18
ペアリング26
◎名残り
春めくを冬田のために惜しむなり 相生垣瓜人
火を焚いて春の寒さを惜しみけり 岸本尚毅
過ぎ去りし汗の季節のなつかしく 波多野爽波
また暑くなる嬉しさよ秋簾 岸本尚毅
過ぎて行く日を惜みつつ春を待つ 高濱虚子
◎視界不良
大梅雨に茫々と沼らしきもの 高野素十
霧の谷何も見えざる大いさよ 高野素十
◎子と髪と風
赤ん坊の毛の立つてゐる椿かな 田中裕明
子の髪の風に流るる五月来ぬ 大野林火
薫風に赤子の髪の逆立てる ハードエッジ
黒南風やそよぐ髪ある赤ん坊 岸本尚毅
◎間近
七月の青嶺まぢかく溶鉱炉 山口誓子
どんよりと夏嶺まぢかく蔬菜園 飯田蛇笏
◎鶴と白鳥
夏の闇鶴を抱へてゆくごとく 長谷川櫂
白鳥の首つかみ振り回はす夢 高山れおな
◎金の時、銀の時
朝は金ゆふべは銀の花すすき 文挾夫佐恵
照れば金日かげれば銀芒かな 下村梅子
金芒ひとかたまり銀芒ひとかたまり 高濱虚子
◎日当り
遠山に日の当りたる枯野かな 高濱虚子
夕空や日のあたりゐる凧一つ 高野素十
◎鳥の声なし
梟の口を開きて声もなく 岸本尚毅
寒禽の嘴をひらきて声のなき 長谷川櫂
◎雪道、氷道
雪ながら氷る小道や星月夜 正岡子規
雪道の足跡氷りはじめけり 対中いずみ
足跡の氷つてゐたり雑木山 長谷川櫂
以上です