ペアリング26 火を焚いて春の寒さを惜しみけり 岸本尚毅

移転:腸/2019.2.18、追記:春めく/2018.10.12、汗の季節/2018.10.3

ペアリング26

◎名残り

春めくを冬田のためにしむなり  相生垣瓜人あいおいがき かじん

火をいて春の寒さを惜しみけり  岸本尚毅   なおき

過ぎ去りし汗の季節のなつかしく  波多野爽波はたの そうは

また暑くなるうれしさよ秋簾あきすだれ  岸本尚毅

 

 

◎視界不良

梅雨つゆ茫々ぼうぼうと沼らしきもの  高野素十すじゅう

霧の谷何も見えざる大いさよ  高野素十

 

 

◎赤ちゃんの髪

黒南風くろはえやそよぐ髪ある赤ん坊  岸本尚毅

薫風くんぷうに赤子の髪の逆立さかだてる  ハードエッジ

 

 

◎間近

七月の青嶺あおねまぢかく溶鉱炉ようこうろ  山口誓子せいし

どんよりと夏嶺なつねまぢかく蔬菜園そさいえん  飯田蛇笏だこつ

 

 

◎鶴と白鳥

夏の闇鶴をかかへてゆくごとく  長谷川かい

白鳥の首つかみ振り回はす夢  高山れおな

 

 

◎金の時、銀の時

朝は金ゆふべは銀の花すすき  文挾夫佐恵ふばさみ ふさえ

照れば金日かげれば銀すすきかな  下村梅子

金芒ひとかたまり銀芒ひとかたまり  高濱虚子たかはま きょし

 

 

◎日当り

遠山とおやまに日の当りたる枯野かな  高濱虚子

夕空や日のあたりゐるたこ一つ  高野素十

 

 

◎鳥の声なし

ふくろうの口を開きて声もなく  岸本尚毅

寒禽かんきんくちをひらきて声のなき  長谷川櫂

 

 

◎雪道、氷道

雪ながら氷る小道や星月夜ほしづきよ  正岡子規

雪道の足跡氷りはじめけり  対中いずみ

足跡の氷つてゐたり雑木山ぞうきやま  長谷川櫂

 

以上です