転記:2ペア/2018.9.4、追加:青簾/2018.8.22、移転:3句/2018.8.9、追加:姿勢正しく/2018.7.10
◎ペアリング10
◎薬の色
粉ぐすりのうぐひすいろの二月かな 久保田万太郎
目薬のうすももいろの寒さかな 長谷川櫂
春風にこぼれて赤し歯磨粉 正岡子規(しき)
※歯磨粉=はみがきこ
◎忍耐と寛容
春日遅々男結びの場合は切る 池田澄子
※遅々=ちち
春待つや愚図なをとこを待つごとく 津高里永子
※愚図=ぐず
春待つは妻の帰宅を待つごとし 鈴木鷹夫
◎一挙両得
万愚節顔を洗ふは手を洗ふ 攝津幸彦(せっつ・)
※万愚節=ばんぐせつ=エイプリルフール
幸彦忌顔を洗った手がきれい 池田澄子
◎柱の中
流星や柱の中に錆びし釘 ハードエッジ
※錆びし=さびし、釘=くぎ
冬深し柱の中の濤の音 長谷川櫂
※濤=なみ
難解です
私は、柱の中が、どうしても分りませんでした
自解があったので、孫引きです
「大学を卒業すると、新聞社に入り、記者として新潟市で仕事を始めました。ここから日本海の海岸に沿って南西へ下ってゆくと、出雲崎という海辺の町があります。ここは芭蕉が『おくのほそ道』の旅の途中に立ち寄って、「荒海や佐渡によこたふ天の川」という句を詠んだ場所です。冬になるとこの辺は、大陸からの北風が一日中、吹きつけ、黒い大きな波が海岸に打ち寄せます。夜になると、地面を伝わってくる海鳴りで宿の太い柱が鳴り響いているようでした。木枯らしの吹く日に、電柱に耳をつけると空を吹く風の音が聞こえますね。あれと同じです。」(新書館「現代俳句の鑑賞」)より
わが鈍感を嘆くばかり、、、
◎準備万端
鈴虫を聴く庭下駄の揃へあり 高濱虚子
※庭下駄=にわげた、揃へ=そろえ
山道の掃いてありたる初詣 富安風生(ふうせい)
※初詣=はつもうで
◎吹き吹かれ
凩や海に夕日を吹き落す 夏目漱石(そうせき)
冬空や風に吹かれて沈む月 永井荷風(かふう)
◎ナイフは今
カステラに沈むナイフや復活祭 片山由美子
ナイフなほ聖菓の中に動きをり 山口波津女
以上です