俳壇賞 2024
プランB「咲きます」30句
落選作
目次
◎葉書俳句
◎テキスト
春
立春の湯気立つご飯おみそ汁 ハードエッジ
湯気立/季語以外の:
客土より湯気立ちのぼる春田かな 若井新一
土を出で湯気立つ蟬もありぬべし ハードエッジ
万緑に湯気立ち上る秘湯かな ハードエッジ
馬鈴薯の湯気立ててゐる野分かな 岸本尚毅
運ばれて湯気立つものの夜食かな 能村登四郎
湯気立てて湯気のなか行く冬の川 林昭太郎
羨しとも湯気立て若きラガー泣く 稲岡長
餅搗を終へし臼より湯気立てり 辻桃子
眞夜中に湯気立つ如く年新た ハードエッジ
うづたかき馬糞湯気立つ朝の力 西東三鬼
雪解けて色々な色あらはるる ハードエッジ
色々:
色々に土美しや植木市 ハードエッジ
チューブから出る色々や卒業す ハードエッジ
色々な土の零るる苗木市 ハードエッジ
鳴く鳥の声も色々雛あられ ハードエッジ
花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ 杉田久女
囀や水仕の音も色々に ハードエッジ
ハンカチはチェックが好きで色々と ハードエッジ
庭花火をみなの声のいろいろな 川崎展宏
いろいろの蓋あいてゐるキャンプかな 齋藤朝比古
蠅を取る道具色々郷土館 ハードエッジ
卓に選る種の色々天の川 ハードエッジ
草いろいろおのおの花の手柄かな 松尾芭蕉
いろいろの紅葉の中の銀杏哉 正岡子規
行先のいろいろなバス日脚伸ぶ 高田風人子
色々に灰美しや焚火跡 ハードエッジ
鳥が遺す実生いろいろ初箒 瀧春一
永き日を廻る鉄道模型かな ハードエッジ
模型:
掌につつむ心臓模型四月馬鹿 山田みづえ
犬交る街へ向けたり眼の模型 田川飛旅子
囀や心臓模型赤と青 利普苑るな
薫風や分子模型のOは赤 池田瑠那
風薫る古墳の模型真白なる 小川春休
等身大人体模型油照 しまねこくん
時の日や順風の帆の模型船 鷹羽狩行
冷房に建築模型ましろなる 小川軽舟
短日や模型の都市の清らなる 髙柳克弘
寒夕焼人体模型無毛なる 箱森裕美
寒晴や人体模型男前 澤田和弥
桃の花咲けば酒盛り鬼ヶ島 ハードエッジ
酒盛:
筍や碁盤の上の小酒盛 沼波瓊音
婚も死も酒盛りとなる夜長かな 小泉八重子
酒盛らん月なくも夜は十三夜 正岡子規
朝顔は酒盛知らぬ盛り哉 松尾芭蕉
つまんでもみたきほつぺた雛祭 ハードエッジ
ほつぺた:
いつの間に水菜の泥が頬つぺたに 岸本尚毅
ふくらんでほつぺた丸く春を待つ ハードエッジ
頬つぺたにあかぎれ逞しくなれよ 長町誠司
頭よくなれと目刺の苦き食ふ ハードエッジ
夏
人の子は赤子鴉の子は黒子 ハードエッジ
人の子:
人の子の凧あげて居る我は旅 正岡子規
卒業の看護婦人の子を抱くも 山口誓子
入学の今日の人の子我子かな 増田龍雨
地虫出て目をこするさま人の子なら 加藤楸邨
子猫抱く久しく人の子を抱かず 片山由美子
好奇心とは人の子に猫の子に 稲畑廣太郎
草相撲中に吾が子も人の子も 中島三秋子
孑孑も食つて元気な目高の子 ハードエッジ
元気:
啓蟄や今日を元気に健康に ハードエッジ
病気とも元気ともなく花曇 阿部みどり女
元気ならよし蛙歩くも跳ぶもよし 池田澄子
無職ゆゑ白い元気な蝶ばかり 永田耕衣
母なりに元気な暮らし蚊遣香 藤崎由紀子
お婆さんお元気でまた氷宇治 川崎展宏
潮日焼山日焼して元気なり 星野立子
日本の元気なころの水着かな 安里琉太
蟻といふ元気なものを見てゐたる 後藤立夫
鰯雲おーいわたしは元気だぞ 安増恵子
猪肉に元気な頃のありにけり 谷雄介
おしくらまんぢゅう皆貧しくて皆元気 鎌田保子
捗れば田植日和に蝶が舞ふ ハードエッジ
無数とは即ち無敵蟻たかる ハードエッジ
無数:
潮干狩無数の穴がからだにも 対馬康子
桜散る個々に無数に社員踊り 村井和一
戦争にたかる無数の蠅しづか 三橋敏雄
長き夜や書架に無数の文字眠り 林翔
星流る無数の知らぬ人の上 利普苑るな
柚子湯沁む無数の傷のあるごとく 岡本眸
初みくじ結ひし無数の指想ふ 藤田湘子
空蟬と博物館の大鎧 ハードエッジ
博物館:
花の中科学博物館を置く 遠藤梧逸
花時の博物館をのぞきけり 青木月斗
美術館へ博物館へ夏休 ハードエッジ
初時雨京都国立博物館 黒木韻石
雪を来て奈良博物館に入りにけり 野村喜舟
道のべに阿波の遍路がトマト食ふ ハードエッジ
本歌取:
道のべに阿波の遍路の墓あはれ 高濱虚子
秋
お盆なり死者も元気な顔見せよ ハードエッジ
死者:
梅も一枝死者の仰臥の正しさよ 石田波郷
花吹雪死者の眠りの永かれと ハードエッジ
扇風機ひとつの風に死者生者 今瀬剛一
冷し酒つひには死者も謗らるる 能村登四郎
父のゐる戦死者名簿土用干 中村光声
百年は死者にみじかし柿の花 藺草慶子
秋の虹死者に忘られゆくごとく 正木ゆう子
とりどりの菊もて死者の隙塞ぐ 津田清子
戦死者の妻も死にけり冬干潟 吉田汀史
強いられて極寒の死者合掌す 能村登四郎
降る雪は生者に翳り死者に照る 加藤知世子
死者生者共にかじかみ合掌す 西東三鬼
死者も聞け生者も聞けと除夜の鐘 相生垣瓜人
万巻の大方は死者読み初め ハードエッジ
秋なれや栗毛の猫を膝の上 ハードエッジ
膝の上:
菜の花を大きくくるみ膝の上 川崎展宏
猫ねむし落花を浴びて膝の上 ハードエッジ
峰雲や赤子を立たす膝の上 山本洋子
藍浴衣着て白き手を膝の上 日野草城
膝の上くるりくるりと裸にす 西山ゆりこ
鮎の塩ほろりと落ちし膝の上 原コウ子
盆提灯たたみてしばし膝の上 小原啄葉
行く年や猫うづくまる膝の上 夏目漱石
爽やかに帰つて来る落し物 ハードエッジ
落し物:
玉砂利の上に花見の落し物 ハードエッジ
芽吹く枝に吊つて念珠の落しもの 大木あまり
万緑の中ハンカチの落し物 ハードエッジ
爽やかに帰つて来る落し物 ハードエッジ
蟷螂はなびける萩の落し物 阿波野青畝
尖らせて口紅つかふ厄日かな ハードエッジ
口紅:
春の口紅三越の紙の色 須川洋子
春の色ずらり口紅売場なり ハードエッジ
顔上げて口紅濃しや潮干狩 岸本尚毅
口紅のいさゝか濃きも涼しけれ 久保田万太郎
口紅の玉虫いろに残暑かな 飯田蛇笏
外国の味の口紅冬隣 鈴木沙恵子
口紅つかう気力体力 寒いわ 池田澄子
口紅をもつて点晴初鏡 下村梅子
我こそは十日の菊を活ける者 ハードエッジ
我こそ:
我こそは天球の核星月夜 ハードエッジ
我こそは吹雪の中の雪達磨 ハードエッジ
不作とはいへど稲刈る他はなく ハードエッジ
先行句発見!:/2025.2.1
不作田も刈らねばならぬ刈りゐたり 石塚友二
蟷螂の鳥に食はるることもかな ハードエッジ
こともかな:
「こともかな」の例句なし。文法的に間違いかも?
爪切つて素足ねぎらふこともかな ハードエッジ
羅に襷を掛けることもかな ハードエッジ
秋刀魚食ふために飯炊くこともかな ハードエッジ
毬栗のまだ柔かな青二才 ハードエッジ
まだ柔:
祭舟まだやはらかき西の空 小池康生
子規の碑にまだ柔らかき蝉の殻 天野滋子
焚火跡まだ柔らかに匂ひをる ハードエッジ
丸まりてまだやはらかに鏡餅 長谷川櫂
月見から雪見にかよふ紅葉かな ハードエッジ
湖の方へ吹かるる草の絮 ハードエッジ
湖の方:
日ぐらしや急に明るき湖の方 小林一茶
冬
釘打てど螺子を締めれど日短 ハードエッジ
参道の一足ごとの霜柱 ハードエッジ
一足:
朧月一足づゝもわかれかな 向井去来
夏山や一足づつに海見ゆる 小林一茶
道ばたや一足づつに芥子の散 成田蒼虬
白鷺の一足二足水の秋 川崎展宏
一足の石の高きに登りけり 高濱虚子
受付に毛皮を預け肉食す ハードエッジ
冬眠の古傷疼く夜なりけり ハードエッジ
古傷:
古傷の上の生傷漆掻 中本真人
古傷を沈めて眠る梅酒かな 栗山麻衣
古傷をつゝかれしごと鵙啼けり 高澤良一
古家の古傷うずく隙間風 ハードエッジ
古傷を舐めつつ熊の冬眠す ハードエッジ
年末
野火畔火焚火もなさで年果つる ハードエッジ
本歌取:
人の世に木賊も蘆も刈らで老ゆ 相生垣瓜人
新年
老い先に幸多かれと初日の出 ハードエッジ
老い先:
飯蛸やわが老い先に子の未来 小川軽舟
冬
緋の色の緋鯉を沈め寒の水 ハードエッジ
緋鯉:
真鯉緋鯉触れ合うてゐる朧かな 井上康明
種俵緋鯉の水につけてあり 星野立子
緋鯉真鯉卯の花腐しうれしくて 阿波野青畝
折るべからずの蓮取るべからずの緋鯉哉 正岡子規
緋鯉うかみでて顔真赤水澄めり 池内友次郎
大寒の緋鯉がをれば真鯉をる ハードエッジ
真鯉の髭緋鯉の髭や冬泉 川崎展宏
緋鯉一群婚礼衣裳になる途中 かわにし雄策
きつぱりと「私、咲きます」水仙花 ハードエッジ
きつぱり:
きつぱりと夜と別れ朝顔の紺 鷹羽狩行
きつぱりと冬暗闇にして眠る 矢島渚男
◎初案30句
永き日を巡る鉄道模型かな ハードエッジ
立春の湯気のご飯とお味噌汁 ハードエッジ
雪解けて色々なもの色々に ハードエッジ
頭よくなれと目刺の苦き食ふ ハードエッジ
赤ん坊のやはらかな肉ひな祭 ハードエッジ
鬼ヶ島にも桃の花咲くころか ハードエッジ
捗りて青田日和となりにけり ハードエッジ
無数なる無敵の蟻の列が行く ハードエッジ
赤子ならぬ燕の子の黒子 ハードエッジ
孑孑も食つて目高の恙無し ハードエッジ
空蟬と博物館の大鎧 ハードエッジ
道のべに阿波の遍路が買ふトマト ハードエッジ
秋なれや栗毛の猫を膝の上 ハードエッジ
爽やかに落し物はや持ち主に ハードエッジ
尖らせつ口紅つかふ厄日かな ハードエッジ
不作とはいへど田を刈る他はなく ハードエッジ
わが道は十日の菊を卓の上 ハードエッジ
盂蘭盆会死者も元気でゐるらしき ハードエッジ
蟷螂の鳥に食はるることもかな ハードエッジ
湖の漣が待つ草の絮 ハードエッジ
青二才なりやはらかな栗の毬 ハードエッジ
月見から雪見の間を紅葉見て ハードエッジ
釘は叩き螺子は廻して日短 ハードエッジ
践みゆくは殺めるこころ霜柱 ハードエッジ
緋の色の緋鯉を沈め寒の水 ハードエッジ
毛皮着てをれども悪い人ぢやない ハードエッジ
冬眠に古傷疼く熊もあらむ ハードエッジ
「咲きます」と告げて咲きたる水仙花 ハードエッジ
野火山火焚火も見ずに今年果つ ハードエッジ
老い先を照らす初日でありにけり ハードエッジ
◎推敲句一覧/pdf
最終稿とその推敲分を記載
全178句/4枚
俳壇賞 2024 プランB 推敲句一覧
◎A4推敲 原稿/pdf
全17枚
俳壇賞2024 プランB A4推敲 原稿
◎A4推敲 加筆/pdf
全17枚
俳壇賞2024 プランB A4推敲 加筆
◎葉書俳句表側
◎データベース画面/桐v10
◎落選葉書一覧リンク
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