角川俳句賞2021 落選作-A 吹かば吹け春一番の空の旅

角川俳句賞 2021
プランA「御国の宝」50句

作句総数:原句86句/推敲総数629句 平均推敲数=7.3
内、捨句:原句37句/推敲総数199句 平均推敲数=5.4
最終稿 :原句49句/推敲総数430句→選句50句 平均推敲数=8.6

 

落選作

◎葉書俳句

背景の白抜き文字がうまく行ったので油断した
背景の区切りが、本文の上下の区切りと一致せず、
下段の先頭がどこにあるか判然としない
とはいえ、
40枚も印刷し、サインも済ませた後なので、
再印刷の気力なく、そのまま強行発行
後半の20句では、
背景の行間を開け、本文と背景がシンクロするよう修正

一安心と思いきや、
その後の発見は、
今週末を想定して、
印刷やサインに記した日付が、
どこで勘違いしたのか、翌週末だったこと

1週間ほど早めの、2021.12.10発行です/twitterなど

角川俳句賞2021 プランA

 

角川俳句賞2021 プランA-2

 

 

 

◎テキスト

春

啓蟄(けいちつ)の首都(しゅと)に乗換案内図(のりかえあんないず) ハードエッジ

乗換:
浅草へ乗り換へてゆく祭髪(まつりがみ) 津野利行( つ の としゆき)

乗り替へるだけの米原(まいばら)秋の暮 北川英子

なほ北へ乗り換ふ霧(きり)の跨線橋(こせんきょう) 角田敬恵

乗換の越後湯沢(えちごゆざわ)の雪起し 大久保白村(おおくぼ はくそん)

乗り換への雪の小駅で投函す 西村和子

 

 

吹かば吹け春一番(はるいちばん)の空の旅 ハードエッジ

吹かば:
東風(こち)吹かば帰るといひし夫かな 尾崎紅葉(    こうよう)

 

 

特急と疎遠(そえん)な村の日永宿(ひながやど) ハードエッジ

特急:
家族の春特急の窓に鼻押し当て ハードエッジ

「つばめ」てふ特急ありき燕(つばめ)かな ハードエッジ

特急といふも単線山桜 大久保白村(おおくぼ はくそん)

特急の臨時停車に花吹雪(はなふぶき) ハードエッジ

白塗りの特急電車虹(にじ)を抜け ハードエッジ

夜行特急寝酒にむせて雪国へ 鈴木鷹夫(   たかお)

初夢の夢の超特急速し ハードエッジ

 

 

春昼(しゅんちゅう)の時報(じほう)きこゆる港町(みなとまち) ハードエッジ

時報:
天高く時報が鳴つて留守(るす)の家 ハードエッジ

時報にてニュース始まるクリスマス ハードエッジ

港町:
春灯(しゅんとう)の山へのびゆき港町 高濱年尾(たかはま としお)

つばくらめ坂の名あまた港町 松崎鉄之介(    てつのすけ)

雨一過(いっか)みよ港町初夏(しょか)の景 中村汀女(    ていじょ)

蜜豆(みつまめ)や手にとるごとく港町 岬雪夫

朝霧や消え残る灯の港町 寺田寅彦(    とらひこ)

おでん屋の種を豊かに港町 ハードエッジ

 

あまたある星のひとつが囀(さえず)るよ ハードエッジ

あまたある:
あまたある纜(ともづな)はみな鰆船(さわらぶね) 岸本尚毅(  なおき)

 

蝶(ちょう)が舞(ま)ふパンもケーキも無き寺に ハードエッジ

蝶が舞ふ:
大原や蝶の出て舞ふ朧月(おぼろづき) 内藤丈草(ないとう じょうそう)

陽炎(かげろう)の中に舞ひこむ胡蝶哉(こちょうかな) 正岡子規(  しき)

蝶しばし舞ふや翁(おきな)の夢の上 正岡子規

ひとたびは高くも舞へり秋の蝶 上村占魚(うえむら せんぎょ)

蝶も蜂(はち)も舞ふよ小さき冬日向(ふゆひなた) 山口青邨(    せいそん)

野に山に蝶が舞ふ日も遠からじ ハードエッジ

 

口中(こうちゅう)に千金(せんきん)の泥(どろ)つばくらめ ハードエッジ

千金:
無為(むい)といふこと千金や春の宵(よい) 富安風生(とみやす ふうせい)

春宵(しゅんしょう)も余生(よせい)も値千金(あたいせんきん)ぞ ハードエッジ

 

つばくらや雨ふる国の深庇(ふかびさし) ハードエッジ

深庇:
深庇蝶(ちょう)ぶらさがる暑さかな 下村槐太(   かいた)

初富士(はつふじ)を隠(かく)さうべしや深庇 阿波野青畝(あわの せいほ)

 

 

つかみ難(がた)しよ落るナイフも燕(つばくら)も ハードエッジ

掴み難し:
未来おそろしおでんの玉子つかみがたし 山口優夢(   ゆうむ)

 

 

春雷(しゅんらい)にグラスを磨(みが)く女かな ハードエッジ

グラス:
馬を追ふオペラグラスに花菜の黄 内田美紗(  みさ)

黒人のミラーグラスや夏の蝶(ちょう) 中嶋憲武(なかじま のりたけ)

スポンジにグラスの泣ける青葉の夜 林昭太郎

 

 

がさごそと浅蜊(あさり)のたうつ煮立(にた)ちかな ハードエッジ

煮立ち:
焚火(たきび)して雪が煮立つて来(きた)りけり ハードエッジ

 

幼子(おさなご)は御国(おくに)の宝桜咲く ハードエッジ

桜咲く:
桜咲くゼロ系新幹線の鼻 涼野海音(すずの うみね)

軽々と又重々と桜咲く 相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

桜咲くを病(や)みて見ざりき散るときも 草間時彦(くさま ときひこ)

暗闇(くらやみ)に海あり桜咲きつつあり 西東三鬼(さいとう さんき)

ミス卑弥呼(ひみこ)準ミス卑弥呼桜咲く 茨木和生(いばらき かずお)

星屑(ほしくず)のいわおとなりて桜咲く 五島高資(ごとう たかとし)

桜咲く金を遣(つか)いに東京へ 折勝家鴨(おりかつ あひる)

遊園地動かす電気桜咲く 遠藤容子

桜咲く/自作:
ガガーリン少佐の地球桜咲く ハードエッジ

東進(とうしん)の後の北上(ほくじょう)桜咲く ハードエッジ

百獣(ひゃくじゅう)の動物園に桜咲く ハードエッジ

校庭は校舎の南桜咲く ハードエッジ

鉛筆の柔らかな黒桜咲く ハードエッジ

 

熱飯(あつめし)に卵を落す朝桜 ハードエッジ

熱飯:
熱飯に紅生姜(べにしょうが)夏百日来 森澄雄

熱飯にけふ秋晴となりぬべし ハードエッジ

 

洗桶(あらいおけ)と洗濯籠(せんたくかご)と朝桜 ハードエッジ

洗濯籠:
空つぽの洗濯籠や囀(さえず)れる 西村和子

 

村々の小学校の桜かな ハードエッジ

村々:
村々のその寺々の秋の暮 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

 

山奥に海を知らざる山桜 ハードエッジ

知らざる:
さからふを知らざる雛(ひな)を納(おさ)めけり 大木あまり

黒き故(ゆえ)疲れ知らざる蟻(あり)出初む 右城暮石(うしろ ぼせき)

まだ昨日を知らざる白さ花辛夷(はなこぶし) 鎌倉佐弓(かまくら さゆみ)

窓眩(まぶ)し土を知らざるヒヤシンス 神野紗希(こうの さき)

海底を知らざる空や冬近し 丸田洋渡(   よっと)

この道しか知らざる妻の盆の路 能村登四郎(のむら としろう)

白も黄も春を知らざる秋の蝶 ハードエッジ

玄海(げんかい)の引くを知らざる冬の浪 伊藤通明(いとう みちあき)

煮凝(にこごり)や今に知らざる妻の齢(とし) 森川暁水(    ぎょうすい)

 

山に山桜水力(すいりょく)発電所(はつでんしょ) ハードエッジ

発電:
発電は水こそよけれ山眠る 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

五月雨(さみだれ)を集め水力発電所 ハードエッジ

 

花衣(はなごろも)母の衣桁(いこう)も持ち出して ハードエッジ

衣桁:
春の夜や衣桁の裾(すそ)にひそむ鬼 高田蝶衣(    ちょうい)

春雨の衣桁に重し恋衣(こいごろも) 高濱虚子(たかはま きょし)

鏡台(きょうだい)も衣桁も朱に花の雨 久保田万太郎

春灯(しゅんとう)の衣桁に何もなかりけり 清崎敏郎(きよさき としお)

衣裳持(いしょうもち)なりしひひなの衣桁かな 後藤夜半(ごとう やはん)

衣桁よりくづほれ落ちて花ごろも 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

広間たゞ衣桁に春着かかるのみ 室積波那女(むろづみ はなじょ)

 

すたこらと花見弁当(はなみべんとう)届(とど)けに来(く) ハードエッジ

弁当:
弁当に玉子焼あり水温(みずぬる)む 池田秀水(    しゅうすい)

弁当くふて青きを踏んで遊びけり 正岡子規(  しき)

届きたる花見弁当あたたかし 高野素十(    すじゅう)

弁当を膝(ひざ)に広げて雲雀(ひばり)の野 ハードエッジ

草刈の人の弁当草の上 依光陽子(よりみつ    )

コンビニ弁当積み上げ祭本部なる 野崎海芋(   かいう)

行先ちがふ弁当四つ秋日和(あきびより) 松永典子

弁当に海山のもの豊(とよ)の秋 西宮舞(にしみや まい)

弁当のまはりの塵(ちり)や松手入(まつていれ) 桂信子

弁当や松美しき松手入(まつていれ) ハードエッジ

弁当にかぶる焚火(たきび)のほこり哉(かな) 角田竹冷(つのだ ちくれい)

弁当の蓋(ふた)へ沢庵(たくあん)置いておく 中嶋憲武(なかじま のりたけ)

 

ボンネット開けて桜を見せてやる ハードエッジ

見せてやる:
鶯(うぐいす)に鶯餅(うぐいすもち)を見せてやる ハードエッジ

本当の血の皸(あかぎれ)を見せてやる ハードエッジ

 

超然(ちょうぜん)と歳月(さいげつ)に立つ桜かな ハードエッジ

超然:
百合の花超然として低からず 高屋窓秋(たかや そうしゅう)

 

ひとひらが落花(らっか)の封(ふう)を切らんとす ハードエッジ

封切:
封切れば句集や霧(きり)の重さ以(も)て 下村槐太(   かいた)

封切れば溢(あふ)れんとするかるたかな 松藤夏山

 

直列(ちょくれつ)に並列(へいれつ)に花吹雪(はなふぶき)かな ハードエッジ

花吹雪かな:
一天のかたむきて花吹雪かな 成瀬正俊(なるせ まさとし)

鎌倉(かまくら)の搦手(からめて)は花吹雪かな 飴山實(あめやま みのる)

わが門のわが町の花吹雪かな 安住敦(あずみ あつし)

黒髪に剃髪(ていはつ)に花吹雪かな ハードエッジ

 

花ふぶき赤子は永久(とわ)に泣き止まず ハードエッジ

永久に、永遠に:
温泉のとはにあふれて春尽きず 高濱虚子(たかはま きょし)

モナリザは永久に人妻春の闇 斉田仁(さいだ じん)

水平線永遠に新し夏の航 小川軽舟(    けいしゅう)

青年の黒髪永遠に我鬼忌(がきき)かな 石塚友二(いしづか ともじ)

秋の字に永久に棲(す)む火やきのこ雲 三橋敏雄(みつはし としお)

一閃(いっせん)を永久につたへて原爆忌(げんばくき) 蔦三郎(つた    )

七夕や岸まじはらぬこと永久に 片山由美子

木犀(もくせい)や団地A棟(とう)永遠にA 押野裕(おしの ひろし)

障子(しょうじ)に日溢(あふ)れて永遠に母の留守(るす) 鈴木鷹夫(   たかお)

永久に、永遠に/自作:
地獄(じごく)には永久に割れない石鹸玉(しやぼんだま) ハードエッジ

桜貝永久に幼き女の子 ハードエッジ

この滝や裸身(らしん)の神の永久に立つ ハードエッジ

一瞬を流れて永遠に消ゆる星 ハードエッジ

満月や永遠に零(こぼ)るる崖(がけ)の土 ハードエッジ

織姫(おりひめ)の永遠に老いゆく星祭 ハードエッジ

宿の湯の永久にあふるる初日かな ハードエッジ

 

女房(にょうぼう)も一つ年取る桜かな ハードエッジ

年取:
熊(くま)の子も一つ年とり穴を出(い)づ 三橋敏雄(みつはし としお)

白をもて一つ年とる浮鴎(うきかもめ) 森澄雄(もり すみお)

 

玉砂利(たまじゃり)の上に花見の忘れ物 ハードエッジ

忘れ物:
こんなにも春雨傘(はるさめがさ)の忘れ物 ハードエッジ

忘れ物出てきたやうに雪解(ゆきげ)村 阿部静雄

雛道具(ひなどうぐ)時の流れの忘れもの ハードエッジ

あくる日の忘れ物めく螢籠(ほたるかご) 片山由美子

あかあかと屏風(びょうぶ)の裾(すそ)の忘れもの 波多野爽波(はたの そうは)

今年はや先日といふ忘れもの ハードエッジ

 

蓋(ふた)あけて天丼(てんどん)匂(にお)ふ花の雨 ハードエッジ

蓋あけ:
紐解(ひもと)いて蓋開けて雛(ひな)飾りけり ハードエッジ

蓋あけし如(ごと)く極暑(ごくしょ)の来(きた)りけり 星野立子

いろいろの蓋あいてゐるキャンプかな 齋藤朝比古(さいとう あさひこ)

蓋あけて月の光のオルゴール ハードエッジ

蓋あけて宝づくしの雑煮椀(ぞうにわん) 能村登四郎(のむら としろう)

 

花の雨も滑(すべ)りに来(き)たれ滑(すべ)り台 ハードエッジ

滑り台:
滑り台経由(けいゆ)ぶらんこ行きの風 金子敦(かねこ あつし)

花散るや象(ぞう)のかたちの滑り台 上田信治(うえだ しんじ)

子供の日すべり台よくすべりけり 成瀬櫻桃子(なるせ おうとうし)

鉄灼(や)け木も灼け滑台一基(いっき) 小澤實(おざわ みのる)

緑陰(りょくいん)にひんやりとある滑り台 杉原祐之

初秋の砂すべり来る滑り台 箱森裕美(はこもり ひろみ)

滑り台/自作:
暖かやお尻で磨(みが)く滑り台 ハードエッジ

花びらの滑つて行きし滑り台 ハードエッジ

雪うさぎすべり台よりすべらせて ハードエッジ

 

下水へと真(ま)つ逆(さか)さまや花の雨 ハードエッジ

下水:
夕焼へ下水の口のならびたる 《    はくせん》

 

咲き満ちて月にまみゆる桜かな ハードエッジ

まみゆる:
薄墨(うすずみ)の富士にまみゆる遅日(ちじつ)かな 川崎展宏(    てんこう)

閨秀(けいしゅう)にまみゆるおもひ返り花 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

 

花疲れ回送電車通りけり ハードエッジ

回送:
龍天(りゅうてん)へ回送(かいそう)電車くらやみへ 三宅やよい

回送のバス涼しげに走り去る 中本真人(なかもと まさと)

 

ざあざあと夏も近づくマンホール ハードエッジ

ざあざあ:
夜濯(よすすぎ)のざあざあ水をつかひけり 森川暁水(    ぎょうすい)

竹瓮(たつべ)上ぐ水ざあざあとこぼれけり 藤松遊子(   ゆうし)

 

 

夏

モノクロのカラーの黴(かび)の声聞かな ハードエッジ

黴の声:
屑(くず)に出す堆書のあぐる黴の声 綾部仁喜(あやべ じんき)

線切れし黒電話より黴の声 小川軽舟(    けいしゅう)

 

眩(まぶ)しさの裸電球(はだかでんきゅう)夏祭 ハードエッジ

裸電球:
裸電球杜(もり)に巡(めぐ)らせ夏祭 高澤良一(たかざわ よしかず)

虫売の裸電球ゆるめ消す 染谷佳之子(そめや かなこ)

裸電球鬼やらふ影巨(おお)きくす 山根真矢(やまね まや)

裸電球ひとつ切れゐる飾(かざり)売り 染谷佳之子

切れ際(ぎわ)をひとひかり裸電球は 桑原三郎

 

金魚にするか花火にするか子の浴衣(ゆかた) ハードエッジ

参考句:
夏は来ぬパジャマの柄の月と星 神野紗希(こうの さき)

 

浴衣(ゆかた)着て母校(ぼこう)に集(つど)ふ花火の夜 ハードエッジ

母校:
田のわれにとどく母校の卒業歌 中川博秋(    ひろあき)

運動会の昼餉(ひるげ)母校の低き椅子(いす) 伊丹三樹彦(いたみ みきひこ)

ひろしま忌一基(いっき)の墓を母校とす 赤松蕙子(   けいこ)

 

宿浴衣(やどゆかた)見よとばかりに干(ほ)し連(つら)ね ハードエッジ

干し連ね:
苗代(なわしろ)や干し連ねたる何の網(あみ) 会津八一(あいづ やいち)

昆布(こんぶ)干し連ねて焦茶(こげちゃ)色の村 成田智世子

柿の木に柿干しつらね大地主 鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

実南天(みなんてん)幼き物を干しつらね 白岩てい子

 

古浴衣(ふるゆかた)古き命を包むなり ハードエッジ

包むなり:
友の手をまづ包むなり火事見舞 朝倉和江

 

蝉(せみ)の穴地中より掘(ほ)り来(きた)りけり ハードエッジ

地中より:
地中よりあく穴うれし蝉しぐれ 三橋敏雄(みつはし としお)

 

鱗粉(りんぷん)の幽(かす)かな汚れ捕虫網(ほちゅうもう) ハードエッジ

鱗粉:
鱗粉をこぼしつつ花衣(はなごろも)かな 櫂未知子(かい みちこ)

鱗粉にまみれて捕虫網の臀部(でんぶ)の昏睡(こんすい) 江里昭彦(えさと あきひこ)

蟻(あり)の巣に鱗粉の部屋ありぬべし ハードエッジ

蛾(が)の腹に鱗粉詰まりゐはせぬか ハードエッジ

 

朗報(ろうほう)の蟻(あり)か一目散(いちもくさん)に駆(か)く ハードエッジ

朗報:
大雪を朗報のごと春立てる 百合山羽公(ゆりやま うこう)

 

蟻(あり)の道お天道様(てんとさま)が見てをられ ハードエッジ

見てをられ:
神々も角(つの)切る鹿(しか)を見てをられ ハードエッジ

客人は青無花果(あおいちじく)を見てをられ 岸本尚毅(   なおき)

 

蟻(あり)でなきものを担(かつ)ぎて蟻(あり)の列 ハードエッジ

でなき:
邪魔(じゃま)な日と邪魔でなき日の春炬燵 ハードエッジ

照らされてさくらの色でなき桜 抜井諒一(ぬくい りょういち)

山淋し雨でなき時深い霧(きり) 松根東洋城(まつね とうようじょう)

汝(な)が神のわが神でなき寒さかな 恩田侑布子(おんだ ゆうこ)

 

夕立(ゆうだち)の天に捧(ささ)げる観覧車(かんらんしゃ) ハードエッジ

捧げる:
火の神に捧げる如(ごと)し秋刀魚(さんま)焼く ハードエッジ

 

 

秋

行く声と来る声秋の電話線 ハードエッジ

電話線:
ぴんと張る雪倒れ樹の電話線 右城暮石(うしろ ぼせき)

 

夕方は昼間の終り秋の暮(くれ) ハードエッジ

昼間:
手花火(てはなび)が昼間は見えぬもの照らす 行方克巳(なめかた かつみ)

昼間から裸で遊ぶ風呂場かな ハードエッジ

虫籠(むしかご)の美しからぬ昼間かな 上野泰(    やすし)

昼間から錠(じょう)さす門の落葉哉(かな) 永井荷風(   かふう)

 

覗(のぞ)き見る点検孔(てんけんこう)の夜長(よなが)かな ハードエッジ

点検:
ぶらんこの点検済ませひと漕(こ)ぎす 百瀬(ももせ)はな

 

冬

寒林(かんりん)の真ん中にゐる寒さかな ハードエッジ

寒林:
寒林の陽を見上げては眼をつぶる 飯田蛇笏(いいだ だこつ)

寒林に雨だれの音夥(おびただ)し 西村和子

寒林の奥に慟哭(どうこく)あるごとし 青木重行(    しげゆき)

寒林の一番端の風当り ハードエッジ

 

きゆつと鳴く踏んで幼(おさな)き霜柱(しもばしら) ハードエッジ

きゆつと:
きゆつきゆつとシャワーの栓(せん)を全開(ぜんかい)に ハードエッジ

布袋草(ほていそう)きゅっとくびれるところかな 高澤良一(たかざわ よしかず)

きゅっと鳴る紅茶の砂糖秋の昼 高澤良一

 

 

新年

初夢に初恋の人こんにちは ハードエッジ

 

 

◎初案50句

季語順
最終稿の順とは異なる
季語も異なることあり
初案が最終稿:8句

春昼の時報の響く港町 ハードエッジ
ざあざあと春の下水の元気なり ハードエッジ
特急も行先同じ春の駅 ハードエッジ
花満ちて首都に路線図道路網 ハードエッジ
春雷や洋酒グラスのずんぐりと ハードエッジ
行く先や春一番のバスに乗り ハードエッジ
玉砂利を行く人もなし花の雨 ハードエッジ
玉砂利は花見の客に踏まれ踏まれ ハードエッジ
滑り台を滑り流るる花の雨 ハードエッジ
散りゆくや一日一日の花衣 ハードエッジ
花疲れ降りし電車は回送に ハードエッジ
寺までのゆるい坂道花の雨 ハードエッジ
天丼に上と並あり夜の桜 ハードエッジ
がさごそと浅蜊の鍋の断末魔 ハードエッジ
音のなき宇宙囀る地球かな ハードエッジ
蝶々にパンもケーキも無けれども ハードエッジ
つばくらや雨ふる国の深庇 ハードエッジ
舐めてみる泥の好みや燕 ハードエッジ
切味はナイフの如しつばくらめ ハードエッジ
熱飯に卵を落す初桜 ハードエッジ
村々の小学校の桜かな ハードエッジ
ボンネット開けて桜を見せてやる ハードエッジ
歳月を押し留めたる大桜 ハードエッジ
人払ひして月に見ゆる桜かな ハードエッジ
古妻も一つ年取る桜かな ハードエッジ
幼子は桜の国の幼稚園 ハードエッジ
山盛の洗濯籠や朝桜 ハードエッジ
花満ちて山に水力発電所 ハードエッジ
花満ちて涙こらへてゐるやうな ハードエッジ
山奥に海を知らざる山桜 ハードエッジ
封切の花散る宵となりにけり ハードエッジ
隣の木隣の木へと花吹雪 ハードエッジ
夕立やその絶頂の観覧車 ハードエッジ
宿浴衣見よとばかりに干し連ね ハードエッジ
へうたんの柄を選びし宿浴衣 ハードエッジ
古浴衣古き命を包みけり ハードエッジ
浴衣着て母校に集ふ花火かな ハードエッジ
鱗粉で鱗粉汚す捕虫網 ハードエッジ
電球に裸ありけり夏祭 ハードエッジ
お天道様の見てゐる蟻の列 ハードエッジ
迷ひたる蟻か一目散に駆く ハードエッジ
蟻でなきものも混りて蟻の列 ハードエッジ
蝉の穴下から掘つて来りけり ハードエッジ
生きてゐる青黒白や黴の声 ハードエッジ
梅雨空にある電気線電話線 ハードエッジ
夕方は昼間の終り秋の暮 ハードエッジ
覗き見る点検孔の夜長かな ハードエッジ
寒林の真ん中にゐる寒さかな ハードエッジ
きゆつと鳴く寸に満たざる霜柱 ハードエッジ
遠くとも初夢でまた逢ひませう ハードエッジ

 

◎推敲過程データ/pdf

推敲途中で季語入替という荒業も使いますが、
一括して、
最終稿の季語で登録するようにしてます、、、あくまで原則ね

最終稿50句の推敲:推敲数430句

途中断念句37句の推敲:推敲数199句

 

 

◎推敲過程 プリント+手書き/pdf

◎葉書俳句背景画像

 

◎落選葉書一覧

DuckDuckGo 検索:
最新版はこちら

Google検索:
最新版はこちら

以上です