NHK俳句2020 落選作抄 店先にママの名前の春燈

NHK俳句2020 落選作抄 20句

◎月間/年間投句状況

現在の定期投句は、
月に5回計6句/全て兼題
NHK俳句/Eテレが月に3句/2回:5日に1句、20日に2句締切
  →全て twitternote に発表 →今回、ここに2020年の年間ベストを収録/自選
  ※去年2019年の落選分はこちら ←それ以前は投句歴なし/ネット投句不可だったため投句できず
NHK文芸選評/ラジオが月に2句:隔週月曜締切 ←今年からネット投句解禁で参加
  →twitter、note(上記note)に発表
聞ける俳句/テレビ愛媛が月に1句:第4月曜締切 ←去年から投句
  →時々、twitterに発表

年間では、
角川俳句賞が50句:5月末締切 →twitter、note、メルマガ、全然堂落選俳句館 で公表/好評?
俳壇賞が30句:9月末締切 →同上
  ※角川俳句賞は週刊俳句の落選展にも参加 →句評待ち
  過去分には句評を頂きました →201920182017
  落選展の句評を検索するも、ノイズ多し

今年は全てに応募、全滅
沈没句は推敲再選の上、全然堂歳時記にて供養

なお、従来は、
上記の内、月間投句作品やtwitterでの単発発表を再構成して、
開発素句報/7句 にマトメていたが、
今年は全然堂歳時記に注力したので、
夏で中断/発行6回

 

◎葉書俳句

NHK俳句2020 落選作抄

 

 

◎テキスト

山笑ふ地球は丸く回転す ハードエッジ

回転の怪句:
地球一万余回転冬日にこにこ 高濱虚子たかはま きょし

夏には、
この星のまはること滝落つること 対中いずみ

 

店先にママの名前の春燈はるともし ハードエッジ

上出来、自信作、2020年の収穫とまで自画自賛だったのに、、、沈没悲し

名前の秀句:
雪しろやおなじ名前の山と川 しなだしん

はんこ屋にふしぎな名前鳥の恋 吉田葎

名前の自作:
うららかや花の名前の貝のから ハードエッジ

春雪や名前が降つて来るやうに ハードエッジ

重さうな名前なりけり厚氷あつごおり ハードエッジ

山茶花さざんかや菓子の名前の石衣いしごろも ハードエッジ

太箸ふとばしに一家の名前そろひたる ハードエッジ

 

 

ひらひらとお馬の前の蝶々ちょうちょかな ハードエッジ

ひらひらと蝶々では余りに付き過ぎではありますが、、、

 

教室に差してくる日やヒヤシンス ハードエッジ

「差してくる日」が俳句っぽくてイイなと思ったが、
これは万太郎の影響だったかも、

あたゝかにひそかにさしてくる日かな 久保田万太郎

日がさしてくるはさびしや斑雪山はだれやま 清崎敏郎きよさき としお

雪やみし日のさしてくるひいなかな 久保田万太郎

 

初夏の洗濯せんたくばさみ花ばさみ ハードエッジ

止める鋏と切る鋏

洗濯の四季:
廻りをる春爛漫はるらんまんの洗濯機 ハードエッジ

空つぽの洗濯かごさえずれる 西村和子

洗濯機の前で裸になつてをり 鈴木鷹夫

朝顔はしぼみはじめて洗濯機 ハードエッジ

洗濯すもう晩秋のものばかり 対馬康子つしま やすこ

小春日和こはるびより洗濯日和もず日和 ハードエッジ

寒さうに洗濯物の干されある ハードエッジ

山の如あるは洗濯始めかな ハードエッジ

 

木に上るへびに感心してをりぬ ハードエッジ

 

姉妹のやうに仲良しさくらんぼ ハードエッジ

春は猫と、
朝寝して猫と仲良くなりにけり ハードエッジ

 

脱ぎ捨てて既に水着のうとましき ハードエッジ

疎ましきの名句:
接木してつながる肉の疎ましき 長谷川櫂はせがわ かい

 

地球いま夜の半球月見草 ハードエッジ

「夜の半球」が自慢です

改案:
この星の夜の半球月見草 ハードエッジ

半球俳句:
石鹸玉しゃぼんだま壁に半球残りたる 稲畑廣太郎いなはた こうたろう

半球は天文台てんもんだい天道虫てんとむし ハードエッジ

柔かき海の半球クリスマス 三橋敏雄

 

影のやうに舟の出てゆく月見草 ハードエッジ

「影のやうに」が自慢です

影の如俳句:
影のごと焚火たきびの跡を重ねたる ハードエッジ

 

ひぐらしやバス折り返す寺の前 ハードエッジ

バスの四季:
ひろはれて長閑のどかなバスの客となる ハードエッジ

峰入みねいりに奈良交通のバスが着く 中本真人   まさと

紫のたましい梅雨つゆの夜のバスは 藤田哲史   さとし

白靴しろぐつや長距離バスの列につく 黄土眠兎きづち みんと

連なりて奈良へ奈良へとバスの秋 ハードエッジ

銀漢ぎんかんはるか手前でバスを降り 望月周もちづき しゅう

冬の雨高速バスの腹を開け 小野あらた

道混んでゐてバス空いてゐて師走しわす 西村和子

 

ピストルの手入れ運動会前夜 ハードエッジ

ピストル俳句:
ピストルがプールの硬きに響き 山口誓子   せいし

ピストルのひじ真つ直ぐや運動会 金澤諒和

 

小兵こひょうなれどもかじか焼き鰍 ハードエッジ

小兵自作:
小癪こしゃくなる香水瓶こうすいびんの小兵ども

 

蟷螂とうろうの怒りに燃ゆる緑色 ハードエッジ

普通なら、える緑を燃やしました

先行句:
蟷螂が怒りに燃えて立ち上がる 相生垣瓜人あいおいがき かじん

蟷螂のみどりみづみづしく怒る 山田弘子

萌える方の緑:
ところどころ緑え立つ砂漠さばくかな 正岡子規  しき

緑萌ゆ岩にいのちを与へつつ 雨宮抱星あめみや ほうせい

下萌したもえの緑に花の散ることよ ハードエッジ

西部劇なら二丁拳銃にちょうけんじゅういぼむしり ハードエッジ

 

紫も緑も黒も葡萄ぶどうなり ハードエッジ

葡萄の色のフルセット!
そもそも2色セットも稀

黒+紫:
黒きまで紫深き葡萄かな 正岡子規  しき

 

 

茶の花のつぼみのやうな恋心 ハードエッジ

恋心:
恋ごころわが子にありや初雲雀はつひばり 日野草城    そうじょう

初便はつたよりとは淡々の恋ごころ 山口青邨    せいそん

 

かれてたる手袋パーを出したまま ハードエッジ

轢かれた秀句:
轢かれたるほうの落葉でありにけり 岸本尚毅   なおき

 

雑煮ぞうににはなれず黄粉きなこにまみれたる ハードエッジ

なれず俳句:
花冷えの雨にならんとしてなれず 久保田万太郎

こぼれねば花とはなれず雪やなぎ 加藤楸邨    しゅうそん

七夕の竹となれずにやぶにゐる 辻田克巳   かつみ

 

 

春着の子見事に転ぶ雪の上 ハードエッジ

だから、言ったじゃないか、
転ぶなと言へば転びぬ春着の子 ハードエッジ

転ぶ俳句:
寝転ねころぶに春のあかしの腕まくり ハードエッジ

こがらしにころぶ夕べのバケツかな 京極杞陽きょうごく きよう

死ぬまでは転ぶことなく寒雀かんすずめ 三橋敏雄

雪の上自作:
ぽたぽたと雪解雫ゆきげしずくや雪の上 ハードエッジ

雪の上にひよろりとえて影を引く ハードエッジ

吸殻すいがらのしばらく赤き雪の上 ハードエッジ

千年のつる万年の雪の上 ハードエッジ

雪折ゆきおれのもんどり打つて雪の上 ハードエッジ

雪の上に雪新しき今年かな ハードエッジ

 

選者一覧:

赤字=無念度120%

宇多喜代子氏:春着
長嶋有氏:山笑ふ
井上弘美氏:雜煮
小澤實氏:ヒヤシンス・夏・水着・鰍・運動会
対馬康子氏:蝶・蛇・葡萄・手袋
西村和子氏:春燈・さくらんぼ・月見草・蜩・蟷螂・茶の花

 

◎推敲過程

投句後の推敲分は除外

NHK俳句2020

 

◎未練句

大量投与

水はかなで鳥はさえずり山笑ふ ハードエッジ

泣く吾子あこにまた春燈しゅんとうともしては ハードエッジ

ベランダに洗濯機ありちょうの昼 ハードエッジ

スカートにスカートの香や蝶の昼 ハードエッジ

教室の土曜日曜ヒヤシンス ハードエッジ

ヒヤシンス恥しき根をからませて ハードエッジ

 

シャンプーを泡立てて夏きたりけり ハードエッジ

新製品よく出ることよ髪洗ふ ハードエッジ

素麺そうめん紅一点こういってんのさくらんぼ ハードエッジ

の水着水の中より燃え上る ハードエッジ

長虫ながむしといふ名はたいを表はせり ハードエッジ

月見草こよひ限りの紅を引き ハードエッジ

 

十月に続く十一月の空 ハードエッジ

七夕竹に願ひ思ひのきらびやか ハードエッジ

穴釣あなづりの穴より大きかじかかな ハードエッジ

蟷螂とうろうの食はれてせいまっとうす ハードエッジ

ひぐらしに一番星はまだ見えず ハードエッジ

蜩に今日を限りの湯治とうじかな ハードエッジ

蜩も夕日も遠くやがて消ゆ ハードエッジ

 

ゲレンデのあれに見ゆるは雪女ゆきじょぢやないか ハードエッジ

ややにやる乳が氷りぬ雪女 ハードエッジ

大嚔おおくさめして山彦やまびこを驚かす ハードエッジ

インバネス兵隊さんとすれ違ふ ハードエッジ

鬼やらひけて氷はきよらかに ハードエッジ

うみ追儺ついなの豆のぽちやぽちやと ハードエッジ

地下鉄で参る浅草都鳥みやこどり ハードエッジ

 

新年

風神や数多あまたたこを遊ばせて ハードエッジ

風の子に凧々あがれあがれかし ハードエッジ

湯の宿に雪国ぶりの雑煮ぞうに食ぶ ハードエッジ

上気してロビーに語る春着かな ハードエッジ

着膨きぶくれるままに着せたる春着かな ハードエッジ

※「凧」は春季という説もあるが、ご容赦

 

以上です