開発素句報 2018-11 富士やいま春あけぼのの色にかな

訂正:名山けずる→名山けづる/2023.6.10

開発素句報 2018-11 富士や今

 

◎葉書画像

◎自句自解

富士やいま春あけぼのの色にかな

  これはイケると思った初案:
  富士やいま春あけぼのの桜海老さくらえび
  豪華材料、意味朧

  「あけぼの」が前後にかかって、
  意味が二重化しています
  (曖昧とも言う)

  夜明けの頃の富士山と桜海老の出漁
  あけぼのの色の富士山と桜海老

  イケるんじゃないか、
  イケるといいな、、、
  と、二三日考えた末、
  結局、桜海老退場

  禁じ手のダブル切字でもありますが、
  富士山相手なんで、勘弁してください

  また、
  大上段な「富士やいま」など、
  とっくに、使い古されたフレーズかと、
  先行句が心配でしたが、
  意外にも、当方のデータベースには見当りませんでした

  せいぜい、このくらい、
  雲海の彼岸ひがんの富士や今日あけつゝ 中村草田男くさたお

 

 

山々を押し開き行く春の川
  先行句:
  雪解川ゆきげがわ名山けづるひびきかな  前田普羅ふら
  荒々しい雪解けの川を、
  長閑な春の川で詠んでみました

 

細きの先の先まで芽吹めぶきけり

 

紫陽花あじさい背丈せたけしたしき芽吹かな
  紫陽花は人の背丈ほどで冬は枯木です
  癖のない細い枝が放射状に生えている様は、
  結構、趣きがあります

  目の高さの茶色い枯木を見慣れているので、
  春に緑の若葉が芽吹いた時は、
  桜などより、ずっと目立ちます

 

菜の花に枝垂桜しだれざくられんとす

 

花であることも忘れて猫柳ねこやなぎ
  つまり、
  花びらがあって、それが開いた、いわゆる花、
  とは一寸違うのが猫柳
  →猫柳/GGL

 

恋猫でありし昔や猫ねむる

 

 

◎未練句

開発素句報選外句
めし白妙しろたえの舌紫木蓮しもくれん
  直立の紫木蓮が力尽きて捲れてしまった景
  初めの一枚二枚の白にはギクリとします

  技巧に過ぎるかも知れませんが、
  あれは他にどう言えばいいんだろう

 

行く末や春の小川のさらさらと

 

つばくらを待つやつぼみ薄紅うすべに

 

かすむかな花の莟もそのやうに

涅槃ねはんに降る雪なればそのやうに
  参考句、
  春なれや夢の景色もそのやうに  上村占魚せんぎょ
  この「そのやうに」がカッコいいので、
  追っかけてみました

 

山葵田わさびたの水やふるいけるごと

 

 

◎推敲過程 葉書

pdf_20180331

◎推敲過程 DB

開発素句報2018-11

 

以上です