全然堂歳時記 秋の部
【子規忌】しきき
糸瓜忌=へちまき、獺祭忌=だっさいき
※正岡子規(1867年10月14日〈慶応3年9月17日〉 – 1902年〈明治35年〉9月19日)享年34
楽しくてたまらんといふ子規の忌ぞ
柿の仏糸瓜の神となられたる
柿くへば鐘の正岡子規忌なり
※鐘=かね
先行句:
鐘の音偲びて柿を食ひにけり 相生垣瓜人
柿食うて柿好き子規の忌を修す
※修す=しゅうす
柿剥けば皮に肉ある子規忌かな
※剥けば=むけば
柿の皮窓辺に吊す子規忌かな
子規の忌に十四五人も侍るべし
※侍る=はべる
死神を何の糸瓜と子規忌かな
糸瓜忌の糸瓜を長く垂らしけり
鶏頭の忌とも思ひぬ糸瓜の忌
※鶏頭=けいとう
糸瓜忌に糸瓜の水を奉る
※奉る=たてまつる
書を広げ書を積み上げて獺祭忌
積み上げし書の崩るるも獺祭忌
※崩るる=くずるる
唐黍を歯で掻き取りぬ獺祭忌
※唐黍=とうきび。掻き=かき
妹や子規なき冬の薪を割る
※薪=まき
以上です