全然堂歳時記 冬の部
【大根干す】だいこ(ん)ほす
掛大根=かけだいこ(ん)、干大根=ほしだいこ(ん)
恙なく掛大根の日和かな
※恙=つつが、日和=ひより
日当れば風のいたぶる掛大根
欄干は風の通ひ路掛大根
※欄干=らんかん、通ひ路=かよいじ
湯の町に雪ふり初めし掛大根
※初めし=そめし
山に雪掛大根よ甘くなれ
雪よりも甘く大根を掛け連ね
墨染の衣に襷大根掛け
※墨染=すみぞめ、衣=ころも、襷=たすき
一族は寺に安らぎ掛大根
菩提寺の良き日当りや掛大根
※菩提寺=ぼだいじ
国富とも大根を白く掛け連ね
家々や大根を干して風の中
干大根十四五本の冬籠
※冬籠=ふゆごもり
日を溜めて土の色なる干大根
※溜めて=ためて
家々に掛大根の月夜かな
紅梅の蕾ほつほつ掛大根
※紅梅=こうばい
以上です