ペアリング1 春の月大輪にして一重なる 長谷川櫂

追記:恐竜・冷房・砲丸・波音/2019.1.9、大幅転記/2018.9.3、追加:一部移転/2018.8.29、カメラ・硝子切/2018.8.29、一部差替/2017.11.21

◎ペアリング1

好対照の俳句を集めてみました

◎大きな輪

春の月大輪にして一重なる  長谷川櫂(かい)
  ※一重=ひとえ

牡丹を大きな水輪かと思ふ  田中裕明
  ※牡丹=(この句では音数調整で)ぼうたん

 

 

◎流動性

落花はや流るる幹となりにけり  石田勝彦
  ※落花=らっか

幹伝ふ雨となりけり百日紅  西村和子
  ※百日紅=さるすべり

 

 

◎深きに咲く

わが鬱の淵の深さに菫咲く  馬場駿吉(しゅんきち)
  鬱=うつ、淵=ふち、菫=すみれ

紫陽花は気圧の谷に咲くといふ  ハードエッジ
  紫陽花=あじさい

 

 

◎大音響

夜空よりどすんと雷や花菖蒲  岸本尚毅(なおき)
  ※花菖蒲=はなしょうぶ

恐竜がずしんずしんと雲の峰  ハードエッジ

冷房のどすんと入る音の又  高澤良一

砲丸のどすんごろんと天高し  金子敦

飛行機のずしんと降りる枯野かな  長谷川櫂(かい)

波音のどんと響きてどんど焼  ハードエッジ

 

◎誕生物語

誤りて人に生れし暑さかな  会津八一(やいち)

じゃんけんで負けて蛍に生まれたの  池田澄子

 

 

◎梱包物語

三味線や寝衣にくるむ五月雨  宝井其角(きかく)
  ※寝衣=ねまき、五月雨=さつきあめ

荒星や毛布にくるむサキソフォン  攝津幸彦(せっつ・)

木枯こがらしや布に包める硝子切がらすきり  長谷川櫂

戦場のカメラ毛布に包まるる  齋藤朝比古

 

 

◎軟弱者

蔑めり激しからざる雷などを  山田みづえ
  ※蔑めリ=さげすめり

やは過ぎて私の毛皮には成れぬ  櫂未知子(かい・)

 

 

◎あやめの水

うすうすとあやめの水に油かな  岸本尚毅(なおき)

返り咲くあやめの水の埃かな  田中王城(おうじょう)
  ※埃=ほこり

 

 

◎まとめの4句です

春の月大輪にして一重なる  長谷川櫂

牡丹を大きな水輪かと思ふ  田中裕明

三味線や寝衣にくるむ五月雨  宝井其角

荒星や毛布にくるむサキソフォン  攝津幸彦

 

以上、お読み頂き、ありがとうございました