全然堂歳時記 春の部
【囀り】さえずり
前回の石鹸玉はなんとなく自信があったけど、
囀りは作ったことなかったし、
そもそも、
さえずり、と読めなかったし、、、
とはいえ、
NHK俳句の兼題(3/10締切)だったので挑戦しました
(昨秋以来、連続落選記録、絶賛更新中)
(投句作品は5月頃、ここへ収録予定)
「55DB」には自作以外の「囀り」が1000句近くあります
前回の「石鹸玉」の倍以上です
すでに俳人のランク付は済んでいますので、
メジャー俳人から読み始めて、
最後は流し読みで、
一応、全部に目を通しました
読みながら4段階に採点
おおよそ、天10、地120、人60、その他800
さらに、
得点句を切口で分類
日、光、風、雨
人、体、命、物、形、数、動き
衣、食、家、場,etc.
以上の前処理が終ったところで、
もう一度、各グループ毎に、熟読すれば、
なんとなく、それらしい自作が詠めるハズ、かも?
◎全然堂歳時記 葉書版

◎自句自解
青空を胸一杯に囀るよ
  青空ならば、
  『青空のある限り』ワイルド・ワンズ/UT
  胸一杯とくれば、
  →『胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love)』レッド・ゼッペリン/UT
  →『胸いっぱいの愛を』/wiki
「青空を」の「を」が工夫なんだけど、どうでしょう
かの鳥のバリカン頭さへづれり
  本人は毛羽立った、尖ったの意味でバリカンを使ってました
  バリカンで刈った頭ではなく、
  バリカン自体ののギザギザの刃をイメージしてました
  (音の絡みで、バルカン砲の射撃イメージもあったか)
  →バルカン砲/GGL
  誤解??
  しかし、
  丸刈りの虎刈りという可能性もあり、
  バリカンというワイルドな音感も捨て難く、
  読者の想像力に期待です
  ちなみに、
  「バリカン」は会社名(フランス)だそうです
  →「バリカン」/wiki
  そこまではネットで、すぐ分りますが、
  私が見た限りでは、
  「バリカン」自体のフランス語の意味にまでは、
  どこも踏み込んでいませんでした
  そんなもんですかねえ
  自力解決、志すも挫折
飛ぶ鳥の鋭き嘴の囀れり
  「と」の頭韻、3連発です
  自作は頭韻、脚韻は特に意識はしていませんが、
  結構、起りやすいように思います
  『日本語における韻律の出現頻度について-
  特に近現代の短詩型における一考察』
  なんて論文、どこかにありそうです
  「鋭き」がいかにも古風です
  当方、初使用
  おっと、
  スルドキ、では使用経験あり
  毛糸編む鋭きものを意のままに
  「鋭き=トキ」の句では、
  これやこの冬三日月の鋭きひかり  久保田万太郎
  初読では、
  下五が、スルドキ光で、7音になるし、
  そういうもんなのかと腑に落ちなかったです
嘴の黄を誇らかに囀るよ
  推敲、
  囀や黄の嘴を誇らかに
  むろん、
  クチバシが黄色い=未熟者、の常套句を踏まえて、
  そして、開き直ってます
  「ホコラカ」の音もいいかな、
  と、思ったものの、
  2018年現在、
  「ホッコリ」と言う言葉がハヤリなので、
  ちょっとカブって、面白くないのですが、
  時代の波が消してくれること(どっちを?)を期待です
  →くちばしの黄色い鳥/GGL
  黄色の嘴がムクドリとするなら、これも田舎者の揶揄であります
  椋鳥と人に呼ばるる寒さかな  小林一茶
息堰を切つて激しく囀れり
  「息急き切って」のシャレです
  「堰を切ったような」激しさで、意味も通じます
囀に胸の閊へはなかるべし
  変換キー押したら、
  つかえ→閊え、が出ました
  門に山では確かに、つっかえます
囀は飛沫の如し浴びてをる
  「をる」などというのは、
  いかにも古臭い言い方で、
  こんなことでは新時代に取り残される、
  とか何とか、、、今は昔
囀や耳うつくしく開かるる
  常套句「目を洗われる思い」を
  耳に転用できないか、、、と。
  何を聞こうともせず、頑なに閉ざされた耳が、、、的に
  天岩戸!
  耳が開くだけでは、いかにも殺風景なので、
  直近で作句に使用した「うつくし」を流用
  美しき耳、ではなく、
  耳美しく、です
  これで読者を煙に巻く所存
  ちょっと、不気味な感じもしますか?
  →三木富雄の耳
  なお、
  もっと大きな耳なら、
  初春の風にひらくよ象の耳  原和子
  この句は初学の頃の、
  始めて買った歳時記に載っていた思い出の句
囀の中に風船あがりけり
  風船の色は?
  →『遠い世界に』五つの赤い風船/UT
囀や永遠の寝釈迦の黄金色
  囀と仏は、かなり定番
  さらに、
  囀と色(特に金色)も常套のようです
  そこを、なんとか、すり抜けようとしたものの、、、さて?
新しき巣箱の屋根に囀るよ
  先行句:
  囀の下に巣箱の穴昏し  坊城俊樹
美しやこの囀も鳥籠も
  →『籠の鳥』加藤登紀子/UT
  →『青い鳥』タイガース/UT
  今回の難産句
  「籠に囲はれ」まで作ってしまった(魔が差した)が、
  最終的には、お涙回避、したつもり
  しかし、結局は美文調
囀の色とりどりの故郷かな
  ネガティブでない故郷、
  カラフル カントリー!
 
古寺の朽ち行くままに囀れり
  滅びの美学、と申しましょうか
囀の何処かへ行つて仕舞ひけり
  シメに相応しく
◎推敲過程 葉書版/pdf
pdf_20180315
◎推敲過程 DB出力/pdf
saezuri
以上です