俳人の名前。季語がそのまま俳号の俳人は?

俳句では季語という季節の言葉を使います

では、

季語がそのまま俳号(筆名)っていう俳人はいないかな、、、

と思い付くままに書いてみました

 

八田木枯=はったこがらし(1925年 – 2012年)

なお、このお名前、私としては初見時、違和感!!

つまり、

もっともらしく音読みで、

木枯=もっこさん?、ここさん?とでも読むのかと思ったら、

まんまの訓読みで木枯=こがらしさん!!  ←予想、大外れ

それに、

木々を枯らす強い冬の季語なのに、

こ・が・ら・し、と耳にすると、

なんだか、おおがらしの子供のようなイメージで、

どうもピンと来ないのでした  ←個人的見解です

 

なお、余談ながら、私は、

枯木というのは枯草同様に、

枯れ果て、朽ち果て、立ち枯れの木だと思ってました

が、実は、ご存知のように、冬場に落葉し、

春には再び葉っぱが芽吹く、一時的な枯れ状態の木、だったんですね

 

で、え~と、こがらしさんですが、

 

母に抱かれてわれまつさきに囀れり  八田木枯  ←囀れり=さえずれり

鳥は鳥にまぎれて永き日なりけり  八田木枯

こんな独特な俳句の方です

ムチャクチャすごいです

参考:増殖する俳句歳時記、八田木枯

ここで、恐れ多くも、対抗句です

鏡台に母の仕舞ひし桜貝  ハードエッジ

春昼やビルに凭るるビルの影  ハードエッジ

 

 

さて、他にも季語の俳号ないかと考えたけど、思いつかず、、、

 

おっと、

専業俳人じゃないけど、尾崎紅葉さん、いました  ←小説『金色夜叉』(未完)

尾崎紅葉=おざきこうよう(1868年(慶応3年) – 1903年(明治36年))

 

吾妹子も古びにけりな茄子汁  尾崎紅葉  ←吾妹子=わぎもこ=sweet heart

茄子汁=なすじる、とも読みますが、これでは落ち着きません、でしょ?

故に、ここでは、なすびじる、と5音で着地しますね

 

ところで、

汁の付く季語は20以上もあるんですよ

代表的なのは、

浅蜊汁=あさりじる、春季

蜆汁=しじみじる、春季

茗荷汁=みょうがじる、夏季

とろろ汁、秋季

蕪汁=かぶらじる、冬季

葱汁=ねぎじる・ねぶかじる、冬季

納豆汁=なっとじる、なっとうじる、冬季

闇汁=やみじる  ←闇鍋、冬季、、、等々

 

先の紅葉さんの句、冬の葱汁でも行けるかと思うんですが、、

古女房に冬、では付き過ぎというか、アンマリか?

いやいや、

作者に晩年はなかったので、  ←享年35!!

吾妹子もまだ30前後でしょうし、「古びに」は修辞、実感は夏かと、、、

それに、

茄子ならば味噌汁、漬物、焼茄子と、  ←今なら、中華、パスタも

応用範囲が広くて、いかにも世話女房的か?!  \(^o^)/

 

ところで、

世話女房といえば、この句、

胡瓜もみ世話女房といふ言葉  高濱虚子  ←胡瓜=きゅうり

まったく、いけしゃあしゃあ、ではあります

 

そうそう、

うつりにけりな、と言えば百人一首

花の色はうつりにけりないたづらに
わが身世にふるながめせしまに  小野小町

 

さて、あちこち脱線ばかりですが、

紅葉さんには楽しい句も多いので、さらにご紹介します

春夏秋冬順に、、、

 

佐保姫も襷かけゝん草の餅  尾崎紅葉  ←襷=たすき

蚊の宵と思へば蚤の夜明かな  尾崎紅葉  ←蚤=のみ

鳴き交ふや買うて来た虫庭の虫  尾崎紅葉  交ふ=かう

千客去りて蜜柑の皮の狼藉たり  尾崎紅葉  ←狼藉=ろうぜき

数の子に命久しき歯音かな  尾崎紅葉

 

それに、個人的にはこんな句も好きです

二十世紀なり列國に御慶申す也  尾崎紅葉  ←御慶=ぎょけい=アケオメ

新興、大日本帝國の心意気ですね

参考:増殖する俳句歳時記、尾崎紅葉

参考:Wiki、大日本帝國  ←帝國の名称トリビアも興味深いです

ちなみに、

日清戦争(1894年(明治27年)から 1895年(明治28年))

日露戦争(1904年(明治37年)から 1905年(明治38年))

 

 

最後に、紅葉さんへの対抗句、行きます

草餅の余りしものを草団子  ハードエッジ

火を止めた後にがさりと浅蜊汁  ハードエッジ

空を行く血の一滴の蚊なりけり  ハードエッジ

暗闇に緑の虫の鳴けりけり  ハードエッジ

湯上りの蜜柑忘るな柚子買うて  ハードエッジ  ←蜜柑=みかん、柚子=ゆず

 

で、最後の最後になって、大チョンボ発覚!!

季語が俳号の俳人って、

大御所、正岡子規=まさおかしき(1867(慶応3年) – 1902年(明治35年))、

その人ではありませんか!!

子規=ホトトギス、とも読む夏の季語です

しかし、もう、

子規について書く気力ないので、一句捧げて終りにします

楽しくてたまらんといふ子規の忌ぞ  ハードエッジ

(子規忌は9月19日)

以上、朝から6時間ほどかかりました

/2017.4.28

 

追記:虚子御大の汁物俳句

すき嫌ひなくて豆飯豆腐汁  高濱虚子

煮ゆるとき蕪汁とぞ匂ひける  高濱虚子

闇汁の杓子を逃げしものや何  高濱虚子

 

追記2:何でもござれの句をもう一つ

酒もすき餅もすきなり今朝の春  高濱虚子

 

さらに、二日後の大発見

松尾芭蕉=まつおばしょう(寛永21年(1644年) – 元禄7年(1694年))

芭蕉は秋の季語でした。面目ない m(_ _)m

気合い入れて、わがデータベースで検索かけました

俳人登録数:3900人、季語登録数:5700語

季語=俳号で全14件、ヒットしました

追々、ご紹介したいと思います

なるべく、読み込んでから抽出のつもりですが、

芭蕉と子規は句数多過ぎなので、さてどうしましょう?

芭蕉さんは1900句、子規さんは一桁多い19000句

/2017.5.1