全然堂歳時記 春の部
【桜2】さくら
「桜かな」特集
枝垂れ桜、夜桜、落花を含む
全然堂歳時記=本号を含め53記事=春夏秋冬=17-9-14-10—2-1/年末年始
◎葉書俳句
◎テキスト
超然と歳月に立つ桜かな ハードエッジ
歳月:
歳月を花守とこそ言ふべけれ 岩城久治
砂となるまでの歳月さくら貝 笹下蟷螂子
さくらしべ降る歳月の上にかな 草間時彦
歳月も梅酒の甕も古りしかな 安住敦
歳月は鉾の車輪を軋ませて ハードエッジ
歳月の千手なりけり秋の風 永田耕衣
贋作に歳月の艶枇杷の花 中戸川朝人
絶海の漂流壜の歳月よ 三橋敏雄
ダム底に花を忘れし桜かな ハードエッジ
忘れし:
くもることわすれし空のひばりかな 久保田万太郎
故山我を芹つむ我を忘れしや 橋閒石
鳥渡る北を忘れし古磁石 鍵和田秞子
寒柝が忘れしころに戻り来る 山口波津女
忘れし字妻に教はり冬籠 富安風生
武運長久忘れし神社七五三 辰巳比呂史
枇杷の花忘れしものに母のこゑ 鈴木鷹夫
つまづきし如く忘れし手毬歌 橋本多佳子
野の涯に名前忘れし美容院 筑紫磐井
忘れし/自作:
夜店にて時を忘れしシンデレラ ハードエッジ
東京に稲を忘れし雀かな ハードエッジ
贄いくつ忘れし鵙の高音かな ハードエッジ
下駄箱の奥に忘れし猫じやらし ハードエッジ
雪女熱き血潮を忘れしや ハードエッジ
恋の歌いくつ忘れし歌留多かな ハードエッジ
鉄橋を塗り替へてゐる桜かな ハードエッジ
遠山の白雪みゆる桜かな ハードエッジ
白雪:
白雪の変といふべき雪崩かな ハードエッジ
白雪の解けて流るる桜かな ハードエッジ
夏氷掻くや白雪にはかなる 日野草城
女生徒に白雪姫の雪が降る 楠節子
白雪の筆捨山に墨つけん 正岡子規
白雪の下に灯ともす木曾路かな 正岡子規
白雪を蹴散らしてゐる寒鴉 ハードエッジ
白雪を乗せて紅白紅椿 ハードエッジ
村々の小学校の桜かな ハードエッジ
村々:
湖を囲む村々の灯や舟遊び 島田青峰
村々のその寺々の秋の暮 鷹羽狩行
町が村村が枯野でありしころ ハードエッジ
鶏鳴や神の旅する村々に ハードエッジ
今はもう住めば都の桜かな ハードエッジ
住めば都:
半生の住めば都の桜かな ハードエッジ
住めば都花の名所とあらねども 石塚友二
たんだすめ住めば都ぞ今日の月 松尾芭蕉
時雨るるや住めば都の街並に 岩田由美
梟や住めば都と譬ふれど 石昌子
その中に一本若き桜かな ハードエッジ
アスファルト乾き初めたる桜かな ハードエッジ
アスファルト:
摘草のこんな道までアスファルト ハードエッジ
アスファルト花びら吹かれ易きかな ハードエッジ
アスファルト驟雨に冷えて灯をうつす 川島彷徨子
アスファルトもコンクリートも日の盛り ハードエッジ
アスファルトかがやき鯖の旬が来る 岸本尚毅
長き枝の長きを枝垂れ桜かな ハードエッジ
長き枝:
長き枝のすぐに盛りや桃の花 藺草慶子
花まばらなる山吹の長き枝 長谷川櫂
雪折の連翹すいと長き枝 高野素十
咲き満ちて神を恐れぬ桜かな ハードエッジ
恐れぬ:
夜店いま神を恐れぬ明るさに ハードエッジ
人間を怖れぬ蟻の黒づくめ 右城暮石
掛稲に人を怖れぬ虫ばかり 岸本尚毅
末枯に人を恐れぬ狐かな 正岡子規
尿して子らが逃げゆく桜かな ハードエッジ
対岸の二階の灯る桜かな ハードエッジ
昼は鳥夜は猫鳴く桜かな ハードエッジ
ぼつてりと夜を孕みし桜かな ハードエッジ
また一つ篝の消ゆる桜かな ハードエッジ
また一つ:
芯折るる音またひとつ大試験 堀切克洋
鉢もののまた一つ枯れ初氷 宇佐美魚目
また一つ誤植みつけぬみかん剥く 久保田万太郎
また一つ風の中より除夜の鐘 岸本尚毅
また一つ/自作:
また一つ消えて最後の花篝 ハードエッジ
一つ落ち又一つ落ち椿かな ハードエッジ
また一つ死出の火花を誘蛾燈 ハードエッジ
またひとつ蝶来て蜘蛛を太らする ハードエッジ
また一つ離陸の灯あり大晦日 ハードエッジ
この先は闇へと続く桜かな ハードエッジ
いつせいに散つて水面の桜かな ハードエッジ
花びらが花びらを追ふ桜かな ハードエッジ
女房も一つ年取る桜かな ハードエッジ
破裂して風船消ゆる桜かな ハードエッジ
◎推敲過程/テキスト/pdf
全然堂歳時記 春 【桜2】テキスト推敲
◎推敲過程/A4+手書き/pdf
全然堂歳時記 春 【桜2】A4推敲◎推敲過程/葉書+手書き/pdf
一部行方不明を操作中、、、
以上です