全然堂歳時記 類題
【腹】はら
腸・胸を含む
◎葉書俳句
◎テキスト
腹
空腹も忘るるやうな朝寝坊 ハードエッジ
イマイチ作
なかなか決定打が出ないままに推敲30句 →see pdf
自分のサイトなので、締切は自由なのに、
意味もなく、ワンツースリーの12月3日リリースに拘っての見切り発車
しかし、
後出しジャンケンで簡単に修正できるところがネットの利点
その利点を活かすなら、
ホントに納得できる最終稿を待つのでなく、
適当な締切で中間稿を発表し、 ←この人目に晒すこと大事!
一服した精神状態でデバッグするのも一法ではないか?
改案:
空腹を宥めつつ朝寝坊かな ハードエッジ
句跨り
わがデータベースに朝寝の句は380句ほど
その内、朝寝坊は3句のみ
意外に少ない気がする
我に許せ元日なれば朝寝坊 夏目漱石
宥めつ俳句:
なだめつつ甕よりはづす薄氷 鷹羽狩行
死にゆくを宥めつ運ぶ蟻の列 ハードエッジ
腹黒き鶯餅や鳴きもせず ハードエッジ
鳴きもせず自作:
鬼の子の内に籠つて鳴きもせず ハードエッジ
※鬼の子=蓑虫
かりそめの蜜にふくるる蜂の腹 ハードエッジ
膨るる自作:
豆腐屋に大豆ふくるる春の月 ハードエッジ
釘の頭は錆びて膨るる板は黴び ハードエッジ
座布団を腹に乗せたる昼寝かな ハードエッジ
座布団自作:
座布団に坐してこれより月の舟 ハードエッジ
座布団をおざぶというて時雨かな ハードエッジ
わが去りて座布団残る日向ぼこ ハードエッジ
腹巻の腹話術師もありぬべし ハードエッジ
腹巻(腹当)秀句:
腹当や男のやうな女の子 景山筍吉
腹当や赤く大きな紋所 高濱虚子
夏痩の素麺腹となりにけり ハードエッジ
正月には、
餅腹の重きを据ゑて墨をする 杉本零
快晴の餅腹で行く日本橋 鈴木鷹夫
蛾の腹に鱗粉詰まりゐはせぬか ハードエッジ
ゐはせぬか有名句:
ひるがほに電流かよひゐはせぬか 三橋鷹女
蝉の腹八分目ほど蝕まれ ハードエッジ
静かさや蛙を融かす蛇の腹 ハードエッジ
その直前は、
呑まれゆく蛙や脚を真つ直ぐに 南うみを
切腹の菊人形に水をやる ハードエッジ
春夏の切腹/ハラキリ:
稽古する腹切の場や春の雨 正岡子規
なかんづく切腹の間の涼しさよ 鷹羽狩行
夏芝居腹切つてより長台詞 安里道子
ながながと切腹の場や夏芝居 大木あまり
ふつくらと腹を刺されし鵙の贄 ハードエッジ
意味がちょっと捻れているが強行
刺され俳句:
花菖蒲赤子たちまち蚊に刺され 岸本尚毅
見晴らしの良きに刺されて鵙の贄 ハードエッジ
編棒を刺されて休む毛糸玉 ハードエッジ
刺されたる枝に蕾や雪達磨 ハードエッジ
柔かな秋刀魚の腹へ箸の先 ハードエッジ
蟷螂の腹べんべんと枯れゆくも ハードエッジ
べんべんの名句:
敗戦忌腹べんべんと存へし 中戸川朝人
※蟷螂=かまきり
はららごや熊の親子が食み零す ハードエッジ
鮭主体で、
手負鮭火の粉のごとく腹子撒く 八牧美喜子
食べ零す名句:
栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ 石川桂郎
腸
青虫の腸青き機嫌かな ハードエッジ
腸の四季:
腸に春滴るや粥の味 夏目漱石
腸のようもくさらぬ暑さ哉 尾崎紅葉
猪の腸落葉まみれに俯分けせり 小川軽舟
腸の煮えくり返る鮟鱇鍋 市堀玉宗
乾鮭に腸のなき叫びかな ハードエッジ
欠落の叫び:
顔の無き踏絵の叫びありにけり 稲畑廣太郎
蟷螂の聲無き叫び聞くべかり 相生垣瓜人
なき+かな の四季:
歪まざるものなき雛の鏡かな 山西雅子
眠るよりほかに手のなき暑さかな 久保田万太郎
菊人形たましひのなき匂かな 渡辺水巴
やすやすと立ちて根のなき聖樹かな 菖蒲あや
たてかけてあたりものなき破魔矢かな 高濱虚子
胸
理容師の胸に鋏や春の雪 ハードエッジ
胸の四季:
初ひばり胸の奥処といふ言葉 細見綾子
汝が胸の谷間の汗や巴里祭 楠本憲吉
菊人形胸辺枯るるは鬼婆よ 鍵和田[ゆう]子
流すべき流燈われの胸照らす 寺山修司
胸中の凩咳となりにけり 芥川龍之介
寒泳のみな胸抱いて上がりくる 斉田仁
青空を胸一杯に囀るよ ハードエッジ
空+胸の俳句:
空港のクルーの胸の赤い羽根 中本真人
囀に胸の閊へはなかるべし ハードエッジ
なかるべしの四季:
水温むとも動くものなかるべし 加藤楸邨
短命の蛍に老はなかるべし 安住敦
蟷螂の斧の代りはなかるべし 高橋悦男
鮟鱇に嚔と云ふはなかるべし ハードエッジ
寒雀小さな胸をふくらませ ハードエッジ
胸のふくらみ:
春草や光りふくるる鳩の胸 松本たかし
重ね着に胸ふくれたる乳母の香よ 久米三汀
胸ふくるる思ひ毛糸玉大きくて 内藤吐天
◎推敲過程/pdf
全然堂歳時記 類題 【腹】◎オマケ:連想ポップス4曲
◎イントロで書いた123絡みで、
「1-2-3」レン・バリー 1965
◎青空と言えば、
「青空のある限り」ザ・ワイルド・ワンズ 1967
◎胸一杯なら、
「胸いっぱいの愛を Whole Lotta Love」レッド・ツェッペリン 1969
◎胸に秘めた思いは、
「この胸のときめきを/You Don’t Have To Say You Love Me」ダスティ・スプリングフィールド 1966
以上です