NHK俳句2021 落選作抄 表面はかりりと焼けて春を待つ

NHK俳句2021 落選作抄 20句

落選作

◎葉書俳句

NHK俳句2021 落選作

 

 

◎テキスト

坂道を春一番はるいちばんの子がける ハードエッジ

坂道/自作:
坂道をかなでて楽し春の水 ハードエッジ

乗り上げし如き坂道炎天下えんてんか ハードエッジ

坂道の上り下りや十二月 ハードエッジ

坂道の細道ばかり蜜柑山みかんやま ハードエッジ

坂道は下りが楽し年の暮 ハードエッジ

坂道に続く石段初詣はつもうで ハードエッジ

 

使ふのがしき鉛筆入学す ハードエッジ

惜しき:
春雨や枯らすに惜しきいのちの根 久保田万太郎

ひな飾りつつふと命惜しきかな 星野立子

捨つるには惜しきつやなり枇杷びわの種 片山由美子

つぶすには惜しき柚子ゆずとは思へども ハードエッジ

 

菜の花を咲かせて春の蜜柑山みかんやま ハードエッジ

蜜柑山:
蜜柑山より指呼しこにして蜜柑山 清崎敏郎きよさき としお

蜜柑山黄の微粒子びりゅうしが蜜柑なる 山口誓子   せいし

どの山の影ともならず蜜柑山 辻田克巳つじた かつみ

濃かりける日蔭日向や蜜柑山 松本たかし

死後も日向たのしむ墓か蜜柑山 篠田悌二郎しのだ ていじろう

初富士や蜜柑ちりばめ蜜柑山 石田波郷    はきょう

蜜柑山/自作:
朝も早よから春風の蜜柑山 ハードエッジ

金山きんざんまさ黄金こがねの蜜柑山 ハードエッジ

旅行けば駿河するがの国に蜜柑山 ハードエッジ

坂道の細道ばかり蜜柑山 ハードエッジ

おむすびもみかんもころげ蜜柑山 ハードエッジ

照らし合ふ南の海と蜜柑山 ハードエッジ

蜜柑山蜜柑の船を見送りぬ ハードエッジ

 

開かれてあじ干物ひものに花は葉に ハードエッジ

鯵:
ほして売る鯵にかれいに春の風 岡本綺堂   きどう

夕鯵を妻が値切りてうりの花 高濱虚子たかはま きょし

鯵/自作:
蒲公英たんぽぽや鯵が干されてその日陰 ハードエッジ

叩きても開きても良し鯵のしゅん ハードエッジ

売られをる鯵の中なるいわしかな ハードエッジ

鯵の香や日がな天日てんぴに開かれて ハードエッジ

ま二つに鯵のひらきや秋の風 ハードエッジ

 

たつぷりと毒を盛られし罌粟けしの花 ハードエッジ

罌粟:
やはらかになりたる罌粟のつぼみかな 田中裕明    ひろあき

己れ毒と知らで咲きけり罌粟の花 高濱虚子たかはま きょし

印度いんどには罌粟の花咲き牛は神 京極杞陽きょうごく きよう

罌粟ひらく髪の先までさびしきとき 橋本多佳子  たかこ

罌粟咲くやためらひもなく美しき ハードエッジ

禁断きんだんの罌粟ぞ二重のさくの中 ハードエッジ

坊さまになりたてぞこの罌粟の花 佐々木六戈ささき ろっか

罌粟の毒かわきて黒くなりにけり 五十嵐播水いがらし ばんすい

 

 

たたきたるところはえのくつつきぬ ハードエッジ

叩きたる:
初秋のひざ叩きたるはなしかな 正岡子規

とんぼうの尾が叩きたる水輪みずわかな 行方克巳

叩きたる氷の固さ子等楽し 中村汀女    ていじょ

 

 

大きくすぶつてゐるあわれかな ハードエッジ

改案:
大き火蛾ひがまだ燻つてゐたりけり ハードエッジ

 

お化けには見えぬはずなる蚊帳かやの中 ハードエッジ

改案:
蚊帳の中なればお化けもかみなりも ハードエッジ

蚊帳:
母と読むおばけ絵本や蚊帳のなか ハードエッジ

冷房のおばけやしきに入りけり 千野千佳ちのちか

長き夜をお化けと遊ぶ物語 ハードエッジ

菊花展きっかてんお化けのやうな菊がある ハードエッジ

お化け南瓜かぼちゃと父の並んでいる写真 斉田仁さいだ じん

 

きざみたるもの新涼しんりょうを放つ ハードエッジ

涼+香:
涼しさや紅一点こういってん蚊遣香かやりこう ハードエッジ

涼しさやかすかにかをるこうの灰 長谷川櫂はせがわ かい

人魂ひとだまも涼みにきたれ蚊遣香 ハードエッジ

夕涼み線香花火せんこはなびの匂ひかな 正岡子規  しき

新涼しんりょうやたしなまねども洋酒の香 中村汀女    ていじょ

涼新りょうあらた白いごはんの湯気ゆげの香も 飯田龍太    りゅうた

 

きちきちと飛びはたはたと遠ざかる ハードエッジ

きちきち/はたはた:
きちきちといはねばとべぬあはれなり 富安風生とみやす ふうせい

はたはたにされどほしに歩きけり 朝倉和江

はたはたのペン先ほどの子を負うて 小林波留  はる

はたはたのんで最初の位置忘る 池田秀水

はたはたのむくろの頃となりにけり 京極杞陽きょうごく きよう

 

人住まぬ星はさびしや天の川 ハードエッジ

住まぬ:
名月めいげつや夜は人住まぬみねの茶屋 与謝蕪村よさ ぶそん

建ちてまだ住まぬ一棟いっとう稲の秋 日野草城    そうじょう

人住まぬ別莊寒し樫木原 正岡子規  しき

人住まぬ屋敷やしきの池の氷かな 正岡子規

 

実石榴みざくろけ目は金でぐべかり ハードエッジ

裂け目:
薄氷うすらいの裂け目に水や形見分かたみわけ 広渡敬雄ひろわたり たかお

裂け目よりはすの葉へ水ひろがりぬ 中田剛なかた ごう

 

女房にょうぼう亭主ていしゅりぬ今年酒ことしざけ ハードエッジ

女房:
酒買ひに女房出て行く朧月おぼろづき 寺田寅彦    とらひこ

女房も一つ年取る桜かな ハードエッジ

胡瓜きゅうりもみ世話女房せわにょうぼうといふ言葉 高濱虚子たかはま きょし

女房に何を語らん星こよひ 正岡子規  しき

受け出せし女房の焼く秋刀魚さんまかな ハードエッジ

色さめし古女房や帰り花 蝶夢ちょうむ

女房も同じ氏子うじこ除夜詣じょやもうで 中村吉右衛門   きちえもん

畳屋たたみやの青女房を裏返す 仁平勝にひら まさる

 

病院も駅も夜長よながの灯をともし ハードエッジ

夜長の灯:
太陽系第三惑星わくせい夜長の灯 ハードエッジ

わが夜長妻の夜長の灯一つ 上村占魚    せんぎょ

子規しきりつつくろひ夜長の灯 竹本桂子

夜長の灯家にのものなくなりて 松村蒼石    そうせき

ダビデの死まで読みて消す夜長の灯 宮脇白夜みやわき はくや

夜長の灯人の一生読みおわる 高木石子   せきし

 

 

木枯こがらしに赤き灯まはる検問所けんもんじょ ハードエッジ

赤き灯:
夜霧よぎりこめて赤き灯見ゆるくるわかな 正岡子規  しき

よいの灯に赤き灯もあり鳥総松とぶさまつ 中村草田男   くさたお

 

メデューサも老いて悲しや葉髪はがみ ハードエッジ

メデューサ/メドーサ:
メドーサのへび髪もやもや風光る 加藤知世子  ちよこ

メドゥーサの首にからみて秋の蛇 文挾夫佐恵ふばさみ ふさえ

 

寒さうに枯木の中の緑の木 ハードエッジ

緑の木:
木枯こがらしや壁に描かれし緑の木 ハードエッジ

 

温泉の宿の番頭さんが落葉く ハードエッジ

番頭:
番頭に家業がすや花衣はなごろも ハードエッジ

つばめの糞掃きて湯宿の番頭さん 高澤良一

番頭の衣更ころもかへたる出店かな 正岡子規

 

 

山眠る手紙の束は黄ばみつつ ハードエッジ

黄ばみ:
ほつかりと黄ばみでたりやなぎの芽 加藤暁台    きょうたい

黄ばみゐし祭提灯まつりちょうちん伸ばしけり 藺草慶子いぐさ けいこ

婆々ばばらの黄ばみてたる秋日かな 中川宋淵    そうえん

柚子ゆず黄ばみ障子しょうじる日となりにけり 田中冬二   ふゆじ

松杉の中に黄ばみし銀杏いちょうかな 正岡子規  しき

墓地の大銀杏黄ばみて村照らす 右城暮石うしろ ぼせき

 

表面はかりりと焼けて春を待つ ハードエッジ

焼けて:
野は焼けて妻とこもらん蔭もなし 内藤鳴雪    めいせつ

干鰈ほしがれいはららご共に焼けてけり 石塚友二いしづか ともじ

黒に琥珀こはくに焼けて秋刀魚さんまかな ハードエッジ

オムレツが上手に焼けて落葉かな 草間時彦

 

 

◎推敲過程 データ

期間は2020.12~2021.11、のハズ
不完全データです
[公募]項目に、「N俳2021-**」の入力漏れがあり、
一部の句が行方不明の模様
面倒なので、補正する予定はありません
投句締切後の推敲分も含みます
途中で兼題から外れた季語もあり、分類が曖昧です

NHK俳句2021

 

 

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以上です