開発素句報 2021-04「種硬し」
◎葉書俳句
◎テキスト
第十八回オリンピアード秋の晴 ハードエッジ
腸詰が秋の河原に弾け飛ぶ ハードエッジ
野菜なら、
バーベキューピーマン破裂させてこそ 小林貴子
曇るだけ曇りし秋の夕焼かな ハードエッジ
リピートの「だけ」:
伸びるだけのび啓蟄の象の鼻 岩淵喜代子
乗れるだけ乗せて流しぬ古雛 相生葉留実
落るだけ落て淋しき椿哉 正岡子規
月の雨ふるだけふると降りにけり 久保田万太郎
長雨のふるだけ降るや赤のまま 中村汀女
北風の吹くだけ吹きし星の冴え 渋沢渋亭
飲めるだけのめたるころのおでんかな 久保田万太郎
神々も寂しがりしや秋の暮 ハードエッジ
「寂しかりしや」「さみしかりしや」も考えたが、
「カミガミ」と「さびしがり」のガ音、そしてビ音が捨てがたかった
「寂しがりしや」の中に潜む、「寂しがり屋」
一応、日本なので、推敲:
神もまた→神々も
さびしが:
おとうとのさびしがりたる雛納め 佐藤美恵子
桜並木一番端がさびしがる 小泉八重子
樹上より垂らして素足さびしがる 能村登四郎
憂き我をさびしがらせよ閑古鳥 松尾芭蕉
灯ともして秋の夕を淋しがる 正岡子規
鉄塔は鉄の頃からさびしがり なかはられいこ
此道をさびしがらせて料理人 攝津幸彦
足裏がさびしがるから男下駄 福本弘明
もやもやと腸のある南瓜かな ハードエッジ
もやもや:
あめつちや春をもやもや掻き玉子 池田澄子
春の鯉もやもや影を重ねゐつ 大串章
うすら氷の解けてもやもやしてゐたる ハードエッジ
蛤のもやもやと出す明日かな 上田信治
古株の底やもやもや薄の芽 正岡子規
もやもやと老人のゐる夏祓 小原啄葉
もやもやと鶏頭が磨硝子ごし 生駒大祐
顔だけの食はれ残りの秋刀魚なり ハードエッジ
食はれ残り:
春雨や喰はれ残りの鴨が鳴く 小林一茶
食はれ残りの泥鰌が我に髯を振る 加藤楸邨
鈴虫の食はれ残りが髭振れる 加藤楸邨
行く秋の実を柔かに種硬し ハードエッジ
類句:
頑なに棘ある花の種を蒔く ハードエッジ
小さくて硬くて黒し花の種 ハードエッジ
草の花やがて草の実草の種 ハードエッジ
◎推敲過程/テキスト
捨句を含む
開発素句報 2021-04
◎推敲過程/手書き
全15枚
開発素句報 2021-04 手書き
◎葉書俳句表側
以上です