冬 【おでん1】 おでん酒おでんの人に寄り添ひぬ

全然堂歳時記 冬の部

【おでん】

申し訳ありませんが、推敲過程の pdf が表示されません
一時、キャッシュ系のプラグインを入れたのが原因かと思うのですが、
それらを取り除いても不具合は解消されず、
pdf を一旦削除して、登録し直しても、やはり表示されません
こうなると、当方のスキルでは対応できず、
改めて、白紙から作り直せばいいのですが、
時系列が更新されるのも抵抗があったり、です

クラシック・エディタからブロック・エディタに切り替えてみました
相変わらず画面上では表示されませんが、
何故か、別画面表示やダウンロードは可能になったようです/2023.12.14

 

◎葉書俳句

全然堂歳時記 冬 【おでん】

 

 

 

◎テキスト

おでん屋の屋根が階下に見ゆるかな ハードエッジ

参考句:
三階の客が見おろすおでんなべ 山口青邨    せいそん

 

おでん屋の小さな屋根も積りむ ハードエッジ

自作の屋根の四季:
あたたかや屋根にまたが物干場ものほしば ハードエッジ

新しき巣箱すばこの屋根にさえずるよ ハードエッジ

恋猫こいねこや魚雷のごとく屋根をゆ ハードエッジ

大寺の屋根美しや花吹雪はなふぶき ハードエッジ

大いなる門に屋根あり大夕立おおゆだち ハードエッジ
  ※個人的には「だいゆだち」と読みたい

タクシーの屋根にとどろく大夕立 ハードエッジ

屋根の上の暑さを知らず蟻地獄ありじごく ハードエッジ

台風やまだ吹き飛ばぬ屋根瓦やねがわら ハードエッジ

アンテナは屋根にさびしや月今宵つきこよい ハードエッジ

美しや吉良きら本所ほんじょの屋根の雪 ハードエッジ

屋根よりも分厚き雪が屋根の上 ハードエッジ

この屋根の反対側も氷柱つららかな ハードエッジ

落されて瓦礫がれきとなりぬ屋根の雪 ハードエッジ

板チョコの屋根に雪積ゆきつむクリスマス ハードエッジ

 

おでん屋の種を豊かに港町 ハードエッジ

豊かに:
春の水ゆたかに城を守りをる ハードエッジ

土不蹈つちふまずゆたかに涅槃ねはんたまへり 川端茅舎かわばた ぼうしゃ

城下じょうかはゆたかに舞ひぬつばくらめ 佐藤春夫

シャワーゆたかに私の暗黒大陸 櫂未知子かい     

総身そうしんの豊かに吹かれ毛虫かな ハードエッジ

ぼうたんと豊かに申す牡丹ぼたんかな 炭太祇たん たいぎ

山水のゆたかにそそぐ雪の池 飯田蛇笏   だこつ

聖菓切るゆたかに底に刃が遠し 橋本美代子

正月の草を豊かに牛の夢 ハードエッジ

人日じんじつや湯気をゆたかに仏の 木内彰志きうち しょうし

夢の世の湯気を豊かに初湯殿はつゆどの ハードエッジ

 

おでん屋の前を通りぬ通夜つや帰り ハードエッジ

通夜の四季:
通夜暖か母よみんなが来てゐます 荒井正隆

春寒やしみじみうまき通夜の酒 齋藤朝比古

通夜までのすこしいとま昼蛙ひるかわず 松本たかし

はなやぎは通夜の家のみ藪椿やぶつばき 鷹羽狩行たかは しゅぎょう

涼しいねと通夜の遺影いえいのおん眼もと 殿村菟絲子とのむら としこ

短夜みじかよや隣の通夜のあずかり子 野村喜舟   きしゅう

貧しき通夜アイスキャンデーめて 西東三鬼さいとう さんき

稲架はざ乾く匂ひが通夜の席にまで 本宮哲郎もとみや てつろう

通夜のなしさくさくんで人少な 上村占魚うえむら せんぎょ

通夜寒し居眠りて泣き覚めて食う 西東三鬼

最も泣きぬしも降る通夜のついの客 鈴木鷹夫   たかお

冬の暮戻りて知りし通夜に行く 大野林火   りんか

 

おでん屋を守るがごとく背が並ぶ ハードエッジ

自作の並ぶ:
行く春や数字の並ぶ時刻表じこくひょう ハードエッジ

原色の指輪の並ぶ夜店かな ハードエッジ

見覚えの灰皿並ぶ祭礼所さいれいじょ ハードエッジ

月の出やずらりと並ぶ軒氷柱のきつらら ハードエッジ

 

 

おでん屋のビニール囲ひごはごはと ハードエッジ

ごはごは:
神官のごはごはくぐるの輪かな 蓬田紀枝子よもぎた きえこ

 

おでん屋の背後を通る灯の電車 ハードエッジ

背後:
花火尽き背後に戻る背後霊はいごれい 加藤静夫

飛び立ちし虫の背後や蜻蛉とんぼ来る ハードエッジ

 

おでん屋の裏へ廻りし刑事デカ二人 ハードエッジ

刑事:
白靴しろぐつをはいて刑事けいじと思はれず 松岡ひでたか

刑事飛び出しぬコートを手掴てづかみに 松岡ひでたか

 

日めくりもさびしくなりぬおでん酒 ハードエッジ

日めくり:
日めくりの明日がけて鰯雲いわしぐも 瀬間陽子せま ようこ

大いなる日めくり紙漉女かみすきめの上に 辻桃子

日めくりの昨日枯葉のごとくつ 神長裕子かみなが ひろこ

日めくりの厚きがうれしお元日 安部元気

 

雪を来し人の饒舌じょうぜつおでん酒 ハードエッジ

饒舌:
駅弁に友の饒舌春の旅 ハードエッジ

先生の饒舌蛙解剖中 松野苑子

前髪に積りて雪の饒舌な 櫂未知子

寄鍋よせなべや子の饒舌を幸として 岡田貞峰    ていほう

聖夜せいや饒舌やみをこわがる子のように 対馬康子つしま やすこ

 

 

おでん酒おでんの人にひぬ ハードエッジ

寄り添ふ:
涼み舟らしく寄りそふ灯二つ 森田峠

秋の灯の部屋寄り添つて一つ家 小川軽舟    けいしゅう

寄り添ふ自作:
猫の子の海鼠なまこごとく寄り添うて ハードエッジ

花水木はなみずき咲くや若葉も寄り添うて ハードエッジ

ゆふがほのつぼみしぼみによりそへる ハードエッジ

寄り添つて二本冷たき氷柱つららかな ハードエッジ

毛糸編む人に寄り添ふ睡魔すいまかな ハードエッジ

白鳥のボート寄り添ふ冬籠ふゆごもり ハードエッジ

寄り添うて共にけ行く雪達磨ゆきだるま ハードエッジ

 

もれいづる光と声とおでんの香 ハードエッジ

和歌:
秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ 左京大夫顕輔さきょうのだいぶ あきすけ/新古今集しんこきんしゅう

 

おでん屋のテレビに「地球最後の日」 ハードエッジ

最後:
いまは最後の恐竜きょうりゅうとして永き春 高柳重信たかやなぎ じゅうしん

沈みゆく最後は髪や流雛ながしびな 松野苑子

草笛くさぶえの最後は川へ流しけり 神野紗希こうの さき

最後/自作:
また一つ消えて最後の花篝はなかがり ハードエッジ

おとろへし夏に最後の水を打つ ハードエッジ

月へ帰る最後の客の髪洗ふ ハードエッジ

朝顔のつぼみに最後の夜来る ハードエッジ

牡蠣かき割るや今年最後のもちの夜 ハードエッジ

最後まで木をる枯葉雨にれ ハードエッジ

 

自らの出汁だしも効かせておでんの具 ハードエッジ

自らの:
自らの気負ひににご雪解川ゆきげがわ 鈴木まゆ

自らの影に落ち行く椿かな ハードエッジ

自らの虹をくぐりて滝落る ハードエッジ

自らのしべに汚れる白百合しらゆりよ 月野ぽぽな

自らの老好もしや菊に立つ 高濱虚子たかはま きょし

みづからの辛さで曲り唐辛子とうがらし 檜紀代ひのき きよ

自らの重みかかりて桃くさる 橋本美代子

みづからの力に割れて鏡餅かがみもち 伊藤通明    みちあき

 

ぷかぷかとおでんに遊ぶ茹卵ゆでたまご ハードエッジ

ぷかぷか:
カップめんぷかぷか浮ぶ梅雨出水つゆでみず ハードエッジ

 

貧しさと違ふ寂しさおでん酒 ハードエッジ

寂しさ自作:
さびしさやほたるのゐない螢籠ほたるかご ハードエッジ

寂しさにおどかすといふことも ハードエッジ

赤ゆゑの寂しさに群れ赤とんぼ ハードエッジ

寂しさを埋めて秋草なに咲かそ ハードエッジ

長き名の十一月の寂しさよ ハードエッジ

寂しさは春の隣にゐる冬か ハードエッジ

寂しさや眠れる山に昼の月 ハードエッジ

 

へば良くしやべることよのおでん酒 ハードエッジ

酔へば:
焼酎しょうちゅうのただただ憎し父酔へば 菖蒲しょうぶあや

菊膾きくなます酔へば死の語をもてあそぶ 細川加賀  かが

親も子も酔へば寝る気よ卵酒 炭太祇たん たいぎ

 

これしきのおでんの酒に酔ひつぶれ ハードエッジ

これしき:
なんでこれしきのテレビと初泣きす 石川桂郎    けいろう

 

おでん酒ぐびぐび飲んで寝るとせむ ハードエッジ

寝るとせむ:
寝るとせん鴨居かもいの月となりたれば 森田峠

ひびわれし手を胸に置き寝るとせん 山口波津女  はつじょ

 

おでん屋が明日の試合に早仕舞はやじまい ハードエッジ

夏空や三試合目の水をく 大塚迷路

 

◎推敲過程

a294fdc0a5e74fc0ea547d8f46b1cea0-1

 

以上です