ペアリング67
◎花の名
花の名を魚に与へてあたたかし 日原傳
花の名が海に目出度し桜鯛 ハードエッジ
◎春の図書
書を置いて開かずにあり春炬燵 高濱虚子
開きたるままの画集や蝶の昼 ハードエッジ
俯せに本の眠れる蝶の昼 ハードエッジ
◎就労期間
働くに余すいくとせ燕来る 鈴木真砂女
サラリーマンあと十年か更衣 小川軽舟
◎緩急自在
降り方の緩急自在梅雨の日々 ハードエッジ
うしろより緩急自在なる雪よ 岩田由美
◎消え、浮び
夕焼の中に消えゆく夕日かな ハードエッジ
月光の中に浮かびし冬の月 柳元佑太
◎全方位
たてよこに富士伸びてゐる夏野かな 桂信子
初空や東西南北其下に 高濱虚子
◎何やかや、何やら
現れて消えて祭の何やかや 岸本尚毅
七草を過ぎ何やらを過ぎ春となる 桂信子
◎数を尽す
長き夜の数を尽して十二鳴る 鷹羽狩行
贈り物の數を盡してクリスマス 正岡子規
船火事や数をつくして鳴く千鳥 夏目漱石
数の子の歯ごたへ数を尽くしつつ 鷹羽狩行
◎古風
町の名の古風に長し松手入 ハードエッジ
かたくなに古風でありし風邪薬 山田弘子
女礼者らしく古風につゝましく 高濱虚子
◎調整法
降る雪やつまみで合はす周波数 西原天気
湯豆腐の湯加減をみる抓みなり ハードエッジ
湯加減もボタンひとつや冬籠 ハードエッジ
以上です