細かな修正/2020.1.11
全然堂歳時記 類題
【目】め
眼、瞳、眉を含む
◎葉書俳句
◎春
目に見えて音に聞こえて春らしく ハードエッジ
「春らしく」の名句:
今日何も彼もなにもかも春らしく 稲畑汀子
春昼の子猫時々目を覚まし ハードエッジ
「猫」=寝る子
「朝寝して宵寝するまで昼寝して時々起きて居眠りをする」
寝ている間に、何時しか春も:
鯉の髭子猫の髭も春半ば ハードエッジ
行く春を眠る子猫と惜みけり ハードエッジ
「惜みけり」は少数派
「惜しみけり」が主流だが長すぎる?
石鹸玉吹くや子猫が目を丸う ハードエッジ
「丸う」は古典的な感じ
世の花を丸うつつむや朧月 加賀千代女
「丸う」の自作:
伏せて置くバケツの上に雪丸う ハードエッジ
蛍烏賊ほろほろ目玉零しけり ハードエッジ
もう少し大きな「目玉」:
雪うさぎ目玉落すな落すなよ ハードエッジ
もっと大きな「目玉」:
桜鯛かなしき目玉くはれけり 川端茅舎
暗闇に目を見開いて赤椿 ハードエッジ
椿の見立て:
口ぢうを金粉にして落椿 長谷川櫂
自作はこの句を意識したのですが、、、俗っぽいか
(印刷するまではイケそうに思ってた)
「闇+椿」の名句:
暗闇に水の湧きゐる椿かな 長谷川櫂
自作別稿:
暗闇の積りて赤し落椿 ハードエッジ
「積りて」の先行句:
遅き日のつもりて遠きむかしかな 与謝蕪村
◎夏
目に見えぬ塩の恩寵豆御飯 ハードエッジ
「目に見えぬ」の名句:
目に見えぬ火に籾殻の焼かれゆく 長谷川櫂
ぱつちりと眼がふたつ日焼の子 ハードエッジ
「眼」より「目玉」が良かったか?/2019.7.9
何より、「め」と読んで字足らずになり、
読み直すのは野暮ったい
で、推敲:
ぱつちりと目の玉ふたつ日焼の子 ハードエッジ
「ぱつちり」の名句:
青蛙ぱつちり金の瞼かな 川端茅舎
天花粉目鼻まとめて一叩き ハードエッジ
俳句業界の「目鼻」は、
あったり、なかったり、定まったり、乱れたり類句多数
「まとめ」たところに多少は新味が
恐竜の目を瞑りをる夕立かな ハードエッジ
来し方行く末など、、、
改案というか、ほぼ初案(2016):
恐竜は夕立に目を細めたり ハードエッジ
「恐竜」別稿:
恐竜がずしんずしんと雲の峰 ハードエッジ
眉の如き毛虫に眉を顰めたる ハードエッジ
◎秋
目にものを見せたる花火消えにけり ハードエッジ
モナリザの瞳に映る天の川 ハードエッジ
『君の瞳は10000ボルト』ですから、
モナリザならば、、、
柿干すや目鼻かそけき赤ん坊 ハードエッジ
◎冬
うす目して赤切れは物言ひたげな ハードエッジ
「赤切れ」という表記は、
リアル(写生!)だし、悪くないと思うのだが、例句は見つからない
業界標準は、
平仮名で「あかぎれ」か、
漢字で「皸」「皹」
皸=「軍+皮」=ぐんぴ!、で物々しいが、
左右入れ替えた「皸」とも書いたりして、不安定
安直な気もする
得意な季語なので追加(一般的表記で):
あかぎれのさらに破るる痛さかな ハードエッジ
本当の血の皸を見せてやる ハードエッジ
「薄目」別稿:
死神も香水の香に薄目して ハードエッジ
「薄目」秀句:
薄目してをり蒔かれたる花の種 青柳志解樹
クリスマス佛は薄目し給へり 相生垣瓜人
水鳥の眼ぬらして餌を漁る ハードエッジ
人間なら:
せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ 野澤節子
赤き目を凝らす吹雪の雪うさぎ ハードエッジ
その後は:
赤き目を吹き飛ばされし雪うさぎ ハードエッジ
◎葉書推敲
以上です